32歳のいま、「ガール」でいることを世間は許さない?

ガール
『ガール』
奥田 英朗
講談社
1,512円(税込)
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 いま32歳の女性が10代だったころ、周囲の32歳は「ちゃんとしたオバサン」でした。「ちゃんとしたオバサン」とは、ごく自然に年齢を重ねていて、人生の階段を登っていることです。その当時の32歳と今の32歳を比べると、この10数年で社会がすっかり豊かになったためか、「まだまだ青春期を謳歌したい」といった若く元気な32歳が増えたような気がします。

 とはいえ、32歳。若いままでいるのは、そう簡単ではありません。

 直木賞作家の奥田英朗氏が、生き辛さを感じながらも自分らしく生きたいと頑張る女性にスポットを当てたのが書籍『ガール』。2006年に発売されて以来、働く女子のバイブルとして愛され続けている一冊です。

 同書に登場する滝川由紀子は、大手広告代理店に務める32歳。2月にも関わらず半袖モヘアニットを着こなして若作り。周囲のツッコミにも負けません。しかし、同期の千恵と繰り出したディスコでは、ナンパされることなく、モテていた昔を思い出すばかり。それどころか、自分たちを素通りして、後輩社員がナンパされるといった事態に遭遇するのです。

 無視ができなくなってきた32歳という年齢。「三十二にもなってスノボはないかな」「二十二、三の子たちと一緒に遊ぶの、いい加減無理がある」と、千恵は社外サークルへの不参加を決めました。

 「わたし、まだオッケーかな。ガールでいることを、そろそろやめたほうがいいのかな」いつまでもガールでいたいのに、世間はそれを許さない空気を感じる由紀子......。

 そんな『ガール』が映画になり、明日26日(土)から公開されます。滝川由紀子役の香里奈をはじめ、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏が登場。仕事、恋愛の悩みと対峙するアラサー女性の姿を表現します。今回の映画では、5つの短編からなる小説版とは違い、「ヒロくん」「ガール」「ワーキング・マザー」「ひと回り」の4編を再構成して、1つの物語として展開します。

 働く女性のバイブルが、あなたに勇気を与えてくれるでしょう。

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