チョコレートの「ゴディバ」に隠された美しい伝説

「裸」の文化史
『「裸」の文化史』
フィリップ・カー=ゴム
河出書房新社
3,024円(税込)
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 定番のチョコレートブランドといえば? 

 ロイズ、ピエール・マルコリーニ、モロゾフと数あるブランドのなかで、「ゴディバ」と答える人は多いかと思います。プレゼントされたり、プレゼントしたりと、男性にとってもゴディバは馴染み深いもの。昭和47年に東京・日本橋三越に第1号店をオープンして以来、 ゴディバは国内に200店舗以上を展開しており、もはや定番のチョコレートといえます。

 そんなゴディバですが、チョコレートのクオリティではなく、ロゴマークを思い出すことはできますか? うっすら馬の模様がでてくるのでは。実はこのロゴマークには、ある歴史上の出来事を引用しているのです。

 ゴディバの名前は、11世紀のイングランドの伯爵夫人「ゴダイバ」からきています。そしてそのゴダイバには、美しい伝説が残されているのです。書籍『「裸」の文化史』によると、コベントリーの領民の苦しみに同情したゴダイバ夫人は、夫に重税を緩和するよう訴えました。伯爵は聞く耳を持ちませんでしたが、あまりにしつこいゴダイバの懇願に、からかい半分に無茶な条件を出します。それは、「裸で馬に乗り、町を一周することができたら願いを聞き入れる」といったもの。

 ゴダイバはこの無理な条件を受けることにしたのです。領民に家にこもり、窓の外をけっして見ないよう言いつけてから、裸の体を長い髪で覆い隠すようにして馬にまたがったのです。

 貴族の女性にもかかわらず、貧しいもの、搾取されるものの味方となり、難しい条件をのんだゴダイバ夫人は庶民の英雄となりました。これがゴダイバ夫人の伝説です。

 こういった背景を想像しながらゴディバのチョコレレートを食べると、より奥行きのある味わいとなるでしょう。

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