1962年に日本の経済大国化を予測したグローバルエリート誌が、2050年を予測

2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する
『2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する』
英『エコノミスト』編集部
文藝春秋
1,890円(税込)
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HonyaClub.com
>> エルパカBOOKS

 いまから約40年後となる2050年、私たちの生活はどのように変わっているでしょう。

 国連大学「環境と人間の安全保障研究所」によると、2050年には、世界的に洪水の被害が深刻化し、2004年の2倍に当たる約20億人が大洪水の危険にさらされると発表しており、自然環境の変化を予想しています。また、29回目となるサッカー・ワールド杯が開催される年であり、日本サッカー協会は日本での開催と、この大会で日本代表が優勝する事を「JFA2005年宣言」のなかで目標としています。

 昨今の自然環境の変化を考えると、40年後は近く感じますし、サッカーW杯で日本代表が優勝と考えると、遠くも感じたりします。

 そんな2050年後の様子を徹底予測したのが書籍『2050年の世界』。予測したのは英『エコノミスト』編集部。1843年に創刊された同週刊誌は、伝統的に予測ものを得意としており、1962年には、日本が米国と肩を並べる経済大国になることを大胆に予測。敗戦国だった日本のイメージを一新させる特集を組みました。

 同書によると、2050年の日本は、人類がまだ見たことのない老人の国へとつき進んでいるといいます。日本の平均年齢は52.7歳と高齢。同時期のアメリカは40歳です。また、2010年をピークに人口が減少し続け、この減少は毎年1%GDPを押し下げるのです。GDPは世界全体の1.9%(2010年は5.8%)になり、人口一人当たりのGDPも、米国が100とすると、お隣韓国の105に比べて日本は58へと沈んでいくと予測しています。

 日本以外の国のことも予測しています。「中国も同じ少子高齢に悩み、2025年に人口減少が始まり、経済成長は止まり、インドに逆転される。今後もっとも進歩をとげる科学分野は、生物学である。英語は、タイプライターのキー配列のように、いったん得たグローバル言語の座を維持する。人口の配当をうけるタンザニアなどアフリカ諸国が新興国として台頭」など、様々な予測をたてています。

 予測は必ずしもあたるわけではありませんし、エコノミスト誌のチャレンジは無謀と言えるのかもしれません。しかし、あらゆる情報をヒントに、来るべき未来に準備しておく必要はあります。日本にとってはあまり良い予測ではありませんでしたが、危機感をもって生活をしていくことは重要なことです。一度、経済大国の甘い汁を知った国民は、なかなか平和ボケから抜け出せないものです。同書に隠された生き抜くヒントを見つけ出し、ビジネスに、教育に生かしてみてはいかがでしょう。

« 前のページ | 次のページ »

BOOK STANDプレミアム