「いま読んでおくと、近い将来、ドヤ顔ができる」朝井リョウおすすめの作家とは

ランチのアッコちゃん
『ランチのアッコちゃん』
柚木 麻子
双葉社
1,188円(税込)
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 「本の表紙が美味しそう」と評判の書籍『ランチのアッコちゃん』。

 『フォーゲットミー、ノットブルー』で、第88回オール讀物新人賞を受賞した、小説家・柚木麻子さんの新作は、卵焼きやウインナーといった、いわゆる日本の典型的なおかずが並ぶお弁当箱が目印です。

 帯には、「柚木麻子の作品は気持ちがいい。いま柚木作品を読んでおくと、近い将来、ドヤ顔ができます。あのドラマ化も映画化も良かったけど、やっぱ原作が最高だってよ」といった、朝井リョウさんの美味しいコメントも。

 そんな同作、どのような内容かというと、まずアッコちゃんに驚く。皆さんはアッコちゃんと聞いてどのようなキャラクターを想像しましたか? この可愛らしい表紙とは裏腹に、つやつやの黒いおかっぱ頭で、がっちりとした肩幅に身長173cm、そして、45歳独身の女性(部長)、某大物歌手を思わせるのがアッコちゃんなのです。秘密のアッコちゃんの方を想像した方は一度、イメージをリセットしてください。

 失恋したばかりの派遣社員のOL・三智子は、なぜかこのアッコちゃんとランチを「交換」することになりました。三智子はアッコちゃんのためにお弁当を作り、アッコちゃんは三智子のためにお金とランチをするお店の地図を用意する。ほぼアッコちゃんの命令だったとはいえ、2人はそのような不思議な約束をかわすのです。

 普段は、私語もなく仕事に没頭しているアッコちゃん。ひたすら業務に集中して成果をあげる彼女を誰もが恐れていました。そんなアッコちゃんが普段ランチに通っていたのは、デザイナーが経営するカレー専門店や、カーリーヘアの太った黒人女性が経営するスムージーの店。なんだか風変わりなお店ばかり。

 謎に包まれたアッコちゃんの一面を知り、皆から信頼されるアッコちゃんの姿を通して、三智子は成長していくのです。「読むほどに不思議と元気が湧く、新感覚ビタミン小説」と言われる同作。三智子と同様に、元気になることができそうな一冊といえます。

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