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虚貌
【幻冬舎】
雫井脩介
本体 1,700円
2001/9
ISBN-4344001133
石井 英和
評価:C
冒頭の一家殺人へ到る行程のリアルな手触りなど、なかなかに読ませ、大いに期待したのだが・・・まず、事件を追う刑事が癌という設定が納得出来なくなる。その設定が物語をより興味深くする方向に作用しているとは、どうしても思えなかったからだ。他にも、私には「邪魔」としか感じられない、登場人物の心理描写が頻出し、物語の足を引っ張る。おそらく著者は「単なるサスペンス小説ではなく、もっと奥深い作品を」と指向したのではないか?が、その「奥深い部分」は、なんだか月並みで退屈であり、読んでいて圧倒的に興味を牽かれるのは「単なるサスペンス小説」の部分なのだ。著者が変な文学指向(?)などみせず、ストレ−トにサスペンス小説に取り組んでいたら、かなりの作品になったのではないか、という気がする。もったいない話だ。
今井 義男
評価:C
冷酷なようだが私は仲間に嵌められた荒という男になんの同情心も湧かない。同じく末期癌の刑事・滝中にもなんの共感も抱けない。その娘・朱音にもである。脇役も含めて、この作品に登場する人物はなぜか全員うっとおしい。正面からの日差しを拒絶したかのような、彼らのうつむき加減の<生>そのものがたまらなくうっとおしく感じるのである。作者はまさにそういう<生>を書き連ねているのだから、読むほどにこちらが鬱になるのは筆力の証だといえなくもないが、この陰気な復習劇の速度はあまりにも緩く、じれったい。ようやく暴かれた真相もかなり強引だ。犯人は素人の及びもつかぬ手口を披露してくれるが、ほんとうにこんなこと可能なのか。
唐木 幸子
評価:B
冒頭、運送会社を首になった従業員3人が、社長の幸せな家族を襲うシーンの緊張感はすごい。入浴中の可愛い男の子の頭にガソリンをふりかける。『な、何これえ…』と男の子が言った瞬間、マッチで火を付ける犯人。襲った者達にも何の得もないのに何故、こんなことを、という不可解さも忘れるほどの迫力ある導入部だ。この著者、知らなかったけどどういう人なんだろう、と興奮したなあ。しかし惜しい! 完全犯罪の根幹となっているトリックに、一読者としてうなずきかねるものがあるのだ。詳しいことはネタばれになるので言えないが、後半4分の1の大急ぎの展開をもう少しじっくりと練って欲しかった。それにしても、主犯にされてしまう麻雀好きの気弱な男も、ポテトチップの大食に走る元アイドルも、末期の癌を抱える刑事も、なんだか可哀想で読めないくらいだ。宮部みゆきよりもゴツゴツしているものの、そういう人物描写に独特の雰囲気があって読ませる。
阪本 直子
評価:AA
最近のミステリとしちゃ厚くない方だね、そもそも上下巻でもないし、などと思いつつ本を開いたら、おおっと、2段組でした。これは正しい。この本は一気読みするべきです。解雇された従業員達が社長の一家を襲った。放火殺傷。そして20年後、主犯とされた男が刑を終えたとき……。
これ以上は説明しません。ミステリだから、っていうのは勿論あるけれど、この小説、ちゃんと名前のついてる登場人物が実に多いんです。名前があって生活がある。真摯な生活も薄っぺらな生活も。その一人一人の生活が、今どうなっているのか、これからどうなるのか。当人達同様に不安や期待を味わいつつ読んでいって下さい。それが一番面白いよ。
前言をちょっと補足。一気読みしろって書いたけど、読み飛ばしは厳禁です。山ほどある伏線も手がかりも、簡単にそうと判るような書き方じゃないからね。なめるように読むべし。
谷家 幸子
評価:AA
普段、自分は人殺しなんかとは無関係だと、ほとんどの人が思っている。そんな恐ろしいことは自分には出来るはずがないと。しかしまた、世の凶悪犯罪の犯人の多くが「そんなことをする人には見えなかった」と言われているのもまた、事実なのだ。犯人の中のひとり(といっても実際にはほとんど何も手を下していないが)、荒勝明が犯行へとたどる道筋は、事件の持つ凄惨さと比べてあまりにもあっけない。初めのうちは、それが少し不満だった。この道筋をこそ、もっと克明に書き込んで欲しいと思った。しかし、考えてみれば、実際の犯罪はまさにこうやって引き起こされるに違いないということに思い至ったとき、足元が揺らぐような恐ろしさを覚えた。こんなにもあっさりと人は犯罪者となり、こんなにもあっさりと日常は非日常となり、そして、復讐という新たな犯罪へとつながってゆく、その恐ろしさ。この読後感の、充実した重みはどうだ。登場人物それぞれの、滑稽で醜悪で哀しい人生の重みはどうだ。失礼ながら、私にとっては全く無名の作家だったが、この満足感は確かに「模倣犯」「邪魔」にも匹敵する。
仲田 卓央
評価:C
「虚貌」というタイトル、帯の「秀逸な筆致は『模倣犯』『邪魔』に比肩する。」「癌に冒された老刑事が…」という惹句。うーん、良くあるパターンだよな、と思ってしまうわけだ。そして、モノローグから始まる本編、借金を背負った気の弱い男が強盗に巻き込まれていく第一章。ますます高まる「あ、このパターンね」という気分。この原稿のためでなければここで挫折したかもしれない。ところが第二章以降、物語は急激に面白くなり始めるのだ。文章のリズム、セリフ、物語の進行それぞれがどんどん良くなる。犯人が誰か、ということは終章を待たずにすっかりと分かってしまうし、アリバイトリックも、ちょっとそれは……、というものではある。しかし物語自体は充分に楽しめるものだ。それなのに、このタイトル、この帯。実にもったいないものを見てしまった気分である。
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