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アイスマン
【早川書房】
ジョー・R・ランズデール
本体 1,600円
2002/2
ISBN-4152083980
石井 英和
評価:A
以前、課題本ともなった「ボトムズ」には雰囲気として漂うにとどまっていた著者のフリ−クス趣味が、全開となった作品だ。間抜けとしか言いようのないケチな強盗殺人ののち、此岸と彼岸をへだてる「河」を横切る儀式を経て、まさにクズのようなタマシイを持った主人公が辿り着いたのは、著者がこだわる、古きアメリカ南部地域の神話的側面を暗示するような、旅回りのフリ−ク・ショ−の一座だった。地獄巡りが始まる。恐ろしくも滑稽で、またうら悲しい胎内巡りの先に待っていたのは、さらなる魂の地獄だった・・・そんな一部始終を、これでもかこれでもかと書きつらねて行く著者の筆致は、人間の魂の汚泥の底深くを間探りながら、そのような場所にしか眠っていない宝石を捜し求めているかのようだ。そして終幕。溢れだした聖なるものは、吹き抜ける風の中に散り果てる。
今井 義男
評価:A
ずさんな強盗を計画し仲間を死なせ、警察に追われるビルを拾ったのは旅回りのサイドショーだった。異形を芸にする一座である。彼らは通常と異なる身体をあえて見世物にすることで生活している。したがって世のヒューマニストにはとても正視に堪えない場面が続出する。いやなら見なければいいのだが、我々が知らぬ顔を決め込もうと、彼らがそこにいる事実は動かしようがない。ならば直視をためらうのは失礼というものだ。この物語はまさしくその一点から始まる。ビルがそう感じたように読者は《ドッグマン》が好きになり、《ふたご》を困ったやつらだと思う。そして、自分の正体にいつしか蓋をする。その蓋をこじ開けるのがフリークスを毛嫌いするギジェットだ。我々は彼女の突き抜けた存在感にただ圧倒され、ひれ伏すだろう。フリークスとギジェットは人間の本性を具現したコインの裏表だ。腰砕けのノワールが束になってもかなわない、本物の<悪>の結晶がここに息づいている。
唐木 幸子
評価:B
私はランズデールは冒頭でつまづくことが多い。矢継ぎ早に色んな話が繰り出されて面白いことは面白いのだが、もしかして、読者の心を引き付けそうな言葉を良い頃加減に並べてるんじゃないだろうな、と感じてしまう。例えば本作でも、主人公が母親の死体を凍結乾燥させている、とのくだりがあって、ええっ一体どうやって、とギョッとするが、その後を読んでみると凍結乾燥ではないじゃないか。凍結乾燥というと、液体窒素でマイナス196度の超低温まで下げた後に減圧して細胞内の水分を昇華して乾燥することを言う。ビルはせいぜい、部屋を冷房して放ったらかしているだけだから凍結乾燥という言葉はおかしい。細かいことを言うな、と思われる向きもあろうが、こうした用語はコケ脅し的効果を生む。解説者が案の定、この凍結乾燥という言葉をあら筋で採用しているように。そういう底の浅い【すごいだろう効果】がバラ蒔かれている雰囲気があるのだ。一気読みできる面白さはあるのでBにするけど本当は3行目でつまづいたんだからな。
阪本 直子
評価:B
かなり読み進むまで、何十年か昔の設定だとばかり思い込んでいた。「ニガー」なんて言葉やフリークショーが出てくるから。今のアメリカにフリークショーが存在できる余地があったとは。本の中だけのことだとしたって結構驚きだ。
で、また、かなり読み進むまで、早川書房の本だってことを忘れていた。冒頭でケチな強盗の情けない顛末があったものの、その後はミステリや犯罪の匂いは一切なしに進む。ミステリといえば、ショーの目玉アイスマンの存在が最大のミステリ。と思っていたら、後半で一気に加速する。こういうのもやっぱりノワールっていうんだろうな。この手の話になじみが薄い私としては、ラストにカタルシスがなくてうーんと唸ってしまうのですが、でも読み応えのある小説です。犯罪はやっぱり量より質だよ。
訳文に一つだけ注文。主人公ビルの言葉づかいは、もうちょっとぞんざいでもよかった気がします。
中川 大一
評価:B
おやおや? 意外にもヒューマンな展開じゃないか。開幕早々、腐乱死体にピストル強盗とくれば、よくあるアメリカンな小説かと思わされる。それが一転、舞台が湿地帯から転じるとともに、即物的だった主人公が友情や優しさに目覚める。この主人公、はっきり言ってお間抜け。つまりは我々読者の似姿だ。やっとこ育ちつつある内なる良心と、耳元で囁く小悪魔(美女だ!)との間に挟まれて右往左往。「おれはいつだってそうなんだ、やらなきゃならないと考えたことはやらないで、やってはならないって考えたことをやってしまう」――ああ、さっきは「我々読者の似姿」なんて言ったけど、撤回。この男はまるきり俺だ。俺のことなのだ。本書は、我が心を刺したこの寸言のために書かれたのかもしれないね。
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