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  血の奔流 血の奔流
  【ハヤカワ文庫NV】
  ジェス・ウォルター
  本体 980円
  2002/2
  ISBN-415041002X
 

 
  内山 沙貴
  評価:C
   滝の水の勢いと爆音、世界をぼやけさせるしとしとと降る雨、視界をさえぎる真性の闇の夜。自然のままの世界を一度怖いと感じ始めたら、きっと外に出歩くにも勇気がいるようになるだろう。話が急に飛んで新しい人が出てきたり、突然違う人にスポットライトが当てられたり、少しだけ名前が出てきただけの人が後になってもう一度出て来たりと、ちょっと戸惑うところがあった。自分の見ていない場所で強引に事が運んだことになっていて、最後の結末もなんだか強引な気がしたのだけれどでもまあ納得がいかないわけでもないし、まあいいかといったところだろう。そんな強引さを除けば、テンポのよい、人よりも自然の強さみたいなものを感じる気分のいい物語だった。

 
  大場 義行
  評価:D
   女刑事キャロライン、上司アラン、容疑者レニー・ライアン。この三人の主人公がそろいもそろってみな精神的に不安定。こんな刑事で大丈夫なのか? 捕まえられるのか、そもそも殺されそう、という点では確かに緊張感はあるかもしれない。ただ不安定な為に、逆にラストが読めてしまうのが厳しい。この本はサスペンスの形をとっただけの、不安定な人間どもを描いたものとして読むのが正しいのかもしれない。主人公は三人とも迷いもするし悩みもする。脇役たちも他のものと対立して、醜い姿を晒している。この本は、確かに帯通り一筋縄ではいかない。まあ、個人的には普通のごっつい殺人鬼との追いかけっこの方が好きだったりもする。

 
  北山 玲子
  評価:C
   主人公・刑事キャロラインの行動。
<1>犯人と接触したり、危険な場所に行くときいつも1人。
<2>その途中で本部に連絡をしようとするが、何故かためらう。
<3>で、失敗して、後悔する。
 こんなんですよ。何回も。こういうキャラなんだって思えばそうなのかもしれないけど、あまりにも学ばないのでそのうち嫌気がさしてきちゃった。いきなり主人公にがっかりしてしまったけど、たくさんのエピソードが支流となって本流に向かって注がれていく。サイコものでもあり、恋愛小説でもあり盛りだくさんな内容で人と人との激流があちこちでうねっている、そんな小説だ。数ある登場人物の中でもマクダニエルとブラントンのプロファイラー同士の対立がいかにもありそうで、俗っぽく描かれていていい。

 
  山田 岳
  評価:D
   赤ん坊(人形)が滝のうえの橋から落ちる。そのシーンから話が始まるというのは、なんともハリウッド映画的。それなのに・・・。サイコ・サスペンスとは、売れない純文学作家の救済策のことか?ヒロインの心理描写がくどくどしくてテンポが悪い。売春婦のかっこうをするのがいやなら、囮捜査に手をあげるな!だいたい、簡単にパニックをおこしてしまう女性警察官に囮捜査をやらせるアメリカの警察も警察だ!イントロのうちから怒りまくってしまったのであった。忙しい人には不向き。

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