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ベリィ・タルト
【文藝春秋】
ヒキタクニオ
本体 1,524円
2002/5
ISBN-4163209107
石井 英和
評価:E
とにかくウンチクを垂れる事がメシより好きな著者であり、その分身たる小説の登場人物たちもひたすらウンチクを垂れまくる。転がっている酒のビン、人間の片々たる行為、とにかく出会う事物のすべてを相手に。いちいち。延々と。物語はそのウンチクの洪水に飲み込まれ、水飴を満たしたプ−ルに放り込まれた水泳選手を見る如くの躍動感の無さだ。そもそもそのスト−リ−進行にしてからが、要約して表を作ってみると分かるが、実にいびつなものだ。例えば前半の「飼育編」と、後半の「争奪戦」は、どう響き合うのか。また、この程度のことでこうなってしまう男たちならもっと早い段階、つまりこの小説の始まる以前に、別種の抗争で絶滅しているのが自然ではないか?との疑問も生ずる。まあ、著者の関心は小説の完成にではなく「ウンチクを垂れる事」のみにあるのだろうが。
今井 義男
評価:AAA
アイドルは金の成る木だそうだから、実際の芸能界でこんな狼藉がまかり通っていると聞かされても驚くにはあたらない。夢を売る商売もひとたび裏にまわれば生臭いことばかりで、甘ったるいシンデレラストーリーなど望むべくもないが、それにしても壮絶な争奪戦だ。作者の<仕事>を書く確かな眼は、細部にも隙がない。人物造形も巧みである。アイドルを創り育てる関永と小松崎は女衒というより、仏師のようだ。二人は木の中で眠っている少女リンを現世に彫りだすのである。彼らのビジネスライクな姿勢はしたたかだが、欲望と理想の間に確たる線引きがあり潔い。一方、大手のプロダクションやリンの母親は、まがう方なき私たちの代弁者であった。敗者はいるが勝者のいない結末、戦い済んでリンを見送る関永と仁のやせ我慢は実に格好がよい。
唐木 幸子
評価:B
読み応えのある量の書き下ろし単行本であるにもかかわらず、短編を一気に読んだときのようなこのテンポの良さは秀逸である。登場するヤクザもオカマもアイドルも、通り一遍の知識や情報では書けないようなディテールが満載で生命感に満ちており、それが読者が字を追うアクセルになっている。ヤクザが殺しあって取り合いをするリンの美少女ぶりに今ひとつ独創性がないのが残念だが、リンをアイドルに育てて行こうとする過程、周囲の努力が非常にリアルに描かれて興味深い。化粧や運動や露出媒体の選択など、なるほど、スカウトからデビューまでにこんな苦労があるのか。ところで以前にも書いたように、私は必ずと言うほどナンバー2の位置付けの男に惹かれる傾向にあるのだが、本書のナンバー2は、これがもう典型的。(オカマの仁ではない、小松崎ね) 自分のあるべき姿、果たすべき役割をきっちりと方向付けて、最後の最後に彼が取ったアッと驚く行動は、主役の兄貴分を食ってしまうほどの存在感だ。
阪本 直子
評価:E
うーん、またか、この作者は。『鳶がクルリと』の時にも思ったけど、何だってこう喋らせ過ぎるかな。取材して得た知識を十なら十、百なら百、ぜーんぶ開陳しなけりゃ気がすまない訳? 不必要な饒舌さは不自然なだけだ。
人物造形も不自然の極み。特にヒロインの母親だ。「卑小で浅薄な一般世間」の代表としてのみ設定され、作者の愛情は微塵も感じられない。徹頭徹尾“敵役”だから、読者は自動的にヒロインに感情移入して芸能界入りを応援してしまうという仕組み。でもね、こんな怪しい芸能事務所、別に抑圧的な親じゃなくたって、信じろと言う方が無理と違う?
小市民を愚かと断じ、そこから外れた者でありさえすればヤクザでも無条件に肯定する。全体にそんな空気で貫かれているが、それって逆差別、逆エリート意識じゃないか? どんな凡人でも無能者でも、誰だって生きてていいんだよ。物語の最後に起こる事件には、どうしても承服できません。
谷家 幸子
評価:B-
途中までは、文句なくA!と思っていた。ゆるみのない緊密感、心地良い疾走感。いいぞいいぞ!こりゃめちゃくちゃいいぞ!時間を忘れてページをめくる感覚、これこそ本を読む醍醐味ってもんだ。キャラクターもことごとく魅力的。脳ミソ軽いかと思いきや、本能の部分が健気で潔いリンは、物語上だけでなく、読み手にとっても、アイドルへと駆け上がらせたくなるオーラを放つ。インテリヤクザを地で行く関永と小松崎の微妙な関係も興味深いし、オカマの美容師仁の魁偉からも目が離せない。このあたりまでは、完璧だ。
しかし、なあ。ラストだ、ラスト。これはアリなんだろうか?どうしても、いいようのない違和感を感じてしまう。かといって、これは違う!という確信も持てないのだが。
ひとつだけ。関永がアイドルを「ベリィタルト」に例えるくだりはちょっと難あり。
中川 大一
評価:D
こけ威しはヤクザの専売特許だろう。「ぶっ殺すぞ!」とすごまれて、「やれるもんか」と開き直れる素人は少ない。本書の主人公である関永は、今は芸能プロの社長だが、もともとその筋の人だから、素人相手にすごむのは当然でしょう。でも、関永がジャリタレの母親を小馬鹿にする場面を読んでいると、なぜか読者が作者にはったりをかまされてる気分になってくるんだ。私は芸能界の事情なんてまったく知らないから、ここで開陳されてる内幕が本当かどうかは判断できない。けど、なんだか張りぼてか書き割りのような底の浅さが透けて見える。前作『鳶がクルリと』でも思ったことだけど、作者は器用なんでしょう、だから一夜漬けの知識でそれなりの記述ができる。本作では、その才が徒になったようで。
仲田 卓央
評価:B
むむむ。このタイトル、この作家、そして「破天荒な面白さ云々」という惹句。今までの経験から言うと間違いなく「金返せ!」であるはずなのだが。すみません、今回ばかりは私が間違ってました。読み始めこそ、こんなにべらべら喋るヤクザはいねえだの、オカマがあまりに類型的だのと思ってはみたが、そういったことを忘れさせる面白さ。なんだか若干の説教くささ、もしくは器の狭さを感じさせるものの、抜群に人物造型がウマイ。喋りすぎのヤクザも、原宿界隈でブラブラするダイヤの原石のような女の子も、オカマまるだしのメークさんも、いるわけねえよと思えばいるわけないし、いるかも知れんと思えばいるかも知れない。要はこれが小説家の芸であり、技なのである。
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