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  死を啼く鳥 死を啼く鳥
  【ハルキ文庫】
  モー・ヘイダー
  本体 980円
  2002/4
  ISBN-4894569620
 

 
  大場 義行
  評価:C
   冷静になって本屋を眺めると、今、どれだけこの手の本があるのだろうかと思わずにいられない。死体にサインを残す殺人鬼。それを追う、陰気だったり、イカレている警察官。気が付けばこの手の本は毎月大量に発売されているはず。それらの差はどれだけ奇抜なのか、どう違うのかという点だけ。今回の殺人鬼は「死体の心臓に小鳥をいれちゃう」ヤツで、「ある過去の事件を引きずっている」警察官が追うパターン。ちょっと犯人がごにょごにょという点があるが、まあ、そんな所だった。正直もっと直接仕掛けてくるような本(今月でいえば「嘲笑う闇夜」のような)じゃないと個人的には楽しめません。

 
  北山 玲子
  評価:C
   例えば料理。レシピどおりに作るとだいたいはそれらしいものになる。それと同じで、連続猟奇殺人もののレシピ通りに書いたらそれらしくできちゃったというのが本書を読み終えての正直な感想。この手のものにもう今更新鮮味は感じられない。殺されるのは娼婦、意味有り気に装飾される死体、主人公の暗い過去、主人公に対抗する一見出来そうでまったく使えない同僚。ああこんなにもパターンで攻められるとむしろ気持ちよくなるぞ!そして、著者もどこで話を終わらせたらいいのか迷っているような二転三転するラストのしつこさ。いったいどこに落ち着くのかと思えばいかにも次回をお楽しみに的な決着の付け方はどうなのかな。話自体は正直Dでもいいのだが、『BIRD MAN』というストレート過ぎる原題に”死を啼く鳥”とつけた訳者のタイトルセンスに敬意を表してCにさせていただきました。

 
  操上 恭子
  評価:B+
   これでもか、というほどグロテスクな描写が続く。猟奇的な連続殺人。犯人が犯行時 に施した悪魔的な作為に加えて、発見まで時間がかかっているために、酷く傷んでい る死体。さらには、その死体を検死の為に切り開き、分類し、培養し、、、。出だし からグログロである。その検死に立ち会う担当警部が平然としているようなのも怖 い。ここまでの描写が、本当にストーリー展開に必要なのか? だが、読み進むうち にそんなことは気にならなくなる。主人公のキャフェリーは、若くて真面目で有能な 新任の警部。子どもの頃の家族の悲劇をトラウマにかかえ、恋人ともうまくいかず、 職場での人間関係にも悩みながらも、一歩一歩犯人を追って行く。途中、あっさり犯 人が判明してしまい、読んでいて焦るほどだったが、事件はそれでは終わらない。検 死や検査の結果をふまえ、ラボとも連携をとりながら、確実に犯人に近づいて行くキ ャフェリー。きっと、あのグログロは必要な描写だったのだ。トラウマのせいで誰と も深くつき合えないが、誰からも好かれるキャフェリー。今後の活躍と成長が楽しみ である。

 
  佐久間 素子
  評価:C
   あらすじを書いても、最近よくあるサイコものという感じでぱっとしないし、事件を追うのが、幼少時のトラウマを抱える警視というのも、これまた掃いて捨てるほどある設定だろう。善し悪しは読んでみなけりゃわからない。抽象的な表現で申し訳ないが、本書は実に「きめこまかい」。例えば、ストーリーへの配慮、人物像、あるいは描写。どんなにやりきれなくても、おぞましくても手抜きなし。犯罪シーンがあまりにひどくて、私はそんなのだいっきらいなのに、途中でやめられなかった。ラスト四分の一、できごころで手に取ったことを本当に悔やんだ。もう二度と読みたくない。手元に本をおいておくのもいや。それでも、次作は読みたいんだな、これが。困ったものだ。

 
  山田 岳
  評価:B
   『羊たちの沈黙』をよりスプラッターに、よりグロテスクに、したかんじ。297ページで犯人が自殺を遂げたにもかかわらず、そのあと200ページも続いてしまう<謎>の真相は!?クライマックスはげろげろげろ、「13日の金曜日」だ(^-^;)。たった4日間で読み上げたけど、ワンランク減点。

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