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蚊トンボ白鬚の冒険
【講談社】
藤原伊織
本体 1,900円
2002/4
ISBN-4062111985
石井 英和
評価:D
この著者もウンチク並べるのが好きだなあ。インタ−ネットによる株売買に端を発した著者のウンチク話は天下国家の有り様にまで及び・・・が、展開される物語そのものは、大いに見栄を切った割りにはそのウンチクとさほど響き合う部分のない、底の浅い活劇でしかない。そもそもタイトルにもなっている「蚊トンボ白鬚」なるものも、違和感しか生まないアイディアで、なぜこんな「奇想」を置く気になったのか、さっぱり分からないのだ。等々、どうも狙いのはっきりしない作品で、著者は作中に何度も繰り返される「演説」や「ウンチク垂れ流し」を行いたいがためだけにこの物語を書いたのではないか、という気もしてくる。そのウンチク話、作中の聞き役がたびたび「俺にも分かるように説明してくれ」などと乞うのが滑稽だ。説明したくてたまらないのは著者御自身でしょう。
今井 義男
評価:AAA
なんでいきなりガガンボなのか、あえて問わない。なんの不都合も感じなかったからだ。この小説は外野席にいちいち有無をいわせないパワーがある。つまり、リアリティごときに出来を左右されない、すこぶる付きの超お薦め面白本なのだ。TVドラマなどで脇役の人気が異常な高まりを見せることを<ジワ>というが、本書はさしずめジワの詰め合わせといっても過言ではない。敵味方とも個性豊かで立ち居に遜色なく、ヒロイン真紀、蚊トンボ白鬚のキャラも文句なし。さらにツボをくすぐるのが遠い昔を喚起させる白鬚と達夫の掛け合いである。ある日突然現われた異形の友、不可能を可能にする超人的能力、行く手に立ちはだかる悪、救いを求める白皙の美少女……そう、誰もが冒険を夢見る少年だった。だから、虫と人間の友情物語に熱くなるのは当たり前田のクラッカーなのである。
阪本 直子
評価:A
自分だけに聞こえてくる声。小説の設定としてはそう珍しいものでもない。しかしその正体が、頭の中に入り込んだ蚊トンボだとなればどうだろう。これだけでも既に充分とんでもないが、この蚊トンボ、何でだか「筋肉の専門家」である。でもって、宿り主と会話できるのみならず、その筋肉の力を瞬間的に強化もできる……ね、ちょっと凄いでしょ。しかもこんな近来稀に見る設定のこの小説、SFでもギャグでもない。切なくてハードボイルドで冒険な、直球勝負の物語なのだ。
こういう話は書き方が上手くないと目も当てられないが、そこはさすが藤原伊織。足りない描写も不必要な説明もない。特に人物造形がいい。主人公の達夫を始め、質問魔でビール中毒の真紀も、怪しいトレーダー黒木も、やくざの瀬川も……アパートのうるさいおばさんに至るまで、皆、血肉の通った人間だ。
と、作品には楽しませて貰ったが、出版社には文句があるぞ。帯に粗筋を全部書くなッ。
谷家 幸子
評価:C
うーん。非常に面白かったんだけどなー。
結局、読み終わった時点でよくわからなくなってしまった。タイトルといい、頭の中に入り込んだ「蚊トンボ」に異能の力を与えられるという設定といい、妙に劇画的な軽みをたたえている割には異常に重いこの読後感は、何なんだろうか。
それが狙いだったのだと言われればひと言もないが、どうもこれは作者の思いもしない方にずれて着地してしまった結果ではないかという気がする。ずれてても別にいいんだが、このずれ方は失敗だろう。赤目の男カイバラの狂気が、ホラー寄りに膨れ上がりすぎていると思う。
ただ、21,2という年齢にしては老成しすぎの主人公、物わかりのよすぎるヤクザなど小さな不満はあるものの、時間を忘れてページを繰らせる力を持つストーリー運びは、なかなか捨て難いものがあるのも事実。でも、ことの発端となる「経済戦争」なるものの輪郭がいまひとつ曖昧に感じられるのは、私が経済オンチだからか?
中川 大一
評価:B
「心に闇を抱え、傷ついた者たちの凄絶な戦いがはじまる!」(オビの宣伝文)。えらいまたどぎつい煽り文句ですが、読んでみるとずいぶんおちゃらけたノリの小説。主人公である水道職人の頭に奇妙な能力を持った蚊トンボ〈シラヒゲ〉が棲みつく、というのが基本設定。昆虫と人間との脳内会話がすっとぼけてて楽しい。こうした「寄生獣」ものはアイデアとしては珍しくないだろうが、オビ文が謳うリアルな冒険活劇と組み合わせたのが妙味。やたら深刻ぶった『テロリストのパラソル』よりいいんじゃないの? ただ、最後、サイコ野郎との個人的戦いに収斂していくのはどうか。自動車産業全体を貫くでかい話しにもっていった方がよかったんじゃないかと、「社会派」好みの私としては思うけどね。
仲田 卓央
評価:C
この作品にはこんな一節がでてくる。「彼女はビールを一息で空にした」。この表現は別に間違っていない。しかし、彼女が一息で飲み干したものは、「ビールの大ジョッキ」だ。その前に「グラスを傾けた」という記述はあるものの、それにしたって一息だ。普通、飲めるか? 「酒を一息で空にする」という表現は、ものすごく座りのいい、便利な表現である。しかしだからといって、ナマ大を一息で。いくら座りのいい表現だからって、おかしい。「フィクションだから」では済まされない、ハッキリいえば「安さ」を感じさせるおかしさだ。ここらへんから漂ってくる奇妙な安定志向が私にとってはどうにも腑に落ちない。
「彼女はビールを一息で空にした」。この一節に藤原伊織とその作品が抱えている問題点が表面化しているように思えるのだが、どうだろうか。
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