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ゼルプの裁き
【小学館】
ベルンハルト・シュリンク
本体 1,900円
2002/6
ISBN-4093563314
石井 英和
評価:B
陰鬱たる曇り空がいつまでも続くような物語。派手なプロットの高揚もなく。ひょんなことから始まった、元ナチ政権下で判事の職にあった老探偵の犯罪調査行は、いつの間にかまるで自らの尻尾を追うような贖罪の旅の様相を呈する。最後に訪れる「裁き」の実体は、あまりこちらの納得の行くものではない。それは主人公個人にとっての、その場しのぎの解決でしかなく、とても公正とは言えないものだ。が、そのような不完全な「解決」が提示されたが故に、主人公の通り抜けてきた「過去」がいまだに流し続ける血を我々は生々しく感じ取れもする。不安定で、万全とはいいがたい結末であり、完結もしていず、が、それゆえに価値を生じているような不思議な作品だ。
今井 義男
評価:D
かつて、寝る間も惜しんで読みふけったミステリを、近頃あまり読みたいと思わない。理由は簡単。探偵や死体が出てこなくても面白い小説が山ほどあるからだ。もちろん実際に読んで面白ければ評価するにやぶさかではない。やぶさかではないが、なんなんだこの男はいったい。年寄りのくせに暴力は振るうし、女を見れば下心丸出しだ。事件のお膳立てはシリアスそのもので、ハッカーによる企業イジメはドイツ近代史の暗部に端を発している。ドイツ人であの時代を振り返って胸を張れるのは、レジスタンスと当時子供だった者ぐらいである。舞台に登場するのは罪をまっすぐに自覚し、正しく屈折した探偵であるべきだった。人選ミスといわざるを得ない。
唐木 幸子
評価:B
フランス人が書いたイギリス舞台のミステリ(どこかほんのり明るい『第四の扉』)を読んだ直後に本作品を読んだのでドイツを感じたなあ。同じミステリというジャンルではくくれないくらい暗いし、頑ななまでに真面目でストーリーがしっかりしていて曲線がない。当然、私の趣味としてはこちらに軍配が上がる。主人公の私立探偵ゼルプは日本の会社なら定年退職のトシでありながら現役である。これが若々しいこと! 頭は推理で高速回転するし、工場に忍び込んだ挙句に追われて川に飛び込んで泳いで逃げるし、新しい女友達とも気持ち良い関係を作る(現役!)。何より、精神が純粋で、ナチ政権下で検事だった頃のことを背負い続けて自問しているところが実に魅力的だ。そうだ、男の人が老いる瞬間というのは、自己肯定にあるのではないか。俺はこれでいいんだ、と思った一瞬から老人へまっしぐら。女は逆だ。私なんてもう駄目ね、と諦めた時点で老女化してしまう。自分の判断は間違っていたのでは、と意識し続けるゼルプを見よ!、じりじりと真相に迫って行くではないか!!。何だか読後、興奮してしまったぞ。
阪本 直子
評価:A
猫と暮らす私立探偵には、人に言えない過去がある。親友にして亡妻の兄である化学工業会社会長の依頼は、コンピュータシステムに侵入したハッカーの追跡。それが新たなる事件を呼び起こして……。
という、思いっきり「そうそう、そうでなくっちゃ」な私立探偵ミステリだが、主人公はちと異色。何と68歳なのだ。しかしよく食うし飲むし煙草も吸うし、立ち回りも色恋もある。相手は二人、しかも親子ほども年下だ。体力維持に必死なようには書かれてないから、ひょっとしてドイツじゃ珍しくないんでしょうか。す、凄い。
個人と組織、それぞれの過去と罪の相克は探偵ミステリの常道だが、この小説の場合は一際重い。探偵が事件の観察者であることを許されなくなってしまうからだ。当事者として彼が選んだ行為は、倫理的には確かに悪い。しかし、合理的でも論理的でもない個人の破れかぶれだけが、巨大な組織が予想し得ない唯一有効な反撃であるのかもしれないのだ。
仲田 卓央
評価:B
翻訳ミステリーを読むたびに、ちゃんとしてるよなと思う。まあ、輸入前にきっちり淘汰が行われたうえで日本語に翻訳されるのだから、当然といえば当然かもしれない。この作品も例に漏れず、ものすごくちゃんとしてる。人物設定とその描写、プロット、どんでん返し、すべての点で隙がない。細部の描写に関しては、それが正しいかどうかを判断する知識がないのでなんともいえないが、多分ちゃんとしてるのだろう。しかし、である。なんかここまでちゃんとされると、逆に面白くない。私のように文句をつけてる時間が一番楽しい、というようなひねた人間にとっては突っ込めないものは一番しゃくに障る、というだけでなく文句のつけようのないということは、もう行き止まりということと同義だ。作品としてはほとんど隙なし、しかし隙がないがゆえに評価Bというこの気持ち、ご理解いただけるだろうか。
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