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  冬の伽藍  冬の伽藍
  【講談社文庫】
  小池真理子
  本体 838円
  2002/6
  ISBN-4062734672
 

 
  石崎 由里子
  評価:C
   結婚生活3年目にして未亡人となった、若くて美しい薬剤師の主人公。妻を失った過去を持つ若く美しい面持ちの医師。そして、その父。
 舞台は軽井沢で、未亡人は若き医師とその父、二人の男性の間で揺れ動く。
 お昼のドラマのような設定だなあ、と思いながら読み進めると、次から次へと湧き起る男女の生と性が引き起こす事件、事件。
 これが美しくない男女の交わりだったら生々しい感じがして、現実味があるのだけれど、美しい役者たちが揃いすぎて、ちょっと食傷気味な感じがした。

 
  北山 玲子
  評価:D
   夫を事故で亡くした悠子は、薬剤師として働くために軽井沢の診療所へ。医師の兵藤はどこか影のある無愛想な男だが、やがてお互い惹かれあう。しかし、そこに兵藤の義父・英二郎がからんできて、やがて事件が…。テレビの安っぽいドラマみたいな内容と、絵に描いたようなキャラ。エピソード自体には重みがあるのだけれど、細部を描くことよりビジュアル重視みたいな部分が全体を薄―い感じにしている。夢見てんじゃねえよといいたくなる人たちばかりの中で、たった一人家政婦の春江さんだけがフツウのおばさんぶりを発揮して、夢の世界と現実の橋渡しをしてくれる。
 しかし、やっぱり舞台は軽井沢じゃなければだめなんだろうか。例えば、失意のヒロインが常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)でパートを始め、そして事件が!…じゃ、だめなんだろうね、そうだよね。

 
  山田 岳
  評価:B
   ビスコンティー監督の「イノセント」はふたりの女のはざまで破滅する男の話だったが、ついに、ふたりの男の間で破滅する女の小説が生まれたのか!と、おもったのに。やっぱり破滅するのは男なのね。後半3分の2は、つけ足しのような気がします。それでもまあまあ読ませます。

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