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  上海ビート 上海ビート
  【サンマーク出版】
  韓寒
  本体 1,800円
  2002/7
  ISBN-4763194232
 

 
  石井 英和
  評価:B
   こいつは新鮮で痛快な少年小説だなあと、なんだか爽やかな気分になってしまったのだ。かったるい現実社会に敢然として挑む青春の日々の、当然ながらカッコ悪い戦いの記録がドタバタ調に描かれ、しかも永遠のマドンナに寄せる想い付きである。それにしても主人公の少年が可能性を信じて打ち込む相手は、「文章を書くこと」なのだ。作文コンテストに応募したり、憧れの人に詩なんか書いて捧げちゃう。ケ−タイもシブヤもエンコ−もない若者小説の、なんと新鮮であることか。これは中国が舞台だからってだけの理由じゃないよ、日本の書き手の皆さん!主人公の「戦い」の首尾はドジの連続であるが、ラストに受け取る意外なプレゼントは心温まる。間断なく差し挟まれる、中国四千年の伝統に連なる(?)皮肉の効いた警句の数々が、苦くも楽しい。

 
  今井 義男
  評価:D
   上海はいいとしても、ビート? いったいこの緩慢な小説のどこをどう切り取ればビートなどという言語がひねり出せるのか不思議だ。人口比率からして90万部がそれほどすごいことかどうか疑問だが、なんせペンより剣のほうが百万倍強いお国である。香港と並ぶ特異点上海でこんなものだとしたら、作家の将来など知れたものだ。こういっては不躾だが、内に飲み込んだ剣があるなら、一刻も早く海外に居を構えて『アナザー上海ビート』を書いてみせてほしい。万里の頂上も遠くから眺めて初めて全貌を知ることができる。書く気になれば、いや書かねばならないテーマはおそらく一生分は優にあるはずだ。私は愛国者ではないがこと小説に関してだけはこの日イズル國に生まれたことを心から感謝している。

 
  阪本 直子
  評価:B
   髪サラサラ、甘いマスクの著者近影。おお、これは写真も載せたくなるってもんだ。作者は1982年生まれ、17歳でこの小説を書いたそう。主人公も17歳なので、つまりこれは青春小説ということになる。それも、実際にその年代にある作者による青春小説だ。だから30代40代の作者が書く青春とは相当に違う。切ないとか甘酸っぱいとか眩しいとか、そんな要素はどこにも見当たらない。登場人物は大人も子供もどいつもこいつも皆姑息で小ずるくて見栄っ張りでバカで、目先のことしか考えてない。受験勉強に疲れても、「そもそもこんな勉強が何になるんだ! 俺は虚しい!」なんてことにはならず、只単に怠けるだけ。主人公が一目惚れする美少女は、自分の成績が学年1位だから、付き合う男は2位がいいとのたまう。徹頭徹尾、皮肉で斜に構えてて性格の悪い文章で、ダメ少年の恋と受験を意地悪く描き尽くすのだ。このダラダラ感は、活字による少年マンガです。

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