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└2001年5月
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
石の中の蜘蛛
【集英社】
浅暮三文
本体 1,700円
2002/6
ISBN-4087753034
石井 英和
評価:A
事故をきっかけに異常に聴感覚が鋭敏になってしまった主人公が体験する、見えないはずの事象が音によって浮かび上がってくる奇妙に歪んだ世界と、そこにおける冒険談。妙なアイディアを思いついたものだ。その、過度に音方向に偏した世界の描写は不思議な美しさを持ち、即物に徹していながら、にもかかわらず主人公の精神世界をザラザラと抉りだしもする。音によるこのような作業が物理的に可能かどうか私にはなんとも分からないのだが、著者のスト−リ−運びはそんな疑問を抱く暇を与えず、読者を物語の世界に引き込んでしまう。とにかくこれを発想し、サスペンス仕立ての一本の物語に昇華させた、というだけで十分称賛に値しよう。都合のいい偶然が起こりすぎる部分もあるが、そもそもすべてが歪んだ鏡に映ったような不定型な物語なので、さほど気にならず。
今井 義男
評価:D
《ファンタジーとハードボイルドの融合》だそうである。過去にW・ヒョーツバーグの『堕ちる天使』という成功例があるにはある。鈴木泉三郎の『生きている小平治』のニュアンスもそれに近い。他にあまり思いつかないが、なんか凡作怪作の跳梁しやすそうな看板である。作家は作品における神であるから、どんなことでも自由自在に書けばいい。ここまで読者に気をつかう必要なんて少しもなかったのである。並外れた感覚を説明するための字数と労力が、なにからなにまで逆効果。作者の力の入れようがこちらの意識を字面からどんどん乖離させる。この齟齬はいったいどこから生じたのか。少なくとも、私が小説に期待しているのは<説明>ではなく<翻弄>である。メッキであろうとイミテーションであろうと面白ければそれでいい。本書の《新しい試み》は融合というには抵抗が大きすぎた。リアリティ偏重の弊害がここにもある。
唐木 幸子
評価:B
交通事故が原因で異常な聴覚を持ってしまった男が主人公だ。冒頭部分で、この聞こえ過ぎる聴覚を彼が自覚するところの表現がすごい。ふだんは意識しないような音(心臓の拍動や薬のカプセルをシートから出す音など・・・)まで、音が物体になって痛みさえ伴って大迫力で主人公を襲う。また、引越し先のマンションの部屋中をコンコン叩いて回って、そこで得られる微音から、前に住んでいた女性のプロファイリングをしようとするあたりも大変にリアルだ。こんなことは実際は無理だろうと思ってもつい、なるほど、と感心してしまう。また第3章にあったが、夢を見るのはその日一日の記憶を整理して消すため、という脳検査の分析も興味深い。そうだったのか・・・。帯に【新感覚ハードボイルド】などと書かれているが、むしろそういうドンパチ的内容は希薄なのでハードボイルド嫌いの読者でも興味深く読める。
阪本 直子
評価:D
交通事故にあって以来、聴覚が異常に鋭くなった主人公。それはどんどんエスカレートし、音が視覚で現れ遂には過去の情報までも音から読み取れるようになる。引っ越した部屋の前の住人は、失踪した女性だった。部屋に残るその女性の痕跡を異常化した聴覚で捉えた彼は、見たこともない彼女に執着し、行方を追い始める……。
という、何というか、新人映画監督の第1作!みたいな話なんですが。主人公には非常に重い過去があるんだけど、何故か話の流れにはまるで無関係。全編、彼が失踪女性を追う過程のみで成り立ってます。でもそもそも何で追うの? 色々理由はついてるけど、要するに単なるストーカーにしか見えないんですが。しかも文章までがその追跡並に執拗だから、偏執狂の印象は一層強まる。主人公の一挙手一投足、耳が拾ったあらゆる音。その全てが病的なまでの正確無比さで余さず説明し尽くされるのだ。この過剰さは感情移入の妨げです。
谷家 幸子
評価:D
恋愛小説、時代物と並んでほとんど手に取らないジャンルがハードボイルド。これまた全くもって偏見以外の何者でもないのはわかってはいる。いるのだがしかし、今回のように見事に悪いほうに予想通りになってしまうと、「ほらねー」なんてな悪態のひとつもつきたくなろうってもんだ。ただねえ、これはホントに「ハードボイルド」なの?帯文に「新感覚書き下ろしハードボイルド」とあったけど、内藤陳さんとかからクレームついたりしないのだろうか。私の個人的なイメージからすると、これがハードボイルドとは、とても思えないのだが。まあ、それはいい。面白いなら、そんなのどっちでもいいっちゃいいんだから。
設定はものすごく期待させる。事故にあって異常な聴力を獲得してしまった男が、その聴力を使ってある女を捜そうとする、というのは魅力的なシチュエーションだ。しかし、胸躍るこの設定は、読めど読めど全く動き出さない。聴力の説明にこだわりすぎ。ヘタな翻訳物によくある、わけわからん比喩をえんえんと並べた感じといったらよかろうか。そんなにこだわったわりには、捜してる女があまりにもしょぼい、っていうのも決定的につまらない。
中川 大一
評価:C
人並みはずれた聴覚をもってしまった男が、「音」を頼りにある女を捜す。部屋の中に聴診器を当ててまわると、過去に住んでいた人間の足音や聴いていた音楽が聞こえてくる。そうすると歩幅から身長、体格、趣味嗜好まで分かるという仕掛けだ。また、鍵なんかもピンがシリンダーの内部に当たる音を聞きながら開けちゃう(この、マンションの扉を開錠するシーンは、とくにうまい)。なるほど現代は圧倒的な視覚優位の時代だから、こういう視点は面白い。でも、住人の尻の大きさやセックスの体位まで分かるのは一体どういうことか? 尻を乗っけてた場所は他と音が違うっていうんだが、それは聴力が鋭いんじゃなくって、単なる超能力でしょう。挑戦意欲はよろしいが、時々床を踏み抜いた、という感じでしょうか。
仲田 卓央
評価:C
車にひかれたショックで異常な聴力を身につけた男が謎の女の行方を追うという、なんというか実にご苦労さんな小説である。大変だろうなあ、こんなに聞こえたら。とにかく一番の読みどころは、「音だけを頼りに女の行方を追う」というところであろう。どうやら音が形になって聞こえる、というか見える主人公は、執拗に辺りの音を「聞いて」まわる。そのときの必携グッズがスプーンで、これでその辺をコツコツやって反響その他の音を探りながら情報を集めるわけだ。このあたりの描写がすごい。思わず「大丈夫?」と心配したくなってしまうぐらいに、しつこい。この、しつこ描写だけでも一見の価値ありだとは、思う。しかし、この主人公がなんでそんな女捜しにこだわってるのか、それが今ひとつ理解できない。そして超人的な能力の常として、そんなことまで出来るなんてずるい! と思わないでもない(例えば聞きかじりの知識だけでピッキングができるようになっているとか)。聞こえすぎて困るはずの主人公は「思わずラジオのボリュームを上げて」しまったりする。でもそこら辺はご愛嬌ということで、か?
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