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└2001年5月
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
グッドラックららばい
【講談社】
平安寿子
本体2,000円
2002/7
ISBN-4062113228
石井 英和
評価:D
まあ、なんといいますか、ぶっこわれた「サザエさん」のようなものでしょう。妙に日向臭く生暖かい、ご近所の噂話が大好きな感性が、一つの「家族」の顛末を語る。その、目の先3センチ以内の出来事のみ興味があるような視点で語られるのは、どこかで聞いたようなエピソ−ド連発のチマチマした人生譚であり、読んでいてもせせこましい気分になるばかり。とにかく重箱の隅をつつき回ったような作品で、世界が狭すぎて悲しいよ。芸術は爆発じゃなかったのか?家族一人一人の人生に寄り添うように語られる「時代」も、その視点がとにかく、ご近所のオバチャンたちの噂話のレベル、「最近の若いコって、こうなんですってよ」でしかないので、事象の追認にしかなっていない。とにかく際限のない茶飲み話の垂れ流しに辟易させられた。
今井 義男
評価:AAA
親子間、男女間で発生する悲劇のおおかたは、互いに理解し合えているという根拠のない思い込みから始まる。片岡家はそんな轍を踏まない。各々のライフスタイルに相手の理解を必要としないから悲劇になりようがない。ただ、その代わりといってはなんだが喜劇じみたことは多少起きる。事の発端は家族を置き去りにして出奔する母。あろうことかそれを唯々諾々と受け入れる父。どんなときでもマイペースを崩さない長女。自己愛と逆境が上昇のエネルギーとなる次女。これら傑出したミーイズムが日本的もたれ合いベタつき構造の呪縛から四人を完全に解放しているのだ。まさに奇跡の一家といえよう。私の理想とする家庭の真の姿がここにある。家族という括りに甘い幻想を抱いている人には、徹底して不愉快な作品であってほしい。そしてすでに諦めの境地に達している人には、さらなる幻滅を。
唐木 幸子
評価:A
前作『パートタイム・パートナー』は幇間そのものの男が主人公で今ひとつだったので、如何なものかと思って読み始めたのだが、この著者、ものすごい脱皮。これは大笑いの面白本だ。中年夫婦に娘二人の一見、平凡な家族が主人公だが、何と言っても話を引っ張っているのは次女の立子だ。無理してお嬢様学校に通う目的はひたすら金持ち男を捕まえて結婚すること。その果てしない上昇志向と必死の世渡りは実を結ぶのか、こういう女はいったい、どんな男と結婚するのか。嬉しいのは章が変わるごとに5年10年はあっという間に過ぎて、次から次に立子の人生の進み具合がわかることだ。他にも、長女の積子の駄目男好きはどうにかならんのか、家出した母は父を裏切っているのかいないのか、そもそも一体どこで何をしているのか。浮かぶ疑問の全てがグッドタイミングでアッサリと明かされていく。そして読後は、「私の人生もまだ何かあるかも」と不思議に力づけられたのだった。
阪本 直子
評価:A
うわははは。また何ちゅう小説じゃ、これは。この題名で家族小説で、しかも作者の「わたしのすべて」が詰まった渾身の作品だなどと言われれば、こりゃどうしたってある種の先入観を持ってしまうではないか。それが何でこれなんだ! って、いや文句言ってるんじゃないんですけども。
主人公片岡一家のみならず、脇役も端役も出てくる奴全部、まあ見事に自分勝手。こうも勝手な奴ばかり揃うと、勝手さにも松竹梅並の違いが生じてくる。片岡一家はさすが主役の貫禄だが並以下の奴も結構いて、こういう手合いが多いと読んでて不愉快になりがちなもんだが、文章の力が効いている。ゲラゲラ笑いっ放しで読めるのだ。
と、私は非常に楽しめたんですが、いざお薦めしようとしてふと覚えた一抹の懸念。男性の方にお尋ねします。あなたはもしや、女はその本然として男を愛し慈しみ包容し、見守ってくれるとお思いですか? あ、それなら読まない方が絶対にいいです。
谷家 幸子
評価:B
なんかねー、どーしてもこの作者の名前「へいあんとしこ」って読んじゃうんだ。変な名前だなーとか思って読み終わってから気付くんだけど、「たいらあずこ」ってのも変わってるよね。でもさ、「たいら」と「あずこ」の間もう少し開けといてくんないと絶対見間違うと思わない?
…などと雑談をしている場合ではないのだが、前作「パートタイム・パートナー」に続き、さくさく読んで楽しめる快作だ。前作でも感じたが、この作者は本当にセンスがいいと思う。人や物事への視線の高さ、社会常識との距離の取り方など、絶妙のバランス感覚を感じる。「ちょっと家出」して20年帰って来ない母親、それを「まあいいじゃないか、様子を見よう」と淡々と受け入れる父親。普通の感覚からすればそうそうあり得ないこの設定、突拍子もないわりには妙にすんなりと納得できるのは、このバランス感覚の成せる技だろう。ドライすぎずウエットすぎず、の按配も良し。唯一、かわいげ皆無でいけ好かないキャラだった立子も、ラストではいい味出していたし。
旧態依然の家族観を笑い飛ばすこの感じは痛快至極。支持します。
中川 大一
評価:C
一言でいうなら、本書は小粒の大河小説である。うーむ、我ながらうまい喩えだ。ばっちり決まったぜ。なに、矛盾してるって? 「大きな小犬」とか「温かい氷」みたく? つまりねぇ、親子三代にわたって延々家族の系譜が辿られるところは「大河」小説っぽい。ところが、特定の主人公を設けず、直系以外の周辺的人物もていねいに描かれるゆえ、一人当たりの記述は結局五十ページ未満。これは中編の主人公級の分量であり、「小粒」に感じられるゆえんだ。例えば、同じく家族の歴史を題材にした佐藤愛子の『血脈』など、思い出すままに書き連ねた筆致はいかにもバランスが悪い。それでも本書よりはるかに大粒に思えるのは、単に厚さや知名度の問題ではあるまい。一人ひとりに吹き込まれた魂の激しさが違うんだね。
仲田 卓央
評価:B
この物語に出てくる人たち、そうとう変わっている。「ちょっとそこまで」という調子で家出して、10年以上も帰らない母(真相はちょっと違うのだが)も、その家出を「ウフッ」と笑って娘たちに伝える父も、それを聞いても「そおかあ」という程度にしか思えないマイペースな姉もみんながみんな、変わっている。母の家出に対して泣いたり怒ったり、唯一「正常な」反応を示すのは妹ただ一人だが、リアリスト路線をまっしぐらに進んだ彼女も、すごく変わった人生を送る。彼らには「みんな違って、みんないい」と思う余裕も、「自分のへんてこさを誇りに思う」力強さもない。それでいながら淡々と、そして確実に「変わった」人生を歩み続ける彼らの物語は、「普通ってなに?」という、ひどく真っ当でつまらない、しかしそれだけに深い命題を私に投げかけるのだった。
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