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マーティン・ドレスラーの夢
【白水社】
スティーヴン・ミルハウザー
本体 2,000円
2002/7
ISBN-4560047480
石井 英和
評価:A
アメリカの消費社会が形成されていった、その一過程が活写されていて興味深いものがあるが、単なる立身出世物語のようでいて、物語の深部にはもう少しねじれた心根が横たわっている。冒頭の主人公の少年時代、古きニュ−ヨ−クの街角の描写が美しく、また、頂点を究め、そして滑り落ちてゆく過程で主人公が紡いだ現実を離れた美もまた忘れがたいのであるが、そのすべてをいかにもこの著者らしいある種オタクな夢想の色が濃厚に覆っているのだ。主人公を巡る女性たちが皆、現実から浮遊し夢の内に彷徨い出ようとする主人公を地中に引き戻そうとする、泥から生まれた血塗れの地母神を彷彿とさせる存在として描かれているのも象徴的。副題の「アメリカンドリ−マ−」なる理念に潜む幼児性と、それゆえに抱え込んだ精神的空虚がこの作品の裏テ−マかと思う。
今井 義男
評価:D
自社製品や社内の飲料水に<波動>を照射したり、会議中急に床に這いつくばって地震を鎮めたりする経営者が実際にいる。なにもおかしくはない。彼らにはそうする権利がある。自ら興した会社で人から指図されるいわれはないのだ。この退屈極まりない出世話の末尾に突如出現した毒花グランド・コズモ。乱歩のパノラマ島も顔負けの怪奇趣味まるだしビルジングが発散する異様な熱気。おお、マーティンもやるときはやるもんだ、と思って喜んだのも束の間あららもう終わりだ。ここがいちばん面白そうなのに。なんか凋落の象徴みたいな扱いだし。この閉じまくった部分を掘り起こしてこそ《マーティン・ドレスラーの夢》が総括できたものを。今からでも遅くない。グランド・コズモ復元がアメリカの急務だ!
阪本 直子
評価:A
19世紀末、アメリカはニューヨークにおける立身出世物語。としか見えないのだ、最初は。何せ原題にはアメリカン・ドリーマーなんて言葉も入ってるし。主人公は14歳でホテルのベルボーイになったのを皮切りに、徒手空拳の若者でも己の才覚一つでどうにでもなる商売の世界へ水を得た魚のように飛び込んで行く。成功に継ぐ成功、発展に継ぐ発展、だけど勿論このままの筈ないよねえ、そもそもそれじゃ退屈過ぎるし。最後は破産とかするんだろうなー、貧困のうちに死ぬのかしら。などと思ってたんである。ところがどっこい。そんなつまらん因果応報人生は邯鄲の夢的物語なんかとは一味違いましたね。この主人公はビジネスマンではなかった。そこに山があるから登らずにはいられない冒険家、表現することをやめられない芸術家だったのだ。
全然違うけど『ガープの世界』や『ホテル・ニューハンプシャー』を連想しました。普通に語られる、特別な人の物語ということで。
谷家 幸子
評価:B
アメリカ人の好きそうな、まさしく「アメリカン・ドリーム」なお話。こんなに何もかもがトントン拍子な人ってほんとにいるんでしょうかね。まあ、いるんだろうけどさ、ちょっと鼻白む部分があるのも事実。とはいえ、設定された時代背景からすると、全てのものが右肩あがりで成長していった、熱病のような「時代の気分」は察することは出来る。そして、こういう熱気はアメリカ人ならずとも確かに面白い。読み手としては、主人公マーティン・ドレスラーの視点で物語の中に入っていくのだから、痛快きわまりない展開ではある。実際、成功に成功を重ねる、緊密感あふれる中盤過ぎまでは一気に読み進んでしまった。夢が覚め始める終盤あたりから急速に冗長になってゆく展開は、多分計算してのことだろうが、やはりちょっとしんどい。成功から転落まで、というのは必然だと思うけれども、えんえんと続くグランド・コズモの描写には正直辟易させられた。繭玉の中に閉じ込められてゆくかのようなラスト・シーンの秀逸さが救い。
中川 大一
評価:B
本書の魅力はたくさんあるけれど、一つは著者の色彩感覚だろう。バラ色の未来などとよく言う。では過去はどうなのか。セピア色? それは記憶の中の過去だろう。あるいはモノクロ写真からの連想か。現実には、過去の世界にも何らかの色が付いていたはず。舞台は19世紀末から20世紀初頭のニューヨーク。そこには、例えばこんな小物たちがちりばめられている。磨き上げられた濃い色の木、深紅のビロード、青いガラスの球、真鍮の番号札、象牙色の葉が曲線を描き銀色の蔦の絡まる模様のついた青緑色のソファ……。原色でも単色でもない彩りと、それが付された品々。この引用だけでも100年前の雰囲気がよく伝わってくるだろう。別世界に浸(ひた)る。そんな感覚をもたらしてくれる小説はそう多くない。
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