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最後の息子
【文春文庫】
吉田修一
本体 505円
2002/8
ISBN-4167665018
石崎 由里子
評価:A
主人公のぼくと、恋人のオカマ閻魔ちゃんとの同棲生活を、互いにハンディカムで写しとっていった日常を編集したビデオ。その映像はちょっと手ブレしていて、ときどき急に意味も無く何もない床が映ったり、関係ないものが映ったりする、そんなライブ感のある、ごく個人的なフィルムを見ている感じが、そのまま文章化されているのがすごい。小説はさながら、ビデオのナレーションのよう。
だけど一番笑えたのは、フィルムに映っていない、ドラマみたいなド派手な喧嘩シーン。恋人に求められている役割を演じること、ある種プレイとしての喧嘩も、いつかは興奮した出来事として二人の想い出となって残る、そんなロマンティシズムもあるんだろうな、と感じた。
閻魔ちゃんとぼくとの暮らしは、愛なのか、なんなのか。それがラストに、実に東京っぽく描かれている感じがした。
内山 沙貴
評価:C
本書の内に収められた3つの中編小説のうち「最後の息子」はすえた黄色のわら半紙を思い出させる。古い記憶に一本の髪の毛とホコリが積もり、実体はよく分からない。2作目の「破片」は物置に放置された箱の中の宝物の記憶。開けると同時に暴力と破壊の思い出が漂い、やっぱりよく分からない感じ。でも少しだけ虚しさと郷愁が香っていた。最後の作品「Water」は3作品中唯一よく分からなくない作品で、朝の木漏れ日、プールの水面に反射した光、膨張した夕日といった自分一人の美しい記憶が封印されている。いつか崩れる友情関係、誰もが自分のことしか考えられない時代の危うさ。どの作品にも、美しくない記憶が美化される前に真空パックで閉じ込めてある。ページは開かれ、その時初めて時は動き出す。不穏で穏やかな作品集であった。
大場 義行
評価:C
三編ともバラバラの為にちょっと評価が難しい。最初の短編である「最後の息子」はいかにも新人賞受賞作といった感じの文芸作品。最後の短編「water」は完全に青春もので、泣いてしまったほど。あいだに入った「破片」はそのちょうど中間という感じ。と別物に近い。なので、平均点をとってCという事で。ひとつ、この作品群に共通点があるといえば、作者の視点。冷静に自分を含めて周りを見ているようではあるのだが、どこか自分を苛めたい、なんだか自分ってダメでしょという感じ。この女々しさがある種魅力的ではあったと思う。自己愛に近いこの感覚は、最近あまり観られなくなった気もして、ちょっと面白い気がする。
北山 玲子
評価:B
オカマと同居しながらもちゃっかり彼女までいる青年、酒屋を営む父親と兄弟、仲のよい水泳部員たち。三つの話はどれも一見、さわやか。けれど表面をペロリと剥いてみると、中からどんよりとした閉塞感や苛立ちがじわじわと浮き出てくる。特に表題作の青年は定職を持たずオカマの閻魔ちゃんのヒモで、面倒見てもらいながらも心のどこかで閻魔ちゃんを小馬鹿にしているという鼻持ちならない男だ。けれど鼻持ちならない青年が何かに気づく瞬間、一気に暗雲を吹き飛ばし物語に光が射し込んでくる。コントラストの描き方とラストの結び方がとてもうまい。正直言って以前もどこかで読んだことがあるかな?と思わせるような作品だけど、他人との距離のとり方や絆について真剣に探そうとしている登場人物たちになかなか好感が持てた。
佐久間 素子
評価:B
短編集という性格の本でもないので、ここは表題作について触れるのが正解なのだろうけれど、ザ・青春小説とでもいうべき『Water』がたいそう気にいってしまった。打算も弱さも汚さも滑稽さも全部抱えて、それでも無防備にまっすぐな高校水泳部員(男子)の輝きに、かなう者などいない。さらりと書いているけれど、キラキラした瞬間を切り取ってひたすらまぶしく、いとおしい。宝物のような短編だ。表題作は、閻魔ちゃんがあまりに記号的なオカマで、ちょっと困惑。もっとも、不愉快ではないし、限りないあてどなさに不思議な魅力あり。残る『破片』は重くて暗くてピンとこなかった。こっちの方向には行ってくれるなと個人的には願いたい。
山田 岳
評価:B
おなじ著者の作品とは思えないほどタッチの異なる3篇を収録。個人的には中上健次をほうふつとさせる「破片」がよい。長崎の坂道をビール・ケースをかかえて運ぶ男の汗が行間から立ちのぼり、むせかえるほどだ。「Water」はうってかわってすがすがしい青春ドラマ。がんばることに照れながらも、水泳競技会をめざしてがんばってしまう長崎の高校生。10代の無力さを実感していく過程があるからこそ、おしつけがましさがなく、好感が持てる。プールのカルキくさい臭いも感じられる。タイトル作だけが、何の臭いも感じられず、妙に都会的で好きになれない。
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