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  男の子女の子 男の子女の子
  【河出文庫】
  鈴木清剛
  定価 704円(税込)
  2002/9
  ISBN-430940667X
 

 
  石崎 由里子
  評価:C
   隣人の顔も見たことがないまま、引っ越しをむかえる、そんな御時世。
 人と人は、同じ空間にいるから親密なわけではない。時間を共に過ごしても、たくさんお話ししても、心まで重なるのは、互いが求め、求められてようやくのことだと思っている。それでも「わかる」に至るのは難しいのだけれど。
 本書の人との関わり方は実にあっさりしていて、そこにはやさしさもないけれど、悪意もない。ゆえに深みもない。おそらくその部分を表現しているのでしょうけれど、その関係性にどうしても感情移入できなかった。

 
  内山 沙貴
  評価:C
   好きな人ができたら別れよう。ふたりの約束はちょっと前の時代の“永遠”の幻想を裏切る。素直で切ない将来への保険。でもやっぱり追いかけてしまう、しがみつきたくなる。いなくなった恋人を探すイツオ。取り残されて、それでも彼女の帰りを待つ。いつの日か、青い空に浮かんだ飛行船を眺める。晴れた午後、海と空の境界に浮かぶタンカーが見える。落とされた不安の染みをいくつか抱えて目の前に繰り広げられる晴れ晴れとした景色。それは人が騙されてみたい幻想。なにげない日常を集めたような文章の中に、静かな意志が流れていた。それは人の生き方、矛盾に満ちていて、切なさにもどかしくなる小説だった。

 
  大場 義行
  評価:A
   文学を学んでいた人が、文学的に書いたとか、ちょっと模写したという作品ではなく、なんとなく文学チックというのがぴったりという所に好感が持てた。文学を意識しないのに、うまく文学チックに、現代をスケッチしたという感じ。いいですこの作品。何も知らないまま同棲をする二人、謎というか意味不明のモデルという設定等も巧く、印象に残る作品だった。終わり方がどうしようもなく切なくて、でも泣くまで行かないというのもまた良かった。久々に何も起きないし、普通に生きている姿を描いているだけという作品で、面白いという作品にであったような気がする。

 
  北山 玲子
  評価:C
   仲良しのツオくんとサワちゃんの輪にハルミさんという年上の女性が絡んでくることでバランスが崩れてしまうというオーソドックスなラブストーリー。ではあるけれど、空気感を描くのがうまい。例えばカラフルな雑貨でいっぱいのサワちゃんの部屋、高円寺という街の雰囲気、学校の昼休みのざわざわした感じ。そんな風景の空気感がものすごく伝わってくる。純粋に恋愛がテーマの物語。久々にちょっとくすぐったくて照れくさーい気持ちになった。
 でも、ひとつ言わせてもらえるのなら、謎めいた30代の女性って小説でも映画でもよく登場するけど、じゃあ、年上の女は皆謎めいていなければだめなのか?という疑問と多少のプレッシャーを感じるのでもうやめてくれませんか。30過ぎたら謎めかなきゃダメなのかよと、ひねくれてしまうので。

 
  操上 恭子
  評価:D+
   ミステリや冒険小説が好きなので、ひとつの事件や冒険が終わり、謎がとけて大団円というエンディングに慣れている。また、純文学の場合は、果てしなくつづく日常のほんの一部分を切り取ったものが普通だから、物語が終わっても今日の後に続く明日が透けて見える。ところが、本書の場合、終わり方があまりに唐突でイツオの明日が見えてこない。それとも、私に若い男の気持ちがわからないだけなのか? 男の人には日常生活に戻るイツオの姿が見えるのだろうか? 消化不良な一冊。

 
  佐久間 素子
  評価:D
   かわいい彼女とおくる低温な日常、に入り込んでくる年上の変な女。どうなりとも料理できる設定である。主人公の感性と、物語の空気感に、どこまで共感できるかが、評価を分けるというタイプの小説だろう。悪くなかったし、退屈もしなかったけれど、所々に違和感があった。変な女の変な女としてだけの扱いや、ばらまかれている固有名詞のいかにも小道具という扱いに。いつもなら迷わずCだが、この小説には、はっきり嫌いな部分があるのだ。本屋で画集を切り取ったり、込み合った電車で「広告を見て歩くひとり遊び」をしたりする無神経さ。無神経を無神経とえがかない作者の姿勢と言うべきか。そんなわけで、評価を1ランク下げてDとした。

 
  山田 岳
  評価:D
   いまどきの感性ねえ(^-^;)。すぐに流行おくれになって、ゴミ箱に捨てられる<いま>。ちゃらちゃらとした文体と、関東人の書いた関西弁に閉口。

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