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最後の審判
【新潮社】
リチャード・ノース・
パタースン
本体 2,500円
2002/9
ISBN-4105316036
大場 利子
評価:B
これほどまで、家族を愛したり憎んだり出来るものなのだろうか。
空は低く、雲は厚く濃い灰色で、人の気分までも晴れない。最初から最後までその調子だ。
「子どもは親を喜ばせるためだけに生きているわけではない、と、キャロラインを全寮制の高校へ送り出すとき、父は言った。親もまた自分自身を喜ばせるために生きているわけではない、と。」そう言いながら、親は子を愛し、子は親を愛した。その愛し方が過度な故に、数々の事件が起こり、物語は始まり終わる。確かに法廷ミステリーではあるが、そちらよりも、家族の物語として読んだ。
この本のつまずき→「消えてしまえ、呪わしいしみ」。何の例えだ?
小田嶋 永
評価:A
湖畔でマリファナとワインに悪酔いし、気がつくと恋人の刺殺体を目の前にし、容疑者にされてしまったという姪の事件を手がけるため、弁護士キャロラインは、23年ぶりに帰郷する。事件そのものは単純である。ヒロインの登場場面もかったるい。表面的にストーリーを追うと、事件の背景にある家族関係が小出しに出てきて、まあ、法廷の予審場面のやり取り、切れのよさに満足を見出して読了、としてしまいかねない。しかし、ここはヒロインのキャロラインに注目したい。これはキャロラインというヒロインの物語なのだ。事件の真相を明らかにすることで、よみがえり、新たにもたらされる苦悩。キャロラインのもつ“予感”に沿って読み返してみると、巧みなプロットに気づき、ヒロインの内面への感情移入がより深くなる。「父親が娘を守るのであって、けっしてその逆ではない。どうして、わたしを守らなければなどと思ったのだ?」こんな父と娘の関係が、なぜ裏切られたのか。かったるいと思ったヒロインの登場場面も、意味深い。惹句の「法廷を揺るがしたのは、一族に秘められた過去の愛憎劇」は間違い。愛憎は法廷では裁かれず、キャロラインの内面で爆発し、必死で愛する家族を守ろうとするエネルギーに変わる。恐ろしくタフなヒロインではないか。
新冨 麻衣子
評価:A
事件の謎や法廷シーンが素晴らしいスパイスとなって、女性弁護士キャロラインの過去を鮮やかに描き出す、上質のサスペンスだ。
合衆国最高判事への道を順調に歩み続けるキャロラインはある日、姪が恋人を殺した容疑で逮捕されたことにより久しぶりに故郷へ帰る。23年前に永久に戻るまいと誓ったニューハンプシャーへ。第一に、姪ブレッドが犯人であるという状況証拠や不利な証言が次々と浮かび上がってくるなかで、キャロラインはいかにしてこの事件をおさめるのか。そして第二に、キャロラインの若き日、彼女と家族との間に何が起こったのか。この2つの物語が微妙なタイミングで交差していくなかで、いつの間にか核心がキャロライン自身の問題へシフトしていき、そしてその中にこそ姪の事件を解く鍵がある。
人物描写とストーリーの組み立ての上手さは超一級品。この本と前2作で3部作とされているが、3作のなかでこの作品が異色かつベストです。
鈴木 恵美子
評価:C
作者がじらし上手なのか、単に当方が気短せっかちなのか、5回以上は後ろから読みたい衝動に駆られましたよ。でも散々もったいつけてじらしてくれた割には深みはない。アメリカンエンターテイメントによくあるプロットと数カ所の口説き文句だけで読ませる小説。だけど人物がどれも類型的、ぺらんぺらんで厚みがない紙人形みたい。まず、事件の発端となった殺人事件の被害者自体、顔がいいだけで自意識過剰の自己チュー男、こんな男にひっかかって夜遊び中、マリファナ、ワインで酩酊している内に殺人犯として告訴されてしまう娘もかなりバカに見える。「アメリカ文学史上に残る小説を書きたい」という夢を持っている割には人間洞察未熟で、結局自分が何者かも最後まで知らないんだよね。その娘の弁護のために、今までのキャリアとやっと手に入れるばかりになった判事の椅子を危うくするキャロライン、その23年前に故郷を捨てたいきさつや如何に?と言うところは引き込まれるんだけど、それも煎じ詰めれば今回の事件と本質を一にしていたというわけで、「最後の審判」となるわけ。まあ、父権支配の家族崩壊ドラマといったところで、父権支配なんて崩れて当然なんだから何の悲劇性もないわけね。
松本 かおり
評価:B
じっくりと腰を据えて読みたい法廷サスペンス。法廷モノの醍醐味のひとつは、散らばったパーツがひとつひとつ組み合わされていくような論証であろう。新たな事実をスト―リーに次々に盛り込み、読み手の推測を揺さぶり続ける展開には、最後まで緊張させられる。終盤「予審」の証人尋問は読みどころ。
主人公の弁護士キャロラインの姪・ブレットの恋人を殺したのは誰か。犯人探しの謎解きが進むにつれて徐々に浮き彫りになるのが、キャロラインと父親との相克。父親の偏愛と彼女の根深い憎悪がショッキングである。「子どもは親を喜ばせるためだけに生きているわけではないし、親もまた自分自身を喜ばせるために生きているわけではない」と一度は娘に言いながら、なお執着する父親。キャロラインが封印してきた過去につけ込むいやらしさは肉親ならでは。一度でも両親や親戚の毒に苦しんだ人なら身につまされるに違いない。
それにしても読後に気になるのは、キャロラインの目を釘付けにした「赤い日記帳」。トドメの一撃になり得たその文面を、どこかに出して欲しかった。
山内 克也
評価:B
アメリカの法廷ミステリは、日本より何十倍も面白い。理由の一つとして、司法の土着性に濃淡の差があるからだと思う。多くのアメリカの裁判小説を読むと、弁護士や警察はおろか、検察官や裁判官までも、「かの地の出身者」との設定も珍しくない。 この小説でも、女性弁護士が捨てたはずの故郷に戻り、若い頃の恋人で、その土地で検察官を勤めるバツイチ男性と交じり合う場面がある。中央集権的な司法制度下の日本では、古里での裁判の直前に、同じ古里生まれの検察官と弁護士が愛を交わすなんぞほとんどナンセンス。だが舞台はアメリカだ。法廷内で交錯する人間関係を緻密に演出することで、メーンストーリーの女性弁護士の名門一族による愛憎劇がより一層スリリングになっている。よく練られた法廷ミステリだ。
山崎 雅人
評価:B
弁護士キャロライン・マスターズは、殺人罪に問われた姪ブレッドの事件を手がけることになる。法廷で繰り広げられる検察と弁護士の応酬。敏腕弁護士が検察の主張を次々と論破していく。
ここまでは、ふつうの本格法廷推理だが、本書には、もうひとつの顔がある。敏腕法律家キャロライン誕生秘話である。
挫折、野心、決断、暗い影を持つ過去が回想されていく。苦しみからはい上がり目標に向かって突き進む、ひとりの女性の苦悩と成長が描きだされている。
そして、昔の恋人との再会により、魅力的なヒロインが完成する。
さらには、一族の歴史と愛憎劇が絡みあい物語を深化させていく。
主人公たちの人間模様は読みごたえ十分なのだが、法廷ドラマには不満が残る。もっと激しい弁論合戦などがあってもよいのでは。新ヒロインの今後の活躍に期待する。
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