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望楼館追想
【文藝春秋】
エドワード・ケアリー
本体 2,571円
2002/10
ISBN-4163213201
大場 利子
評価:B
ヘンテコな物語。
白い手袋を始終はめている男。テレビを始終見ている女。涙と汗を流し続ける男。犬女。反応のない父と母。きれい好きの門番。それと新しく引っ越してきたアンナ・タップ。
以上が、望楼館の8人の住人。こんな人達がいるんだもの。ヘンテコでないはずがないじゃないか。
この物語はいつ終るんだろうなんて、不謹慎な事を考えながら読み進めた結果、終らないで欲しいという結論に辿り着いてしまった。著者の想像力の海に投げ出されて、ヘンだヘンだと思い続けていても、望楼館の魅力とその住人の魅力にやられてしまった。
読み返すことにした。
この本のつまずき→996にもなる展示品リストが付録に。1から辿って、思いをはせる喜びがここに。
小田嶋 永
評価:C
共同住宅ものといえば、『誰にもできる殺人』であり、『めぞん一刻』だ。そこに住む、というか棲む人々の特異さかげんと、絆のようなもの、そのバランスをくずす新たな入居者の出現。本書にも、これ以上はない奇妙な人々が登場する。主人公は、常に白い手袋をはめた、なぜか唇が腫れている。職業は「マネキン人間」だ。趣味は、かつて人が愛していたものを拾ったり盗んだりしてコレクションすること。子どもが落としていったコンコルドのおもちゃ。「コックピットについた歯形や片方しかない車輪は、この作品の来歴を物語っていた。愛されていた証だ。じゅうぶんに資格がある。」このほか、汗と涙がとまらない元教師、自分は犬だと思っている「犬女」、住人ではないけれど公園で人の体重を量り続ける男など。こんなアパートが隣にあったらやだな。彼らは、なぜ“そう”なってしまったのか。新たな住人の出現で、閉ざされた魂が解き放たれていくのか。現実と幻想の間にあるような「望楼館」における物語は、愛を探す物語でもある。
鈴木 恵美子
評価:A
常に新しく清潔である事をせっかちに求め続けてじたばたすることに意味と価値を置く社会では、ものはすぐさまゴミと化し、言葉は空費される。そんな社会に対する反措定のように、「望楼館」が建っている。素晴らしい存在感だ。病み老い汚れ崩壊の気配を漂わせながら、街の浸食に取り残された孤島のような館に住む七人の人たちも又、病み老い汚れ衰えあるいは偏奇の気配で人を惹きつける。ゴシックロマンのようなおどろおどろしさもなく淡々とこの館の過去と死が語られていく。何の感傷も悲壮感もないこの文体は、「生ける蝋人形」として内的外的不動性を追求獲得したフランシス・オームにふさわしい。しかし彼が白い手袋をはめたまま、不動の像として生き続けることができなくなるアイデンティティの危機は刻一刻と迫り、遂に…。そこは読んでのお楽しみ。最後の55頁にわたる「フランシス・オームの愛の展示品」、誰もが子供時代引き出しの奥に、かつて宝物にしていたもの、今も捨てがたく心の何処かに隠しているがらくたの形をした何かを見つけるだろう。タイトルは原題通り「望楼館」がよい。「追想」とつけると感傷的、懐古趣味の気配が出てしまうから。
松本 かおり
評価:B
主人公のフランシスはもちろん、望楼館の他の住人も相当にヘン。しかし、極端にヘンな人間が出てくる小説ほど退屈しないのも事実。その「ヘン」の裏側にあるものを探索するのがこの小説だ。フランシスの父母が、それぞれの過去をたどり尽くし、やがて互いの記憶が絡み合う怒涛の回想は圧巻である。
しかし、結末は、胸は痛むがちと物足りない。このままでは下手をすれば「フランシス君、めでたし、めでたし」でチャンチャンじゃないか?せっかく「孤独は信頼のできる友人みたいなもの」であったのに、その翳りが薄れて惜しい。孤独慣れした人間は、誰とどこにいても孤独感が抜けきらないものなのに。「ぼくらが味わっていると思っていたものは、ほんとうはぼくが味わっていたものだったのだ」という他者との決定的な距離感、越えられない部分を、もう少し強調して欲しかった。
また、著者には申し訳ないが、本文挿画はいまひとつ。冒頭のフランシスの顔からして強烈すぎる。ホラーものかと思ったよ、まったくもう……。
山内 克也
評価:D
アパートやマンションといった集合住宅を舞台にした小説は大概、筋立てが見えてくる。一つの建物に、多種多様の性格を持つ人物が多く住めば、著者が狙うところの「話の不条理性」が浮き彫りになってくるのだ。 この小説も、約束に違わず、博物館で蝋人形もどきの仕事をする主人公をはじめ、犬の性癖を持つトゥエンティ、TVにしか興味を示さないクレア・ヒッグなど、狂気としか思えない住民らを据え、新住人となった眼の悪い女性が住人たちの心奥深く潜む記憶の桎梏を解き放つ。「隣は何をする人ぞ」という壁一枚向こう側の見えぬドラマを描く「アパート物語」を幻想風に塗り替えただけの話。この作品と似た設定の高橋留美子の漫画「めぞん一刻」は、ラブコメであるにせよ、住人と管理人の一途な恋愛を、一癖ある住人たちを絡ませることで不条理的な性格を帯びさせ、物語に新味を与えた。 物語を書いた作者の国籍が違うだけで、二番せんじの作品を読んだ感じ。
山崎 雅人
評価:B
つねに白い手袋をはめて、他人の愛したものを蒐集する主人公フランシス・オームと、奇天烈な望楼館の住人たち。
汗と涙を流し続ける元教師、犬女、登場人物は病的な性癖をもち、過去に取りつかれ、現代をさまよっている。
物語は、望楼館に新しい住人がやってくることで動き出す。過去がひもとかれ、奇妙な行動の意味が説きあかされていく。
読み進むうち、望楼館こそが現代の縮図で、住人が自分のように思えてくる。ふさぎ込み、硬直した世界。変化と安住の間でもがく、他人から見ると奇妙に写っているかもしれない自分の姿。じわじわと心にしみが拡がり始めたら、あなたも望楼館の住人になれる。
何だかよく分からない部分もあるが、最初だけで投げだしてはもったいない。飛ばし飛ばしでも最後まで読みたい。
はまったら抜け出せない。半ば冗談のようなラブストーリーである。
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