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  ジャズ・バード ジャズ・バード
  【扶桑社文庫】
  クレイグ・ホールデン
  定価 960円(税込)
  2002/9
  ISBN-4594037143
 

 
  大場 義行
  評価:B
   妻は夫の為に髪を売って時計の鎖を、夫は妻の為に時計を売って髪飾りをという「賢者の贈り物」。子どもの時にこの話を聞いた時は、なんのこっちゃと思ったが、今読んだらスゴイ話なんだろうなあ。と思ったのも、本書が、その「賢者の贈り物」をひじょーにくらーくしたかのような、壮絶な物語だったから。ひたすらに低いトーンを崩さず、ゆったりと事実が見えてくる様はもうぐったり。泣きたくても辛すぎて泣けず、ただただ呆然とするしかないというこの物語、辛い時、とくに男女関係で辛かったりしたら死んじゃうかも。恐るべし。「賢者」の方もこの際だから読んでみようかな。

 
  北山 玲子
  評価:C
   20年代アメリカ。酒の密売人ジョージ・リーマスが妻・イモジーンを射殺するという実際に起きた事件をベースに、すれ違う想いの悲劇を綴ったせつない物語。リーマスの裁判をメインに、何故彼が妻を殺害してしまったのか、その謎に検察官チャールズが挑む。起伏の激しいストーリーではないので、途中で少し飽きてしまいそうになるが、ラストはやり場のない哀しさでいっぱいになるはず。20年代の禁酒法時代のあの雰囲気が好きな人にはオススメです。ただ難点はどうも登場人物たちにいまいち魅力がないというか、存在が薄いところ。
 このまますぐにでも映画化できそうな構成。けど、実際映画になったら地味で渋い内容なのであっという間に打ち切りになりそう。

 
  山田 岳
  評価:A
   妻を愛しすぎたために破滅していく禁酒法時代のアメリカ男。といえば、フィッツジェラルドの「夜はやさし」を思い出す。「自分は妻を殺した」と自首してきた男の裁判劇なのだが、主人公は弁護士ではなくて被告本人。裁判とともに、さまざまな背景がうかびかがる手法は映画的である。エンディングがいまいちよくわからなかったのだが、後味にミステリーを残しておくのも悪くはない。

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