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└2001年5月
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
夏化粧
【文藝春秋】
池上永一
定価 1,600円(税込)
2002/10
ISBN-4163213600
大場 利子
評価:AA
ああ、おもしろかった。ああ、びっくりした。ただただ、おもしろい、本当に。
「シングルマザーの物語」と帯にあるのが効いた。その下に「ファンタジー」とあるのに全く気づかず、勝手に感動物語。シングルマザーで、頭いっぱい。なりたいのかね。なりたくても、なれない。いや、なる資格なし。だって、この物語の主人公のように勇敢さを、思い込んだら躊躇なし命がけの猪突猛進さを、持ち合わせていないから。
オバァとオジィ。おばさん、パトリシア、ぺジ、もちろん主人公の津奈美。誰の事も、忘れることが出来ない。内容を忘れることがあったとしても。誰もがいつも真剣過ぎて、笑ってはいけないのに、笑ってしまう。ああ、楽し。
この本のつまずき おまじない「アンマー・クートー・ターガン・ンダン」声に出した。言えず。
小田嶋 永
評価:B
子どものためなら、母は何でもできる。他人の「願い」を奪うことも、自分の命を捨てることも。産婆のオバァにかけられたまじないによって、南の小島に住む人々は、その理不尽さに憤り、そして定められた人生を受け入れていく。しかし、(たぶん)不倫の赤児をもつ主人公・津奈美は、「消えて」しまった子を取り戻すべく、光と陰が逆転する「陰」の世界で、7つの「願い」を集めてまわる、という物語。限られた時間、思わぬライバルの妨害、他人のものを奪う罪悪感との葛藤。「それは君のエゴだ。人生には理不尽なことがまま起こる。それを受け入れるのが生きるということだ。子供は諦めなさい」 津奈美の理解者であったオジィさえ裏切り、叶えようとした願いとは何だったのか。最後の「願い」を集めたとき、ニガイ(願い)石の上で、何かが起きる! 人のものを奪うというのはねー、という違和感をもちつつも、ロマンとせつなさ一杯の結末の逆転勝ちである。
新冨 麻衣子
評価:A
自分の息子を取り上げたオバァが息子にあるまじないをかけた。それは母親である津奈美以外の人からは姿が見えないというもの。しかも早く解かなければ息子は死んでしまうというしゃれにならない呪いだ。
無鉄砲な性格とムーンサルトまで出来ちゃう運動神経に、息子の命を守るという強い母性本能が加われば、もうこわいもんなしの状態で、毎晩「陰」の世界に飛び込んで7つの願いを奪い去るスーパーマザー・津奈美。最初のうちはむちゃくちゃな設定がかなりコミカルで笑えるのだけど、ラスト近くになると、津奈美はスーパーマザーというより鬼子母神に近くなってくる。「息子のため」と罪悪感を押し切って、他人の長所を奪い取る津奈美の姿が痛々しい。だけど作品全体に流れるちょっと抜けたようなほのぼのさが、冷静に考えればとてつもなく辛い津奈美の運命をやさしく包んでくれている。読後感◎。
鈴木 恵美子
評価:A
いいなあ。南の島!太陽に灼かれて「街も人も海も陽炎の揺らぎの中にある。」その熱さ。神々のいる異界と直でつながってるってのも何故か自然にうなずける。取り上げた二千人以上の子供に罪作りでおかしなまじないをかけ続けてぽっくり死んだ産婆のオバアも、そのオバアにかけられたまじないを解くために、セーラームーンや忍者赤影も顔負けに「陰」の世界で格闘し、「七つの願い」を集めようとするシングルマザーの津奈美も、自称民俗学研究者のオジイも、すべての登場人物がひたむきに生きてるのに、どこかユーモラスで途方もなくて、賢しらな善悪を超えた力がある。いささか漫画的誇張さえあるが、この熱さ、激しさは、母性愛という名のエゴイズムを突き抜けた無私のパワー、まさに太陽そのものの恐ろしいほどの神秘で巨大なエネルギーだ。私たちのマブイ(魂)の衰弱を照らし、生の根源的な力の遙かさを知らしめ、元気づけてくれる。
松本 かおり
評価:B
消えた息子を取り戻そうと、7つの「願い」を集める母・津奈美。思い込んだら命がけ、ライバル出現にもめげず、他人の「願い」を奪い続ける。
しっとりしたタイトルと装丁から、地味ぃな母子愛の話かと思いきや、毒気たっぷりの脇役に、著者のノリノリ・サービス精神が突っ走る。よくもまぁここまで思いつくものだ。おかげで笑いジワが3本増えた。
産婆のまじないオバァが、まずとんでもなく面白い。脳梗塞でコロリ死後、取り上げた子供にかけた「まじない」を過去60年分、遺書暴露。離婚もおねしょも貧乏もそのせい?!「とりぁあああ!」と津奈美の雄叫びも勇ましい、黒人陸上選手とのアクション対決、テレビ女優の地獄の毒舌も必読モノ。
しかしながら、津奈美の母親エゴが徐々に濃厚になる終盤、肝心要の7つ目の「願い」で私はコケた。最後の最後に痛かった。これは果たして「願い」なのだろうか?美しき母の愛?それでもピンとこない。読後の余韻に浸りながらも、この点だけはどうにも腑に落ちなくて困った。
山内 克也
評価:B
読むだけで、南の国へと誘われてしまう。お産で赤ん坊を取り上げては、まじないをかけるオバァ。琉球言葉の子守歌。青い海に囲まれた岬の上にある遺跡。沖縄の風習・風土が頭の中で活写されていく。
そんな舞台の中で、息子が神隠しに遭い、その封印を解く7つの「願い」を集めるため、シングルマザーが異次元との間を行き来する。ファンタジーとしては古風な手法に思えたが、現実の沖縄社会を織り交ぜることで話に深みを持たせている。特に米軍特殊部隊の軍服のような迷彩服をまとい自転車をこいで「願い」を探すシーンは、したたかな「沖縄の母」を思わせ、微笑ましい。
山崎 雅人
評価:A
産婆のおまじないで息子の姿を奪われた津奈美。島の人たちがオバアのいい加減なおまじないに翻弄される中、津奈美は命をかけて井戸に身を投げる。
わが子にかけた7つの願いを集め、息子の未来への扉を開くために。
願いを集めることは、他人の願いを奪うこと。奪われた者の将来を犠牲にすること。愛情と残酷さは表裏一体なのだ。しかし、分かっていても止めるわけにはいかない。
身を投げ出し、心に傷を負いながらも、一途に子を思う母親の愛情の深さが胸を打つ。
願いを奪われた者のやるせなさ、痛々しさを、コミカルに味付けされた登場人物たちが繰り広げる喜劇でやわらげながら、津奈美は感動のラストへ向かって走り続ける。
母親の強さと深愛を、古代文明の奇蹟で彩りあざやかに描いた傑作だ。
ほろ苦い泣き笑いの物語に、人目もはばからず涙して読みたい。
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