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マドンナ
【講談社】
奥田英朗
定価 1,470円(税込)
2002/10
ISBN-4062114852
大場 利子
評価:B
「まるで達磨だな。手も足も出ない」表題作『マドンナ』の一文。そういう状態に陥る課長、もしくはおじさん、またはオヤジの、五つの物語。
大きな会社では、みんな、あんな、そんな、こんな、めくるめく事が起きているのか……。絶対大きいとは言わない会社にいる自分は、ある意味、驚いた。ここにも、また、知らない世界が。こんなのオフィスじゃないと叫びたいが、大人しく読む。
『マドンナ』の課長さん、部下を好きになって夢想夢想夢想。もしかして自分の前席の課長も!とはさすがに思わない。『ボス』の課長さん、女性の上司を持つことになり職場を禁煙にされる。職場禁煙。憧れだ。『パティオ』の課長さん、一人の老人と出会う。泣いた。
この本のつまずき 「ホーネまーでー、ホーネまーでー」ある課長さん口ずさむ。いっしょに口ずさむ、父の十八番。
小田嶋 永
評価:B
42歳くらいの課長さんが主人公の短編集。どの話も、必ず主人公がケンカするのが、笑える。『最悪』とか『邪魔』などの重い話とは違って、出世社会の悲哀をサラリと描いた佳作である。だた、舞台がすべて、商社のような大企業。ぼくのような中小出版社のサラリーマンとは、仕事の内容やスケールは、ゾウとネズミの違いくらいある。おそらく、「何かをするために部長になる」のではなくて、「同期の中で一番に部長になること」が目的であったり、出世することに面白みを感じなければ、そういう会社ではやっていけないのだろうな。「おれたちは古いのか? 時代遅れなのか? 泣きたくなった。水族館に浮かぶシーラカンスの心境がわかった気がした。」だからぼくは、本書のどの話も面白いと思ったが、共感はできそうにない。
新冨 麻衣子
評価:A
会社ではそこそこの役職にも就き、家庭もあり、というオヤジたちの悲哀物語短編集。部下の女の子に一方的な恋をしてしまったり、いかにもなキャリアウーマンが自分の上司になってしまったりと、オヤジたちの価値観をちょっとばかり揺るがす事件が起きる。一番よかったのは「ダンス」だ。進路決定を前にヒップホップのダンサーになりたいと言い出す息子に困惑する。一方会社では社内行事には参加しないと言うポリシーを貫く同僚と、それを快く思わない上司との間で板挟みの状態。そんな息子と同僚の生き方を否定しつつ、だけど心のどこかで憧れを抱いてしまう主人公の切なさ。前作『イン・ザ・プール』同様、社会の中で生きている以上、自分の気持ちを殺さなくちゃいけないときもあって、そんなとき「それでもいいんだよ。でも時には自分の弱さを認めてもいいんだよ」というメッセージが込められているようで、心が温かくなるのだ。
鈴木 恵美子
評価:B
人間が幼稚化しているとはよく言われるけれど、40過ぎれば昔なら「初老」だよ。いっぱしの会社の中間管理職の、一応それなりの働きのあるサラリーマンといえばもっとえぐくて、やらしくて、保身的で、脂臭さムンムンのオジサン主流じゃないの。なのに何?まるで昔の青春小説みたいに純真一途で爽やかなこの人たちは。愚痴は言っても、クダまいても、つかみ合いの喧嘩しててもドロドロしないどころか、却ってすっきりしちゃうなんて、アリ? でも、現実そっくりでも現実そのままじゃないから救われるんだよね。いくら欲求不満の中年オヤジの夢想のオカズになるような設定でも、今時20代女は、絶対「ふつつか者ですがよろしくお願いします」なんていわない。男社会の会社で上級管理職にのし上がる女が「ボス」の陽子のような「改革」をして女性総合職から慕われたりするなんてあり得ない。現実にあり得ないからこそ夢になるんだよね。負けても「夢をありがとう」なんていい気な言葉を大合唱する国民には受けるかもね。
松本 かおり
評価:A
粒ぞろいのほのぼのオフィス小説5編。主役は業界大手企業の課長さん。既婚で奥さんは主婦、子供の受験や親の高齢化に頭が痛い40代だ。
タイトル作「マドンナ」の「頭の中で恋愛物語を楽しむ」荻野課長。自宅でもソワソワ、奥さんに突っ込まれるほどの純情悶々ぶりが面白い。中年オヤジが突っ走ると、えてして事件になりがちだが、荻野課長、いいひとである。
他4編も、この「いいひと」感が魅力。「おれと同じ人間ばかりじゃいやなんだ」とひと癖ある同僚をかばう田中課長、「総務と女房に勝ってはいけない」と自ら引いた恩蔵課長。隙一つない女性上司の意外な素顔に「親しく思う気持ちがこみあげる」田島課長。そして最終編「パティオ」の鈴木課長の繊細さが特に素敵だ。読書老人・おひょいさんに興味を持ちながらも適当な距離を模索し、ずかずか心に踏み込まない。他者の価値観を尊重してオトナだ。
5編それぞれに、人事異動や出世競争に伴う中間管理職なりの苦労や処世術もうかがえて、世の課長さんを応援したくなってくる。
山内 克也
評価:A
一応「企業戦士」たちの物語である。NHKの「プロジェクトX」風に言い換えれば、組織の活性化のため、仕事に打ち込む「中間管理職」のストーリーか。こうした脂の乗った中間管理職の姿も、「仕事」でなく「仕事場」にスポットをあてると、会社内の人間関係や家族との折り合いに悩むカリスマ性のないおじさんになる。
表題作では、部下で若い女性に恋心を抱く営業課長が「好きになってはいかん」と煩悶しながら、若い男性社員と恋のさやあてを演じる。「ボス」では、商社に勤める男が外資系から転職してきた同い年のキャリアウーマンに課長職を奪われ、反発しながらも「和をもって貴し」の精神で部内をまとめようとする。主人公はいずれも40代の男たち。「オフィス」内でいかに生きようかとする彼らの姿をほんわかと点描している。とかくぎすぎすしがちな会社社会を温かく見守っていて、好感のもてる作品だった。
山崎 雅人
評価:B
17歳年下の部下に恋をする。ダンサー志望の息子や、わがままな上司、勝手な同僚に頭を悩ませる。同い年の女性が上司になる。
一番活躍しているのに最も肩身の狭い思いをしている中間管理職、課長をめぐる哀愁ただよう物語である。
ちっぽけな願望や、本人にとっては重大でも、周りから見ると滑稽だったり他人事だったりするちょっとした事件が、ユーモアたっぷりに描かれている。
同情も、愛も、金も欲しい。ドライな関係はいらない。部長に気に入られなきゃおしまいだ。本音のおじさんたちがそこにいる。
決して格好良くはないけれど、それでいいんだよ、という感じが気持ちいい。
日々平凡な会社員生活も、こんな風に書かれると何だかとても楽しそうだ。そういう意味では、現実離れした話なのかもしれない。
中年おやじ必見のニッポンのおもしろサラリーマン小説だ。
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