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熊の場所
【講談社】
舞城王太郎
定価 1,680円(税込)
2002/10
ISBN-4062113953
大場 利子
評価:C
「忌諱」「孕み」「暫定的」「豪放磊落」「寂寥感」『熊の場所』に出てくる漢字。29才の僕が、11才の時の事を回想している。11才がこんな言葉で何かを感じるものか?現在29才だから、このような言葉を使うのだろうか。
『熊の場所』も『バット男』も、すいすいと進んでいくのに、少し吐き気が。『ピコーン!』では『ピコーン!』なのに、泣きそうになった。なんなんだ。表紙はぷよぷよしてるし。なめてかかると、足下すくわれる。惹句に「圧倒的文圧」とあるが、これがそれなのかもしれない。
この本のつまずき 本書の最後の一文。「買った本はちゃんと読めっつうの馬鹿!」。確かに、言う通り。
新冨 麻衣子
評価:AA
とりあえず!何はともあれ、このふかふか具合は表彰ものである。表紙がかなり厚くて、触るとふわふわだ。おかげで本屋で見かけると、何度でも触ってそのふかふか具合を確かめざるを得ないのだ。罪なやつだ。で、中身はというと、これが結構いいんですね。すごくストレートな感じ。表題作「熊の場所」は猫を殺す同級生に興味を持った男の子の話で、やるせないミステリー。彼氏を車ではねて殺した犯人を捕まえる女の子の話「ピコーン!」は悲しいけど最後はちょっとほっとする。しかしイチオシは「バット男」。高校生たちのストレスのはけ口となってボコにされる浮浪者バットマンの存在、微妙な愛情のすれ違いにより悲劇を招いた友達夫婦、これらを眺める主人公の視点が、現代の人間どうしの距離感をリアルに浮かび上がらせる。そしてどうか自分がバット男になりませんように、という主人公の願いにもかなり深く共感。精神的サバイバルな現代日本をぴしゃりと捉えた一冊だ。
鈴木 恵美子
評価:A
これらはサバイバルの物語だ。「自分が無力な子供であることに自覚的な」 11歳の僕は、「恐怖を消し去るには、その源の場所にすぐ戻らねばならない。」という父の言葉を実行する。大きな恐怖に襲われた少年の嫌ァな気持ちがヴィヴィッドに描かれてウマイ。痛みにも恐怖にも鈍感、無神経、無感動、無感覚でやり過ごす、そこに恐怖があっても目をつぶってないことにしてしまうオトナの処世術に汚されていない、ありありとした感受性がヘンな悲壮感なく淡々と語り出されている。「弱い方へ弱い方へとストレスの捌け口は見いだされる」社会で「自分より弱い奴をバッドで殴る」バッド男的存在への怖れを描いた「バッド男」は「熊の場所」の少年に比べてオトナになってる分、恐怖の対象を横目で見て、逃げをうってる感じがする。三作目、「ピコーン」のチョコちゃんは 、ぐっとエンターテイメント系に突き抜けて、たくましく、君なら何があっても生き残れる。はい上がれる。やっぱ、サバイバルは女の勝ちね。
松本 かおり
評価:C
ケバイむにゅむにゅ感触の表紙。全3編で薄い割に高い価格は装丁費分か。何度も押し押し、ナデナデさすりたくなる独特の手触りはクセになりそう。
「熊の場所」・まー君は、数年前の某有名殺人事件を彷彿とさせるも、そこをスルリといなして収束させたのは見事。「恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐ戻らねばならない」これ名言。「バット男」も、他人事大好き・明日は我が身なんてイヤッ!な友達面した小心者の、姑息な本音を描いて巧い。
しかし「ピコーン!」は他2作と比べて読み劣りする。どこかでオチがつくかと思ったが、おネエちゃん元気!なだけのドタバタ劇。「族上がりの連中なんてこの程度のもんです」「彼らには、フェラチオ・ちんぽぐらいしかないんです」と、キツーク笑いのめすつもりなら納得もできるが。
登場人物がどれも若く、切るわ殴るわの連続で各編の雰囲気は似たり寄ったり。舞台が福井なら、福井の匂いももっと嗅ぎたい。毛色の違う作品も集めて内容充実、装丁負けしない短編集に仕立ててあるとよかった。
山内 克也
評価:A
ラップ調の文体が、地の文を覆い尽くす。句点でつなぐ長いセンテンスの文章が連射する。この表現方法は、レトリックなのか、それとも癖なのか。とにかく、読みづらい。その読みづらさがストーリーに、躍動感を与えている。
話の筋はシンプルだ。収録されている3つの作品に通底する題材は「トラウマ」。表題作で言うと「恐怖」の感情をもつことへの恐怖を描く。猫殺しの疑いのある級友に「殺すぞ」と言われた男の子が、あえてその級友と近しくなる。「恐怖を消し去るためには、その源の場所に、すぐに戻らねばならない」―。熊に襲われ退治した父の言葉を主人公は思い出す。学校という小世界の中でつつがなく生きるためにもあえて級友に立ち向かう。普通に書けばガキたちの友情、冒険譚に陥るところを、あの独特な表現が純文学風に仕上げている。読み方にも癖をつけさせるような著者の文体。「名文調でかけば面白くないんだよ」と、挑まれているようだ。
山崎 雅人
評価:C
恐怖を消し去るにはその源の場所にすぐ戻らなければならない。猫殺しのまー君との対決、解き明かされていくまー君の真実と、主人公、沢チンの中にふくらむ妄想の結末は。表題作『熊の場所』。
いじめられ殺されるバット男と、すれ違いの愛に翻弄され破滅していく友人を通して、強者と弱者を独特の世界観で描く『バット男』彼氏を無惨に殺された彼女の一途な愛の形。
『ピコーン!』
3編全体を貫くのは暴力。著者のDNAは暴力でできているのでは、と思わせるほどに繰り出される暴力の連続技に圧倒される。
暴力を通して心の深層をえぐりだす独特の手法で描かれる世界は、明るく楽しいものではないけれど、闇の向こうにあるせつなさや真実がにじみだしている。
死や、いじめといったテーマがたくみに盛り込まれた躍動感あふれる文体で、心の傷口をぐりぐりとこじ開けてくる。痛い一冊だ。
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