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浪漫的な行軍の記録
【講談社】
奥泉光
本体 1,000円
2002/11
ISBN-4062115182
大場 利子
評価:C
著者のせいじゃないのは、分かっている。丁寧な文体で、綴られているのに、とにかく読みずらい。漢字テストだったら失格になるほどの読めない分からない漢字が続き、辞書引いて、理解して、前に進もうとしても、さっきの内容を忘れたりして、戻って読んでの繰り返しで、一向に頁が進まない。でも、少しの我慢だ。
ジャングルの戦地で、歩き続ける。歩きながら眠れる。一度休止すると二度と起きあがれなくなる。ひたひたと、歩きつづけながら、何を見るか。何が希望か。今は、どこだ。
戦地にいるのか、今にいるのか、見極めることが出来ない上に、行軍の描写がすさまじく、早く通り過ぎたくなる。つらい。
この本のつまずき ずっとつまずきっぱなし。
鈴木 恵美子
評価:A
虚構を創造する作家には、神のように高きから見下ろす視線があってそれがとってもシニカルに感じられることがある。この作品もそう。悪意あるシニシズムが刺激的。大岡昇平の「レイテ戦記」や「野火」を思わせる、飢えや死に追いつめられジャングルを彷徨する行軍兵士は、メヴィウスの輪のようにねじれた時空を歩き続ける。蛆と蠅のたかった玉砕死体だらけの湿地ジャングルは、モーゼに率いられてエジプトを出た人々が彷徨う砂漠になり、対イラク戦争でブッシュのエグゾセミサイル爆撃をテレビで見ている谷間の村の陋屋になる。地獄のような死の行軍とまるで無縁に脳天気、無目的、無意識に生きている(作者に言わせれば死んでいる)私たちには、この構図、夢が現実か、現実が夢かの境界線も曖昧なくせに、リアルすぎる。戦慄のファンタジーというべきか。スーパーリアリズムの精華というべきか。精華と言えば、「国体の精華」は効いていた。皮肉で滑稽で卑猥で羞恥があって、大胆不敬なユーモアセンス。
松本 かおり
評価:A
語り手・私は、太平洋戦争の生き残り兵士である。戦争のトラウマを色濃く残す「私」の耳には、「ひたひた、ひたひた」と今も行軍の足音が聞こえ続ける。既に高齢の「私」は、半ば眠るように記憶と夢の境を彷徨いながら、南方の島でのジャングル行軍体験を辿る。
「身体全体が黴と虱と細菌の培養器になって、方々に巣喰った熱帯性潰瘍が皮膚に穴をあける。膿んだ傷口に蛆が湧く」「何故お前は歩き続けるのか? 一体全体お前は何をやっているのか? 繰り返し繰り返し自問しながら、ただ歩きやめるきっかけが掴めない、それだけの理由で、私は歩き続けた」。
英雄的な戦いの時代が終わった今、「私」は「死にぞこない」である。「俺たちの苦しみが、おまえたち陰府の死人には分かるまい。それが俺は悔しい」。
「私」は読み手に、生きることの意味を問う。戦争解釈を問う。時代が人間に与える影響を問う。読み返すたびに常に新たな問いを突きつけ、思索を迫る。黒白灰の無彩色フランス装の外見もまた、寒々として印象に残る。
山崎 雅人
評価:C
ただただ行軍する日本軍兵士のお話。時には引き返したりもするけれど、基本的にまっすぐに進むだけの話なのだ。
南方戦線のジャングルで、張りぼての大砲を運ぶ兵士たち。食糧は底をつき、国からの補給もないに等しい。もはや戦力ではないとうすうす感じている。生きるとは歩き続けること。歩き続けることで日本人でいられる。命令に従うことは、日本人であるということ。
究極的に極限の状態でも、上官の命令を待ち従おうとする。たぶん偉いのだろうという人にまで命令をせがみ、身を委ねる。未来のことなど考えられない、今しか生きることのできない悲しい人たち。
どこかで聞いた話だと思いませんか。そう、現代日本そのものではないですか。ここまでそっくりだと笑うしかないのだ。
歴史はくり返す。自分になぞらえて読むと背筋が寒くなってくる。日本の将来は大丈夫だろうか。希望は捨てないでおきたい。
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