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恋
【新潮文庫】
小池真理子
定価 740円(税込)
2003/1
ISBN-4101440166
池田 智恵
評価:D
ステキに享楽的な大学教授とその妻。まじめな70年代女子大生な主人公は、次第に彼らに惹かれてゆくが…。
うーん、インテリとの享楽って文化系少女の願望なんでしょうね。文章は上手いです、小池真理子女史。読ませます。でも、女同士でいちゃついたり、他人のセックス見たりっていう享楽のイメージがすでに古い。おまけに人間関係の深度が朝ドラ並みなので、読後に何も残らない…、いや、空っぽな印象が残る本でした。あ、ひょっとして「『恋』って結局勘違いなのよ~」って言いたかったんでしょうか。そうだとすると、自己中心的で自分に酔った人ばかりが出てきて、自身の行動を肯定する有り様も納得できますが。
でも、例えば内田春菊の「目を閉じて抱いて」なんかを読んだ後にはちょっと中身が無さ過ぎて読めない本ではあります。
あ、直木賞なんですね、これ。直木賞のありがたみが下がるなあ…。
延命 ゆり子
評価:A
奔放に何人とも関係を持ち、セックスを見られることによって昂揚感を味わい(上品に)、酒、麻薬、同性愛、何でもやり放題な年上の夫婦。それはフランスの高級サロンの様相も呈していて、70年代の普通の女の子である主人公は、倒錯したその世界に溺れていく。モラルから逸脱した世界に身を投じるのであればいくばくかの覚悟があって然るべきだが、主人公はほわほわとその雰囲気を楽しむだけだ。私がこの主人公に共感できない理由は自分の寂しさから逃避していることにある。あこがれるだけじゃなくてもっと悩めよ!と言いたくなる。だからこそ、その世界を崩壊に導く青年の、「セックスすればするほど寂しさや虚しさが増殖されていく」というあまりに常識的な一言に打ちのめされてしまうのだ。結局、最後に愛は勝つ(KAN)ということなのかしら。官能的な世界をあれだけ魅力的に描いといて、そりゃないよう。しかしなんだかんだ言いつつぐいぐいと読まされてこの世界に入り込んでしまった私でした。
児玉 憲宗
評価:A
不思議な世界へ紛れこんだ気がした。せつなさが充満しているが作中人物はなぜか皆いきいきとしている。ときには悪魔にとりつかれたかのように淫靡で、けれどどこかさわやかで淡々としている。引金に指をかけることで自らの大切な思い出に終止符をうった女性が死を直前にした病床で語った回想だからか、冷たい部屋を漂う珈琲の香りのように静かにゆっくりと物語は進んでいく。大学助教授と二人で翻訳作業を進めた官能小説『ローズサロン』と、時と場所を同じくして起こった浅間山荘事件が挿入歌のように物語の合間で効果的に登場するのも印象深かった。これほど読後、尾をひいた作品もめずらしい。
鈴木 崇子
評価:C
複雑で神秘的、何やら儚げで、官能的だが高貴な雰囲気さえ漂う「恋」―を描いたミステリー仕立ての物語。浅間山荘事件とからめて、主人公の女子学生と大学教授夫妻との妖しく微妙な関係を軸に、物語のカギとなる秘密が解き明かされてゆく。
話の展開や構成が巧みで、読者に先へ先へと読み進めさせる力のある作品。しかし、ディテールの設定が安易で話に深みがない印象も受ける。例えば、主人公がなぜ夫妻との危うい関係ののめり込み、事件を起こしてしまうのかがいまひとつ伝わってこない、突然表れた青年の言動も極端過ぎて不自然さを感じてしまう、など。そして肝心の謎解きの答えがあまりにも陳腐ではないかと思うのだが・・・。(しかしながら、勝手な感想を述べれば、映像化したら美しいのではないかと思う。大学教授はトヨエツにお願いしたい!?)
高橋 美里
評価:B+
「恋」というもの何か決まりがあるわけではないのだろうけれど、この作品の主人公は「恋」に落ちていた、と思う。たとえば、どんなに禁じられていても。登場人物は主に3人。大学教授の下に翻訳のアルバイトとして雇われた布美子・雇い主の片瀬・その妻雛子。三者三様の思いを繰り広げていく様が痛々しくもあり、苦しくも有り切ない。ここまで怖いとも感じられるほど恋に落ちてみたい気もします。
中原 紀生
評価:AAA
この小説は時間をおいて、できれば数年単位の間隔をおいて再読されるべき名作だ。ほぼ三年半ぶりに読みかえして、私は、序章に出てくるヒロインの可憐で痛切な姿に深い感銘を覚えた。矢野布美子の「肉と魂」は、私の記憶の襞にひっそりと息づいている。二十三年の時が過ぎても、布美子の心の中に信太郎と雛子が生き続けていたように。「世間では人を殺すためには、凶暴さと憎悪と怒りと絶望が必要であるかのように言われているが、それは嘘で、ただほんの少し、虚無感にさいなまれていさえすれば、人は簡単にムルソー[カミユ『異邦人』の主人公]になることができるのだ」。──陳腐だけれど、「官能小説の金字塔」という賛辞を、浅間山荘事件のさなかに遂行された魂の殺戮劇ともいうべきクライマックスを叙述しきったこの作品に捧げたい。「エロティックで悪魔的、デカダンな雰囲気」と「秘密を抱えながら生きていく人の精神」を見事に造形し、痛いほどの官能性を表現しつくした小池真理子さんを讃えたい。
渡邊 智志
評価:B
陳腐だけれど魅力的な冒頭から、どうなるんだろうとハラハラしながら話に引きこまれます。粗筋や序章で主人公が結果として殺人を犯してしまうことが明らかになっていますが、「世間が想像するような一般的な理由から、猟銃の引き金を引いたわけではなかった」と繰り返し強調されるので、一体どんな驚天動地の真相に向かうのだろう…、とワクワク。でもコレ普通の話じゃない? 事件現場の四者四様の立場は複雑でも当事者にとっては当たり前だった、ということは、読者にとっても当たり前でごく自然な人間関係に見える、ということ。回想が主人公の気持ちに素直で正直なので、逆に違和感なく不自然さが受け入れられてしまうのです。奇妙な感情のもつれや不道徳さが醸し出す背徳の香りなどが感じられなくなってしまってから、急に話がつまらなく思えてしまいました。二転三転を期待したのが悪かったのかな。すべてひっくるめて「恋」…。ムリヤリ納得しています。
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