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>> Amazon.co.jp
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世界の果ての庭
【新潮社】
西崎憲
定価 1,365円(税込)
2002/12
ISBN-4104572012
大場 利子
評価:A
ここを読んでしまっている方は、自らが発見する喜びを、自ずと奪われたかもしれないが。ここで読むのをやめて、本屋さんに行って、何の知識も先入観もなしに、棚から本書を取り出し買い求め、すぐ読み始めれば幸せに。読み物の中には、そういう存在であるものが絶対にある。
55のショート・ストーリーズ。繋がっていく、続いていく物語。全く繋がりのない物語。すべて、そうかもしれない。そうではないかもしれない。
55のショート・ストーリーズの書き出し一つ一つが、いちいち素晴らしいが、もっと興奮させられるのが書き終わりの一文。
●この本のつまずき→『和歌いれひも』心踊らされた単語。挑戦するか。無理。
小田嶋 永
評価:C
いくつもの物語世界が分割され、それらが交錯して再構成されているという不思議な小説である。その不思議さが、魅力なのかも。作家である主人公リコと日本の近世文学研究をしているというスマイスという米国人の恋の物語と、スマイスの提示した暗号のような不思議な詩の推理を中心に、駆け落ちした後「若くなる病気」になって帰ってきたリコの母、脱走兵のリコの祖父がさまよう闇の世界という怪しい話と、リコが研究していたイギリス庭園の話、スマイスが研究している江戸時代の国学者の話という「学」のある話、さらに作中作『辻斬り』が展開する。いったい最後にこれらの話がどうまとまるのか? という不安をひきずりながら読んだ。ただ、その不安は解消されなかったのですが…。
新冨 麻衣子
評価:AA
内容は説明しづらいので詳しくは書かないが、イギリスの庭園、辻斬り、江戸の詩人、脱走兵、若くなる病気にかかった母親、ある女性作家の恋、それぞれのストーリーを細かく分け、組み合わせることで、時間の流れと空間を作品全体から滲ませた傑作だ。まず顕著なのが<脱走兵>の話だ。彼がいる駅は水平方向にも垂直方向にもどこまでも伸びている。しかし水平方向に進むといずれ何もなくなり、一方垂直方向、つまり階段を昇ったり降りたりすると永久に同じような乗り場があり、人間たちがいる。また<若くなる病気にかかった母親>は、みるみるうちに若くなる。つまり体が時間をさかのぼっている。そして水平方向には限りがあるが垂直方向には限りがなく、一つの独立した世界を表現する<庭園>。そしてこれらの話を細かく分け、複合的に読ませることによって、読み手は様々な時代を行ったり来たりすることで時の流れ(垂直方向)を感じる、という二重の仕掛けになっているのだ。うまいなぁとひたすら感心。今後の作品にも期待大だ。
鈴木 恵美子
評価:A
何だろう?この不思議な酩酊感、あやかしの気配は。それぞれに美しいけれど何の脈絡もないかに見えた断片が、どこからともなく引き寄せられて、神の御業か妖精の魔術か、良くできたジグゾーパズルか、それこそ秘密の花園のように顕現する。女と男が出会う。リコがテーマにしてきたイギリス庭園に対する考察は、そのまま彼女の文学観、書きたい世界につながっている。「庭は囲われた自然である。自然から切り離された自然だ。それは人間そのものだろう。」スマイスが近世国学、皆川淇園、富士谷成章、御杖を研究する端緒になったのは彼の大伯父が『人斬り』を書いた明治の作家渋谷緑童からもらった書簡の謎をたどってだった。そう言えば私も昔大学の演習で「あゆひ抄」を読んだけど確かにスゴイと思ったよ。数限りない言葉を統べる法則を分類整理し体系化する科学と神秘のあわいの美。家を捨てて出奔した母が若くなる病気にかかって帰ってきて消滅する話、ビルマの収容所から脱走した祖父が時空を超えた巨大な駅構内を彷徨し続ける話と三代、皆川家から養子に出て成章、御杖と三代、落語の三題噺じゃないけど、妖しいたくらみに満ちた三代話でした。
松本 かおり
評価:D
英国庭園、江戸の辻斬り、若返る病気などを軸にした、妙な55編がランダムに入り組んだ短編集。唯一、印象に残っているのは「庭の意味」ぐらいで、残念ながらほとんど魅力を感じなかった。
あまりにオモシロクナイので考えた。著者の狙いはもしや、「とにかく1冊最後まで読ませること」だけではなかろうか。一編の最短は1ページ、最長でも6ページ。次々に場面が切り替わる。母親が異様に若返って驚き、歌学の昔話を拝読し、脱走兵と階段登り。この「わけわかんなさ」に退屈したり飽きたりする前に、すかさず次が現れる。「こんなんで最後はどうなるんだ?」と読み手が思えば作戦成功。その疑問ひとつに引きずられ、ドサクサ紛れに最終章突入というわけだ。考えようによっては、構想・展開の巧さともいえるのだろうが、読後の虚しさが私は不快。
著者の顔写真を見てしまったのも悪かったのか。よりによって大嫌いな男に似ているのだった。西崎氏には何の罪も責任もないことなのは、よ〜くよ〜くわかっているのだが……。
山崎 雅人
評価:C
三十代後半の作家リコと、日本文学の研究者スマイスが出会い、若くなる病気にかかった母が訪ねてきた?二人がデートしていると江戸の人斬りの話になり、小説に想いをめぐらせることになった?さらには、脱走した祖父が奇妙な空間に迷い込んだ物語?
本書は、とてつもなく速いテンポで物語が編み込まれた、凝った作りになっている。複数の短編が次から次へと縦横無尽に紙面へ顔をだし、頁をめくるたびに違った話を楽しむことができる。しかし、別々の新聞小説を併読しているような感触で、仕掛けは面白いが、構成の意図がいまひとつ掴みきれなかった。
読中はものたりない感覚につきまとわれていた。個々の話題の微妙な関わりや、組立てに気をとられてしまい、話に集中できなかったためだ。とにもかくにも、バランスが生命線の小説なのだと思う。頭がスッキリしている時に、最後まで一気に読んでみたい。そこに迷宮から抜けだす術があるような気がする。
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