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リレキショ
【河出書房新社】
中村航
定価 1,365円(税込)
2002/12
ISBN-4309015158
大場 利子
評価:C
食べるシーンがやたら美味しそう。食べ物のトップバッターはきゅうり。何にも付けないで、「ぽり、ぽりぽり、ぽりぽりぽりぽり」と来た。これは好みじゃない。「鶏の唐揚げ、焼き椎茸、ししとう、あたりめ、メンマ、冷や奴、一夜漬け。それから塩を盛っただけの皿とか、みその皿とか醤油の皿もあった。」これはこれは素晴らしい。もちろんそのそばにはビール瓶。「僕は焼き椎茸に手をのばす。椎茸は冷めていたけど、しっかりと旨かった。肉厚だからだな、と僕は分析した。」焼き椎茸、絶対明日食べる事に決めた。食欲が必要な時にはどうぞ。
●この本のつまずき→文藝賞受賞作なのでその選評が帯に使われている。読み方の御指導、結構なことで。
小田嶋 永
評価:C
19歳の「僕」は、ガソリンスタンドでアルバイトを始めるために必要な履歴書とは別に、「どこでもいける切符」という免許・資格をもった「リレキショ」を書いた、というなぞなぞのような設定で物語は始まる。「僕」は、「僕」を拾ってくれた“姉さん”と暮らし、“姉さん”の女友達・山崎さんと食事をつくり食べタバコを吸い、深夜のガソリンスタンドでアルバイトをし、大学受験生・ウルシバラからラブレターをもらう、という話だ。若い男女の物語ながら、何かのメッセージもなければ、性的な場面はほとんどなく、19歳の「僕」は何者かとかの登場人物たちの“関係”を描くことも主題としていないようだ。物語としての面白みに欠けるのが正直なところだが、それはあまりにも現実的なものの見方なのだろうか。こういう世界を、そのまま感じる感性に欠けているということかしら?
新冨 麻衣子
評価:AA
<姉>に拾われ、<半沢良>となった主人公の日常をスローペースで描く、ふしぎな物語。<>付なのは、それが本当の姉でも名前でもないからだ。それはさておき、<半沢良>は近所のガソリンスタンドで夜勤の仕事を見つけ、お昼は自転車で知らない街に行ったり、仕事のない夜は姉とその親友の山崎さんの酒の相手などをする毎日。そんな彼にある日、不思議なラブレターが手渡される。
どこから始まってどこで終わりということもない、その全体を流れるゆったりとした時間が、不思議な読後感を与える。半村良以前、もしくは半村良以降、のエピソードを入れないことが、この小説を特別なものにしているのだろう。主人公の逃避感が上手く表現されているのだ。暗闇の中でふわりと浮かび上がるガソリンスタンドの明かりが目に浮かぶ。人物描写もとても上手く、そして魅力的。ちょいと男前な姉と山崎さんがとくにいい。二人のつくる酒のつまみもうまそうだし。
鈴木 恵美子
評価:B
「こんなこといいな、できたらいいな」の世界。「履歴書じゃなくてリレキショ」ワールド。私たちは生まれてくるのに親を選べない。住む地域とか環境だってあてがわれたお仕着せに何となく違和感あっても、そんな過去をすっかり捨てて、名前から家族から今まですべての関係性をリセットし直し、新しいリレキショでなりたいものになるなんて、考え及びもつかない夢だった。だがさすが、子供の時からドラエモンを見て育ったバーチャル世代の発想はたくましい。「弟と暮らすのが夢だったの」と僕を拾って「良」と名付けて弟にする姉さんもスゴイ!依存しない、支配しない、自由でいて「濃密で親密な関係性」が無理なく描かれている。多分どーでもいい希薄な関係の中で消耗し、絶望的な断絶感に冷え冷えしていた僕が、姉さんやこれ又不思議な魅力の姉さんの友達から新しい関係性を学んで自立し、バイト先の深夜のスタンドで、体操をしながら更に新しい関係を作りだそうとしてゆくのが巧まぬユーモアで描かれていてほんわかする。
松本 かおり
評価:C
「大切なのは意志と勇気。それだけでね、大抵のことは上手くいくのよ」。結局、何がどう上手くいったのかなあ?という疑問は、とりあえず忘れた。根っこのない浮遊感、それがこの物語の味なのだろう。まぁこういうこともあるんじゃないの、だからどうしたと割り切って、サラリサラサラ流されるまま読んだ。いちいち考えてもしょうがない。結末もカルイし。
正体不明の操り人形のごとき主人公・半沢クンには魅力が乏しい。そこを脇役たちが補っている。姉さんの友達・山崎さんが掘り出しもの。姉さんとのつき合いを半沢クンに酔い語る場面、男っぽい女の繊細さと潔さの混在加減が心地よい。また、漆原嬢の手紙も初々しく、ついつい行く末を見守ってしまう。半沢クンと彼女のリレキショ問答こそ、最後に読んでみたかった。
ところで「大人の味がする」とある「大根とイカのわた煮」。これは本当に美味い。熱いご飯にぶっかけて食べればやみつきの美味さ。イカわたはお宝。自分の好物が小説に登場するのは嬉しいねぇ。また作ろ〜っと。
山崎 雅人
評価:C
姉さんに拾われて、半沢良となった主人公。「なりたいものになればいいでしょう」と言われて書いた履歴書が二枚。履歴書のあからさまに無難な半沢良と、リレキショの、ほんのちょっとだけ自己主張している半沢良の日常が、淡々と語られている。
彼の境遇や、過去はわからないままに、物語は進行していく。今の居心地の良さにどっぷりと浸かり、すべてを事もなげに受けいれる潔さが、薄っぺらな時代の空気や、人間関係の希薄さを鋭く表現している。没個性が個性として描きだされている。現実べったりなのに生活感のない、無味乾燥でぼんやりとした世界に、奇妙な共感を抱いてしまう。
そんな彼の平凡な日常に、風変わりなラブレターが投げ込まれる。それでも物語は大きく変化しない。静かに、不思議なリズムを刻み続ける。すべてが予定調和であったかのように。強烈な個性もにおいもないけれど、なぜか心に残る都会の夢物語なのである。
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