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滑稽な巨人
【平凡社】
津野海太郎
定価 2,520円(税込)
2002/12
ISBN-4582831370
大場 利子
評価:A
文学史の中でしか見たことがない。読んだことはもちろんない『小説神髄』『当世書生気質』の坪内逍遥。ヘンテコな名前なのに、ちゃんと変換される。さすがだ。しかし、どうも滑稽らしい。どれくらい滑稽なのか。「二葉亭から太宰まで、漱石から志賀まで、近代日本文学の主流をかたちづくる人びとのほとんど全員が滑稽と見なした」くらい。著者もそう思った。自分もそう思った。あらゆる人に滑稽だと思われる逍遥。いかがなものか。合掌。
笑いがこみあげる。そうだったんだと深く頷く。笑いを声に出す。常に本気逍遥に、唸る。その繰り返し。滑稽だけではもちろんなし。恐るべし逍遥。
●この本のつまずき→「書斎の窓からの眺望のために、神社もない場所に赤い鳥居を勝手に立ててしまう。」脱帽。
鈴木 恵美子
評価:A
坪内逍遙と言えば、私にとってはずっと文学史の教科書一行分の人だった。 「明治期写実主義理論を『小説神髄』で、その実践を『当世書生気質』で書いた」 その人を「滑稽な」という形容つきとはいえ、「巨人」イメージで身近に感じていた著者、さすが早稲田出。特に第四章の「学校をつくる」には「学校嫌いの教育好き」の逍遥の面目躍如、明治の国家主義教育、教育勅語の棒読式を最後まで拒否し、独自の実践倫理で、自由主義教育の学統の基を築いた早稲田中学教頭時代のあれこれ、今日の教育荒廃の問題点がこんな過去に淵源を発していたかと気付かされる。そうしてみると「滑稽な」という形容の方も、決して「時代に取り残されたアナクロニズム」という揶揄ではなく、軽薄に外観だけの近代化に流されない確かな「根」を持ち続けたその揺るぎなき硬骨に対する敬慕がこもっていると感じられる。近代化の中で日本人が居丈高になって「古い」価値観を否定し去った狂騒こそが今から見れば滑稽だ。否定の否定が肯定になるように、滑稽に滑稽視されて悠然と生きた人生。確かにグレイト!
松本 かおり
評価:C
そもそも坪内逍遥とは何者なのか。「早稲田大学文学科」創設者、「新しい演劇運動のもっとも早い時期における指導者のひとり」。初めて知った。
要領が悪いのか、不器用なのか、あるいは間の読み方がヘタなのか。パフォーマンス好きが裏目に出て、一生懸命になればなるほど周囲からズレて浮き上がり気味。坪内逍遥にはどうやらそんなところがあったらしい。
私の知識不足が災いしたのか、文学・演劇等の話はあまりピンとこなかった。しかし、「学校嫌いの教育好き」逍遥の早稲田中学教頭時代を描いた第四章「学校をつくる」はおもしろい。ものごとの良し悪しを子供に教えるためには、教師みずから見本となるべし。さぞかし耳の痛い教師も多かろう。
松本清張氏の実名小説「行者神髄」への反論も興味深い。著者・津野氏は、清張氏の逍遥夫妻の描き方には「知的エリートに対する強烈な反感(私的怨恨とみまごうばかりの)が底流」している、と指摘。読み比べてみたいところ。
巻末に丁寧な索引がついている。逍遥ファンや研究者にも便利そう。
山内 克也
評価:A
タイトルの妙味に加え、数多くの失敗談をあげつらねながら、明治の偉人を書き記した評伝をこれまで読んだことがない。本書で描かれている坪内逍遙の人生を貶める気はないが、読了感は抱腹絶倒。歴史的に名だたる劇作家を「なみはずれた音痴というだけでなく踊りもだめ。楽器もだめ。先生はピタリと正坐して批評するだけ」と、まるで有害無益のごとく書き記す著者の大胆さ。実際逍遙がそうであるにしてもほかに表現がないものか。と読む側がはらはらしてしまう。
かえって逍遙の失敗談を繰り返すことで、明治期の作家たちが、革新的な芸術文学を試そうとする熱情がひしひしと伝わる。特に、養子、養女をとり、寄せ集めの家族で、新しい劇を作ろうとする逍遙の着想と、それを推進する意志の強さは、今でも想像を絶する行為。一時期ながら「明治」という時代にもラジカルな断面があったことに感心さえしてしまった。
山崎 雅人
評価:C
近代文学に明るい人たちにとって、坪内逍遙はそうとう滑稽な人だったようだ。逍遙といえば「小説神髄」の作者で、文学の方向性を説いた偉い人といったイメージがある。逍遥を軽く扱うのが文学界の伝統であったなどという史実は、教科書にはのっていない。
著者が滑稽な巨人と呼ぶ、逍遥の風変わりな側面が垣間見える評伝である。
若いころは、浮ついた極楽とんぼでならしていたが、ある日突然マジメを志した。過剰でわざとらしい身振り手振りでシェークスピアを説き、時代遅れと失笑された。といったエピソードの数々が、明治の文人の堅苦しいイメージを、ぐっと身近なものにしてくれる。
また、遊女との結婚により、周囲からの好奇の目にさらされながらも、最後まで連れ添った、純愛の人でもある。その家族愛の形が、またおもしろいのだ。清張の逍遥論をこき下ろす表現が鼻につくけれど、よくある伝記とは違った趣が楽しめる一冊である。
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