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ソーネチカ
【新潮社】
リュドミラ・ウリツカヤ
定価 1,680円(税込)
2002/12
ISBN-4105900331
大場 利子
評価:A
惹句「本の虫で容貌のぱっとしないソーネチカ。」本の虫って、あの小さな白い虫で、容貌って。しかも柴田元幸氏推薦の言葉「人間を祝福する上で、これ以上正しいやり方があるだろうか。」とあり、虫に祝福される……。SFかファンタジーかと思い込んだまま、読み始めたことは、もう誰にも言いません。
寝る前に、布団の中で、少しずつ、少しずつ、読むといいと思う。本は軽いし薄いし、装丁はかわいいし、物語は一行目からその世界が広がり途切れることなく続いていくし、時間は急ぐことなくゆっくり過ぎていく。そして、そこに光が。「ソーネチカ」が発する光が。
●この本のつまずき→「ソーネチカ」と目で理解しても、頭の中ではどうしても「ソネーチカ」。
新冨 麻衣子
評価:C
昔日曜日にテレビで放送していた世界名作劇場の「ポリアンナ物語」をご存知だろうか?父親を亡くした少女ポリアンナがどんな逆境の中であっても、しあわせなことを探し出し、周りの人間までもしあわせにしていくという物語だ。その異常なまでのポジティブ思考をさらにパワーアップさせたのがこの本の主人公ソーネチカである。
本好きで地味な女の子・ソーネチカはある日、図書館でであった芸術家ロベルトに見初められ、結婚する。夫は反体制派として当局に目をつけられていたので生活は厳しいが、やがて娘も生まれ、つつましい幸せな家庭を築くソーネチカ。しかしその幸せ家族物語が一変する時が来る。一人娘のターニャの親友であるヤーシャが登場してから、一気に物語は昼メロ風へ。夫に裏切られ、最愛の娘も家を出て行き、ソーネチカはつぶやく。「なんて幸せなのかしら……」。おいっしっかりしろ!と声をかけたくなるのはわたしだけ?
鈴木 恵美子
評価:C
はたから見れば、フツーそうでも、「不幸」「不安」「憂鬱」を抱えて生きる人が多いこの頃、「幸せ」がなにやら胡乱なモノになってしまった目には新鮮にうつる一冊かも。古い図書館の地下書庫で修道女よろしく<虚構>の世界に満足していたソーネチカが、収容所帰りの反体制的芸術家ロベルトにひとめ惚れされ結婚する。「毎朝が自分にはもったいないような幸せ色に染め上げられており、余りに眩しすぎていつまでたっても慣れることができない」<現実>生活を「この女の幸せはいつ失ってもおかしくない」という覚悟を心の奥底に秘め、生活の隅々を愛し全肯定的な幸福感の中に生ききるヒロイン。ロシア文学に関心がないどころか、否定的な夫と口論になってからはすっかり、本の世界から遠ざかっていたソーネチカが、もう一度本を手に取り、静かな幸福感に満たされるのは、老いてますます醜く病みながら孤独な余生を生きる時なのである。どう考えてもこの幸福は皮肉な残酷。豊かさの中でも足るを知らない精神的貧困の時代を生きる私には、貧しさの中でも「知足」の幸福感に輝くソーネチカ的存在が、信じられない。
松本 かおり
評価:D
「なんてこと、なんてこと、こんなに幸せでいいのかしら……」。ことあるごとにつぶやくソーネチカ。あれこれ考えずになんでもまるごと受け入れるのも、確かにひとつの処世術だろう。しかも、常にものごとのいい面を見ては他者にひたすら尽くして生きる、見方によってはえらく「できた奥さん」。
しかーし!ソーネチカの行動は、いくらなんでもお人好しすぎるというか、はっきり言ってきれいごとくさい。夫の秘密を知ってなお「老年にさしかかったあの人にこんな奇跡がおとずれて」と、すっかり納得しているのだから恐れ入る。ぱっとしない容貌と地味な性格、過去の悲惨な恋からくる自尊心の低さがここまで卑屈にさせるのか、それともただ愚鈍なのか。そして、青春時代に本の虫だった彼女は、ふたたび本に救いを求めるのだ。最後までどことなく報われない感じが漂うソーネチカの人生。欲がなさすぎて読んでいてシンドイ。
文章じたいが読みにくいところもチラホラ。原文のせいだか訳文のせいだか知らないが、一文が 300 字を越えていたりする。一読して文意がわかるようにしてほしい。
山内 克也
評価:B
主人公ソーネチカは、怪物的な視聴率をとったNHKの朝ドラ「おしん」を想起させる人物。とにかく、けた外れの「我慢強さ」を内包する持ち主だ。極寒の土地で、ソビエトという監視国家の中で生き抜く女性とは、こうも「私心」を捨てて生きなければいけないのか、と邪推してしまう。
ストーリーはただひたすら、芸術家の妻の一生に焦点を合わせているだけ。社会主義体制の時代背景や、夫の不義理など登場人物の感情描写を極力薄め、物語はモノトーンなリズムで進んでいく。だが、かえってこの文体が、この時期生きる人たちの、絶え間なく続く苦渋と、つかの間に訪れる幸福感を最大限に醸し出しているのだ。
山崎 雅人
評価:B
幼いころから本の虫。団子っ鼻でぱっとしない容姿のソーネチカは、どちらかというと地味な人生を送ってきた。本を読むだけの人生に突然現れた、反体制の芸術家ロベルト・ヴィクトロヴィチとの結婚により、試練の多い生涯を歩むこととなる。もっとも彼女は試練とは感じていないのだが。
貧しく苦しい暮らしの中でも、理想を追うことで心を痛めることはない。今を大切にし、幸せの種を見つけだす豊かな心に感嘆する。
ひとり娘の連れてくる美少女に夫の心を奪われ、孤独を味わった瞬間でさえ、変わらぬ愛情をそそぎ込み、幸福さえ感じてしまうのだ。その滑稽なまでに底抜けな愛情の深さ、重さに心をうたれ、涙がこぼれそうになる。
彼女の気丈で愚直な生き方が、感情をおさえた筆致で淡々と綴られる。平板な印象を受けるが、それが逆に彼女の穏やかな心持ちを十二分に印象づけている。神々しいほどの潔さが、静かに心に染み渡ってくるのだ。
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