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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
ギボンの月の下で
【ソニー・マガジンズ】
レイフ・エンガー
定価 1,890円(税込)
2002/1
ISBN-478971988X
大場 利子
評価:A
主人公ルーベンは11才。人生を神の手に委ね、物事はいずれうまくいくという楽観的な父。瞬間の感情を凝縮して自由に謳い上げた詩が書ける8才の妹。人生は自ら切り開いていくものと信じる16才の兄を捜しに、彼ら3人は旅に出る。プリマス・ステーションワゴンにエアストリーム・トレーラーを引っ張らせ、信念を持って前に進む。
ただそれだけなのに、読んでいる間も、読み終わっても、祝福に包まれ、幸福感でいっぱいになった。ただそれだけであることの難しさを痛感する日々である。
●この本のつまずき→カバーと頁に展開されるイラストレーション。物語にズバリピタリ。感謝した。
小田嶋 永
評価:B
家族小説が、一つのジャンルとして確立した感がある。本欄でも、「家族」の物語が少なからず取り上げられている。家族の物語を読み、絆を確認する現実の家族の存在を、かけがえのないものに思うこのごろである。本作品は、1960年、ミネソタ州のある小さな町から、タイトルにある「ギボン(手長猿)の月」に照らされた神秘的な渓谷へ向かう、旅と冒険の物語である。主人公のルーベン・ランドは、生まれたとき息をしていなかったが、父ジェレイマの祈りによって奇跡的に生を享けた。自らの意志で人生を切り開こうとする兄デーヴィ、文学好きで夢見る妹スウィードとの素朴な生活。デーヴィの殺人事件と脱走を機に、ささやかな生活は一変する。世間の好奇な意見に翻弄されながらも、彼らは絶望することなく、デーヴィを探す旅に出る。家族が再びの絆で結びつくために、再び奇跡は起きるのだろうか。「起きてほしい」と思わずにはいられない。
鈴木 恵美子
評価:C
この種の「奇跡」とか「強くてあたたかい家族の絆」とかになんか胡散臭いものを感じ、警戒心がわいてしまう。「神は死んだ」と 言われて久しいが、確かに人は祈らずにはいられない、不可知な力に支配されている存在だ。特に生まれついての病弱、家族の不幸、欠損は「神」につけ込まれやすい。そして最悪の危機を迎えた時、父が「私たちは世の中と常に戦っているのだ。退却は不可能だ。戦いに備えなさい。」と言うように、崩壊の危機感こそが結束感を高める。うん?これって何だかやっぱりテロ後のアメリカにうけそう。大体最初から家族の娯楽が猟、11歳の少年が銃でガチョウを撃ち殺して誇らしい気持ちになるお国柄。父に不良行為を見つけられ懲らしめられたワルが「家族に危害を加える」と脅し、嫌がらせする。それを怒った兄が報復し返すエスカレーションぶりも何だかアメリカっぽい。やれやれ。ギボンの月に照らされて雪の渓谷に亜炭の炎が燃える幻想的な真冬のピクニックは美しいけどこれも神秘趣味?
松本 かおり
評価:C
死産になりかけていたルーベンは、父親の祈り一発、奇蹟的に命を取り止めた。冒頭から見せつけられる父親の奇蹟パワーと濃厚な父子関係。父親を「永遠のヒーロー」として崇拝するルーベンが、家族旅やらある女性との出会いやら、多すぎるほどのエピソードを駆使して語る「信ずるものは救われる」。
驚いたことにこの父親、最後にふたたび、ルーベンの人生を左右するほどの奇蹟を起こす!ルーベンは肺に障害がある虚弱児であった。すぐにゼーゼーハーハー、手のかかる子供ほどかわいい、らしいが、そこまでやるか。ありがたき親心、奇蹟の父子愛を象徴した堂々の美談、とはいえ少々創りすぎの感じ。
ルーベンと好対照の兄・デーヴィは、「神に祈って慈悲にすがって待つ」父親の生き方に反発、あえて殺人事件を起こして逃亡する。妥協しないタフな男っぷりがとても魅力的だ。本作の中で唯一私が共感した人物だけに、もう少し出番があってほしかった。
山内 克也
評価:C
アメリカ小説を読むときは、「家族の絆」と「フロンティア精神」を面白さの座標にしている。この作品は、その座標軸のぐいぐい右上を行く、期待通りの小説だった。
序盤は、家に侵入してきた不良どもを撃ち殺した長兄の裁判が重苦しく延々と続き、「ミステリなのか」と思ってしまった。ところが、兄が脱獄すると急転。行方を探すため、病苦の父親と弟妹がトレーラーで旅立つ場面に「アメリカの小説はこうではないと」と膝を打ってしまった。物語はさらに展開し、FBIに追われたり、ガソリン給油のために立ち寄ったスタンドの女性経営者と父親が恋に陥ったり、やっとの思いで見つけた兄が馬に乗って山岳を駆けめぐったり等々、状況がころころ変わっていく。ストーリー自体は修羅場化しているが、語り部の少年の淡々とした口調が、物語を落ち着かせている。
山崎 雅人
評価:B
ミネソタ州の小さな町で幸せに暮らす家族の、心あたたまる奇蹟の物語が、奇蹟をもらって生を受けたルーベンの視点で語られる。
不思議な力を持つ用務員の父、全幅の信頼をよせる兄、文学好きで詩人の妹、そして喘息のルーベン、固い絆で結ばれた4人に、突然の転機がおとずれる。姿を消した兄を捜すため、家族はトレーラーに乗って旅に出た。
運命に身を委ねるやさしい父と、自らの力で運命をたぐり寄せる兄の強さ。家族の行く末を左右するふたつの父性に、少年は葛藤し、やがて自立したひとりの男に成長していく。
全編に流れるメッセージは、いたってシンプル。人生は自分で切り開くもの。正しさを求めて努力する者は、行き詰まった時に救いの手を差しのべられる。陳腐だが、最も力強い指針に裏打ちされた物語は、ページをめくるたび、勇気と希望に満ちあふれていく。
冒険物語が必要とするすべての要素がふんだんにちりばめられた、清涼感のある文章は、読む者に活力と癒しを与え、心地よい余韻を残す。夢の続きを見ているような気分にさせる、ピュアな物語である。
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