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マルコの夢
【集英社】
栗田有起 (著)
定価1365円(税込)
ISBN-4087747883
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
清水 裕美子
評価:★★★
アパート暮らしの時、洗濯機の水を床に溢れさせてしまい階下の女性に謝りに行ったことがある。同じ間取りの部屋の中央には衣類で出来た巨大な柱がそびえていた。で、その柱がキノコだったら……? そう、マルコとはそんなタイプのキノコの名前なのだ。
パリの3つ星レストラン「ル・コント・ブルー」。「マルコ・ポーロの山隠れ」というキノコ料理が特別メニューだ。22歳の主人公・一馬はそのレストランのキノコ担当として雇われる。名物料理の貴重なメイン食材は品種不明。通称「マルコ」の入荷が危ぶまれ、一馬はこのキノコを探すために海を渡る。
途中、いつもメガネに絶妙な形でヒビを入れる同僚の話辺りからあれれ? 不思議な雰囲気が漂い始める。就職活動の失敗、そびえ立つテレビ塔、手探りしながら前へ進む。物語はキノコについて、人生について、キノコが人生であることについて語っているが(暗喩でなく)何よりもこの文章は味覚をダイレクトに刺激する。キノコのバターソテーが無性に食べたくなる。コッテリした文章がとても官能的。
読後感:キノコ様の支配のままに〜、ちょっとひれ伏したくなる。
島田 美里
評価:★★★
うすうす気がついてはいたが、やはりキノコという食べ物は、どことなくあやしい。どこに生えようが有無を言わせないような無言の迫力があるし、傘に顔を書いて擬人化しても、ちっとも不思議な感じがしない。
そんなキノコの不気味さが炸裂しているのが、この物語だ。主人公は、姉の仕事を手助けするために渡仏した青年・一馬。彼は配達のために訪れたパリの三つ星レストランで、オーナーからキノコ担当として働くようにと告げられる。この場面で、料理人のサクセスストーリーと勘違いしそうになるが、実はそんなグルメ小説ではない。レストランの従業員として高級キノコの「マルコ」を調達するため、日本に戻った一馬を待ち受けていたのは異様なキノコの世界。私はふと、しめじのようなキノコが風呂場の窓枠ににょっきり生えているのを見て、ぎょっとしたことを思い出した。
「マルコ」のように迫力のあるキノコを目撃したら、「あ、こんなところにお生えになられて」と敬意を表するしかない。そんな畏怖の念を抱いてしまうほど、この生物にはもち肌の相撲取りみたいな貫禄がある。
松本 かおり
評価:★★★★
マルコ。「たった一口で、食べた人間を虜にしてしまう、幻の食材」。百戦錬磨の料理批評家をして「生涯に一度は味わうべき一品である。舌上の彼は神秘の衣をまとわされ、存分に妙味を発揮している」といわしめた魅惑のキノコ。うむむ、いかにも美味しそう。最近、スーパー店頭のキノコの種類も増えてきたが、どれも庶民レベルのキノコだからなぁ。
食材としてはやや地味な、脇役的存在だったキノコがみごと主役に仕立てられ、その魔性ぶりに想像と妄想がふくらむばかり。後半では、これまで引き継がれてきた脈々としたキノコの歴史が、濃厚な現実感を持って迫ってきてビックリだ。過去も現在も未来も「キノコは全部心得ています」。マルコは、マジで並みのキノコじゃないのである。
本作の独特の雰囲気は、キノコというもののデリケートな生態あってこそ。カボチャやダイコンじゃ、こうはいかなかったに違いない。
佐久間 素子
評価:★
前半はフランスの三ツ星レストランが舞台。奇妙な謎と、洒落た軽みがここちよく、さくさく読みすすめるうちに、いつしか軌道がはずれていく。後半では秘密のキノコを探すため、舞台は日本へ。すると一転、不安も湿度も段違いに高まって、土着的なイメージにぬりかえられてしまう。このギャップを楽しめるかどうかが、本書への評価の分かれ道なのだろうな。二つの話を無邪気につなげあわせているような、漠然とした違和感が残る。 かゆいところに手が届かないときみたいな気もち悪さが消えてくれない。どちらかというとドライなたたずまいの主人公が、家や血やキノコにからめとられて、微妙に変質していく。そこに理由はなくて、作者の思い入れも感じられなくて、でもニュートラルだからこそ、いっそう不気味なのだ。この夢って悪夢なんじゃない? ところどころに挿入される名古屋弁がまた、ものすごい異物感。わざとかなあ。わざとなんだろうなあ。私、うまく消化できなかったみたい。
延命 ゆり子
評価:★
★
無職の若者である一馬はフランスに住む姉の紹介で、パリの三ツ星レストラン「ル・コント・ブルー」で働き始める。担当は店の掃除とキノコの管理。そしてある日、この店のオーナーエメ氏から名物料理でもある幻のキノコの「マルコ」が底をついたので探してきて欲しい、との依頼を受けた。一馬は日本へと旅立つが、途中母親に離婚届けを託されて雲隠れしていた実の父と対面する破目になる。そのうち幻のキノコを探していたはずがとんでもない家族の歴史が紐解かれて行き、一馬はこのキノコに悪魔のように惹かれはじめる……。
と、そしらぬふりしてあらすじを書いておりますが、実は私これ全く理解しておりません。軽妙な語り口に読みやすい装丁。なのに何故。とにかく「???」。何が言いたいのかキノコが何を表しているのか、さっぱり分からん。その分からなさを楽しめばいいのかな。私には難解すぎました。エヘヘ。
新冨 麻衣子
評価:★★★★
なりゆきで三ツ星レストラン「ル・コント・ブルー」で働くことになった一馬。ある日オーナーから隠れ看板メニューの素材である幻のキノコ<マルコ>を買いつけてきてほしいと頼まれ、わずかな手がかりをもとに故郷・日本に戻るのだが……。
小説としては「不思議の国のアリス」みたいな味わいだ。もしくはRPG? 就職活動に失敗すること、フランスに行くこと、「ル・コント・ブルー」で働くこと、マルコを探すこと、そしてマルコに出会うこと……。すべて主人公にとっては予想外の展開なのに、それはどこか決められた運命かのように物語は静かに進む。読みはじめると、まるで主人公と同じように、なし崩し的にその不思議な世界に迷い込んでしまう。
栗田有起ワールド全開な素敵な小説であるとともに、キノコLOVEなわたしにとってもたまらない一作でした。
細野 淳
評価:★★★★
キノコって奇妙な存在感を持つ。ニンジンやキャベツが、ある意味、人間に手なずけられた、安心できる食べ物だとしたら、キノコには人智を超えた何かをもつような、独特の魅力があるのではないか??……何だか自分でも言っていることがよく分からないけど、そんなキノコを題材にした、不思議な雰囲気の物語。
主人公は、大学を卒業したものの、就職できずブラブラと日々を過しているカズマという青年。彼は姉の紹介で、パリにあるレストランで働くこととなる。そして、そこで出会ったマルコという名のキノコ……。
このキノコこそが、実は真の主人公とも言うべき存在なのかも知れない。いや、ある意味では、マルコとカズマの恋愛物語か?とも言えないことは無いのかも知れない。でも、最後は不気味な予感を漂わせる結末。一人の男がキノコに運命を翻弄される、可笑しくてコワイ、そんな複雑な気分になることができます。