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パ−トタイム・サンドバッグ
【ランダムハウス講談社文庫】
リーサ・リアドン
定価840円(税込)
2005/11
ISBN-4270100168
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
北嶋 美由紀
評価:
★★★
2つの殺人がおこるが、推理小説ではない。兄弟愛が主軸ともいえる。兄のニック・ネームーP.T.のいわれはパートタイム・サンドバックと父親から呼ばれていたことだ。兄は弟を守るため父の暴力を一身に受け、知的障害を負ってしまったことが殺人の誘因となる。そして今度は弟が兄を守るのだが……
原題「The Mercy Killers」がなぜこの邦題になるのか最初は不思議だったが、原題は事件を捉え、邦題は人間を捉えていることがわかり、そしてどちらも悲しい響きとなる。時代は1967年からの3年間。悲惨な兄弟の運命をさらに酷にするのがベトナム戦争である。しかし戦場描写の部分は手紙文のみ。それもかえってインパクトがあっていい。真実を暴こうとする刑事、何とか子供を育てようとする女性のたくましさ、兄弟の周囲の人々も生き生きと描かれ、特に親友の最後は感動させてくれる。言葉の汚さはちょっと閉口したが、まあこれも労働者階級の描写と思えば仕方ないか。
久保田 泉
評価:
★
★
★
舞台はアメリカのミシガン州。時代は1967年から1970年の三年間。長年の自殺願望のある祖父を、知的障害のあるP・Tが殺してしまう。兄の罪を弟のチャーリーがかぶった事件から、兄弟と彼らの周りの人々の物語が動き出す。チャーリーは懲役か兵役の選択を余儀なくされ、親友のジーノも徴兵され、ヴェトナムへ送られる。無事帰還するが、ジーノは薬物中毒、チャーリーも戦争で空いた喪失感が消えない。私はこの時代に生まれていたものの、幼すぎてリアルタイムな記憶は全くない。この小説を読み、戦争に巻き込まれ、生きて戻ったものの混沌と絶望感に満ちたヴェトナム帰還兵の想いを感じた。P・Tが二度目に犯した殺人で、ジーノはP・Tにチャーリーが罪をかぶり実際に行っていた場所を教える。二度とこんな所にチャーリーを送れないのだと。チャーリーを救ったジーノは誰にも救えなかったラストが辛い。ジーノがつぶやくレッドネックとは、戸外の労働で赤く日焼けした首のこと。リアドンの描くレッドネックへの視線が温かいことに救われた。
林 あゆ美
評価:★★★★★
なんて書いたらいいのか言葉がみつからない。帯にも引用された冒頭がなにより、本書をよくあらわしている。
「彼らがみた、あれほど若くも愚かでもなく、怯えてもいなかったなら、どんなにちがう人生があっただろう」
チャーリーは、兄であるP・Tと祖父オールド・ジェリーと3人で暮らしている。両親はすでにいない。しかし祖父が亡くなってしまい、兄弟はより支え合う必要がでてくる。しかしそのために選んだ道とは――。
痛くて切なくて苦しい。でも重いだけの話ではない。家族が家族を思うこと、その強さはどこからでてくるか。チャーリーが兄を支えること、兄がチャーリーを支えること、そのかけがえのない優しさに打ちのめされた。しかし、優しいがゆえに愚かになり、その愚かさは、冒頭の引用からいくと若さもあったのか。
読了後、タイトルがまた痛さをそそる。
手島 洋
評価:★★★
1967年、ミシガン州に住む若者チャーリーは、脳を損傷して障害を持つ兄、P・Tを庇って逮捕され、ベトナム戦争に行かされることになる。過酷な状況下を何とか生き延びチャーリーは町に帰ってくるが、また新たな事件が彼を待ち受けていた。
幼い頃、父からの虐待を庇い自分を犠牲にしていたP・T。彼を守るために殺人罪の汚名をあえて被り、戦争に行かされることになるチャーリー。戦争という絶望から逃れたはずなのに、自分の町に戻ると、そこにはただ死を待つしかないような希望のない現実があるだけ。救いのない展開に圧倒されました。40年近く前の出来事というのに、描かれているのは、まさに今のアメリカが抱えている問題そのもの。しかし、登場人物を増やしすぎたために面白さが半減しているような印象も受けました。酒場のシーンも映像や舞台で見るとわかりやすいのかもしれませんが、読んでいて頭に入ってこない。この救いのないストーリーはショーン・ペンでも監督してくれると面白そうだけど、なんて思ったりしました。
吉田 崇
評価:★★★
喜劇、ですよね? 難しい事だと思うのですが、まずはなんの予備知識もなく本書を読んでみてください。どの辺りから面白くなりますか?
僕は、チャーリーが戦争に行くはめになる所で、一体これは何の話なんだ? と、妙な好奇心に囚われてしまいました。そうすると、後はブリブリ読めます。で、読み終わった後に思うのです、「一体、これは何の話だったんだ?」
幼児虐待、ベトナム戦争、兄弟愛、主人公のキャラクター設定の根幹にあるのが、これらだと思います。そうして生まれた主人公が、中途半端に貧しさを感じさせる(経済面だけでなく文化、精神的にも)環境(周りの人物達も含みます)の中でアララと流されていくお話です。例えばシリトーの作品の主人公みたいに逃げ出そうという強い意識がある訳ではありません、ただ運命に流されていくのです。であれば、主人公というよりこの世界観自体が作者の言いたかった事なのだと考えると、僕の中では『地獄の黙示録』とトニー・ケンリックが浮かんできて、そうすると、良質の喜劇にはペーソスが内包されているという法則から、冒頭の言葉に自信なく立ち戻るのです。