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├2001年6月
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平成マシンガンズ
【河出書房新社】
三並夏
定価1,050円(税込)
2005/11
ISBN-430901738X
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
清水 裕美子
評価:★★★
全力で「イヤすぎる」設定に句読点の少ない「あたし節」。15歳の文藝賞受賞作は誰が読む? 誰を救う?
母の家出、父の愛人、空腹、学校での仲良しグループ、その中で暗黙の立ち位置分担。ごく若い作者だからって若者の視点だとか、いじめの抜本的解決方法はないよ全然。ただマシンガンを手渡してくれる「死神」と、マシンガンをぶっ放した瞬間に変わる意識構造の変化を鮮やかに見るだけ。押し寄せる波にさらわれまいと堪えていたが、ここは地面の上だったと立ち直すみたいに。ああ、紹介する私のイメージが貧困で赤面する。
「言葉」で教室に漂う空気まで描く作者。きっと違和感を感じた一瞬を言葉にして記憶する日々なのだろう。それが作家であることならば若くても健気とは言わない。そう生まれついたのだ。この小説では描かれる場面が学校と家だけど、早く他の世界に立ち向かってもらいたい。三並夏、行けー!
読後感:薄いし読んでおいて!と薦めたい
島田 美里
評価:★★★★★
一見、素材はごく普通である。中学生の朋美の身に起こったことは、ありがちと言えるかもしれない。家を捨てる母親も、愛人を作る父親も、ゲーム感覚で仲間はずれをする同級生も、現実にはどこにでもいたりする。それにもかからわずこの小説が見たこともない世界を生み出しているのは、著者の言葉にエネルギーが秘められているからだ。
極端に読点が少ない文章は、だらだらと読みにくそうに見えて、計算され尽くされたリズムを刻んでいる。読者は息継ぎもできなくて、著者のほとばしる感情を弾丸のように浴びてしまうのだ。朋美の夢の中でマシンガンを手渡した死神が「殺したいと思う奴を特別にうったりするな」と言ったセリフから、クールでいたいという彼女の願望が伝わってきた。空想の中であれ、誰かに対して恨みを集中させてしまうと、きっと感情が暴走するのだろう。
15歳である著者の、言葉選びの巧みさに圧倒される作品だけれど、朋美が悟りの境地に至るまでの過程が、意外に淡泊なのが気になった。今度は、ずっと同じテンションで言葉の弾丸を撃っているところを観察してみたい。
松本 かおり
評価:★★★
出刃包丁を持った死神にマシンガンを渡され撃ちまくる、といったエピソードそのものは少々唐突で、中途半端に感じた。せっかく降臨あそばした死神、もっと活躍させてもいいだろう。しかし、周囲の大人たちの好き勝手かつ間抜けな振る舞いにどんどん鬱屈させられていく、主人公の中学1年生・内田朋美の気持ちは理解できる。
親に対する苛立ちや怒り、悔しさ、底の浅い友人関係への徒労感など、心理描写がとても丁寧で観察眼も鋭い。特に、クラス内で朋美が「ハブられて」いく様子は、生々しい。また教師たちの役立たずぶり、無力さ加減も、冷め切った視線で現実をよく見抜いている。
読点の少ない、かといって読みにくいわけでもない独特の文体が面白い。著者はまだ15歳だそうな。本作だけの<花の一発屋>に終わらず、細く長く、この文体を武器に書き続けていってほしいなあ、と思う。
佐久間 素子
評価:★★
史上最年少15才での文藝賞受賞作。でも、これが20代の作者だったら、受賞は本当にあったのだろうかとどうしても思ってしまう。そういった批判がついてまわるのは、目にみえている。ハンデだよなあ。15才にしてはすごい!とは確かに思うけれど、それってものすごく失礼な感想なのだろうし。
我が身を省みるに15才付近が一番生きづらかった記憶もあり、そんなことを思い出させてしまうリアルは買う。頭と心のバランスがとれてない感じに、はっきり絶望してるのに期待を捨てられない浅ましさに、せまい世界に依存してしまう幼さに。融通のきかない真面目さが痛々しい。渦中の人が今しか書けない物を書いたのだろう。でも、物足りないのよね、足りないのはたぶん客観性、そしてユーモア。
ラストの唐突な救いも、個性というにはまだつたない文章もと、色々言いたくなってしまう大人気ない私なのだが、こんな子どもな大人なんて軽々と飛び越えて、さらにリアルな痛々しい小説を書いてほしいなと思います。
延命 ゆり子
評価:★★★★
そうだった。私が女子だった時代、クラスの力関係は微妙なバランスを保っていた。クラスでの役割を自然に、必死に演じた。親は理不尽で自分はあまりに弱かった。全ての物事が腹立たしくて仕方がなくて。けれど自分が何者なのかさえ、皆目見当がつかなかった。全力で心を閉じていた。それでしか自分を支えられなかった。懐かしい……。世代は違っても自分と同じような道程を辿っている主人公に安心感すら覚える。
しかし、主人公が出す結論はあまりにも大人だ。自分自身を相対化してしまえる恐ろしいほどの客観性。歪んでいることがあたりまえ、と言い切って次に進む強さを兼ね備えているのは頭が良すぎるのか、諦めているのか、それとも絶望が深すぎるのか。この何がなんだかわからぬ時代に十代を過ごさなくてはならない世代の叫びがなんとも哀れで、悲しい。
新冨 麻衣子
評価:★★★★★
史上最年少15歳での文芸賞受賞作。もうやめようよ年齢で話題性狙うのは……と思いつつ読み始め、読み終わった今ものすごくびっくりしてる。この人、本当に15歳!?
どこにでもいるようなひとりの女子中学生の、<自分以外の世界>との闘いがリアルに描かれる。そりゃリアルだよね同い年だし……とか言ってる場合じゃないよ。無意味に肥大した自意識のカタマリが制服着て歩いてるような年代の子の内面を、同じ年代の子が、27歳の私が読んでも胸がヒリヒリするようなリアルさで作品にしてしまうって、かなり凄いことなんじゃないか。空気や水と同じくらい、他愛ないおしゃべりが必要だった。
学校と家族しか居場所はないのに、どちらもいつでもたやすく地獄になった。<自分>と<自分以外>があまりにも上手く噛み合ない、あのもどかしさや悔しさを、正面からぶつかって、力のわく物語にまで昇華させてしまってる。
「死神」のエピソードがまた上手いんだよね。死神にもらったマシンガンを片手に、世界に立ち向かう少女……やっぱいいよこの小説。読後感もグッド。今後が楽しみな作家さんの登場です。
細野 淳
評価:★★★★★
普通の中学生くらいの人ならば、学校と家庭が、自分自身にとっての大半を過すような居場所となるのだろう。でも、そのどちらにも居場所が無くなってしまったらどうなってしまうのか?大半の人は、絶望的な雰囲気になってくるのではないのだろうか?本書の設定は、まさにそのようなもの。
家庭では母親が出て行き、変わりに父の愛人が出入りするようになる。それがもとで学校ではいじめられるようになってしまい、さらには何とか居場所を探し出したくて実の母を訪ねてみたら、これまた拒絶されてしまう。どんどん逃げ場を奪われ、より悲惨な状況に、主人公は陥ってしまうのだ。
もっとも、内容だけでみれば、別段真新しいことも無いのかもしれない。いじめとか家庭崩壊は、よくマスコミで取り上げられている話題でもある。でも、それを取り扱う文章が、とても魅力的なのだ。現実の残酷さや、死神が出てくる夢の体験を、どこか醒めたような目で、でも読む人に何かを伝えてくるような、そんな感じで書ききっている。中学生ぐらいのときならば、誰でも鬱屈した思いを抱くことはあるのだろうけど、それをしっかりとした文章にすることって、かなり難しい作業なのではないでしょうか?そんな文章の巧みさが、心に残る作品だった。