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砂漠
【実業之日本社】
伊坂幸太郎
定価1600円(税込)
2005/12
ISBN-4408534846
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
清水 裕美子
評価:★★★★★
BGMはラモーンズ。引用する小説はサン=テグジュペリ。
鳥瞰型に大学生活を眺めると、流れる季節の合間に友人とマージャン、超能力とイカサマと通り魔が見え隠れする。もちろん合コンも。
伊坂幸太郎の青春小説はズルい。お風呂の自動温度設定のように熱くなりすぎないようにぬる目に調節しながら、ジリジリと焼かれた熱砂の砂漠を周囲に配し、冷たい水が溢れるオアシスに美人と癒し系彼女が微笑む。いや美女はまったく微笑まないな。
口角泡を飛ばして自説を述べる(ちょっとウザい)西嶋が一人でボウリングの練習をする場面などものすごい反則だ。伊坂節?の悪ふざけとハラハラ犯罪エピソードに加え、友達や恋人以外も凄腕キャラばかり。初老になった超能力者・鷲尾氏のしたたかさも堪能したい。
愛しい若者達の満ち足りた四季。自分の名前に方位の漢字が入っていないことが残念だ。なんてことは、まるでない。
読後感:キック炸裂!に涙がこぼれた……本当にズルい!
島田 美里
評価:★★★★
青春小説というと、エネルギーのありあまった若者が、何かひとつのことに熱中しているシーンが目に浮かぶ。だけどそんな暑苦しい青春はもはや一昔前。この物語には、熱血や根性なんて言葉より、ニュートラルという言葉が当てはまる。それを象徴しているのが、大学生・北村の、熱くならない性格だ。
北村たちの集中力は、なんとなく単発のアルバイトに似ている。ここぞというとき、散発的にしか発揮されない。覚え立ての麻雀に明け暮れたり、合コンがきっかけでチンピラまがいのホストとのトラブルに巻き込まれたりと、彼らが人に誇れるような体験はほとんどない。汗と努力はどこへ行ったのか!?
だけど、結束力だけは、昔の青春小説に負けていない。仲間の女子大生の超能力を信じる気持ちは、戦隊モノのヒーローのようにカッコいい。
登場人物たちが語るように、確かに社会は砂漠で、学生時代は砂漠に放出されるまでの、オアシスなのかもしれない。しかし、奇跡を素直に信じられる気持ちがあるなら、オアシスはいつだってどこにだって現れるんじゃないだろうか。読後に、そんな期待が胸をかすめた。
松本 かおり
評価:★★★★★
読後に一声、「クッソーッ、やられちゃったよ〜」。しばし嬉しいニヤニヤ笑いが止まらない。これぞ小説の楽しさ。読書の快感。当たり本と出会えたエクスタシー。さすが伊坂氏、やはり伊坂氏。このひとが、ありきたりの青春小説なんか書くわけがないのだ。
舞台は仙台。主役は国立大学の男女学生5人組。この5人、よくもまあ仲間になれたなぁ、と思うほど毛色バラバラ。特に西嶋クンには要注目。人物設定の妙もさることながら、彼らが結束して苦難災難を乗り越え、輝ける青春の王道をグイグイ進む小気味よさといったらない。語り手「僕」の、「とりあえずここで強調しておくけれど、面倒臭いことや、つまらなさそうなことの説明はしないつもりだ」という言葉どおり、進行テンポ抜群。
構成と展開の巧さに予想外のオチ。最後の一行までツボをはずさず、「まだやるかー!」とツッコミを誘う手の込みよう。もうホント、こういう小説は最高だ。
佐久間 素子
評価:★★★★
確かに絶対的少数かもしれないが、どの地方大学にも西嶋みたいな人間はいると思うのだ。おそらく世代も問わない。十年前もいたし、きっと今もいる。十年後もいるのだろう。思いあたりませんか? 周囲から浮きまくりの、暑苦しくも愛おしい人間。大学時代の象徴って、西嶋的なものなのかもしれないなあと懐かしく考える。私にとっての大切な西嶋たちは、どうしているだろうか。砂漠のどまんなかでからからに乾きそうになってしまうようなときは、遠く離れてしまった彼らの存在にそれでも救われたりして。
普通の大学生は超能力をもっていないし、通り魔事件や空き巣事件にまきこまれたりしないが、「僕」たち五人と同じように、中身のあるようなないような話を延々として日々を暮らしているだろう。だからこれは、しごくスタンダードな青春小説なのだ。青春だからこっぱずかしいところもあるけれど、とっても楽しいです。難?「僕」がかっこよすぎだね。大学生のくせに。
延命 ゆり子
評価:★★★★★
もう、恥ずかしいくらいの青春小説だ。青が散るくらいの青春小説だ。けれど確かに伊坂幸太郎にしか出せない味やセンスがあふれだしていて、いったいこの人はどれだけの引き出しを持っているのだ。これからどれだけワクワクさせてくれるのだ。その可能性に胸がトキメく。
始まりはよくある大学生のクラスコンパ。そこに集まったのは5人の個性的な仲間たちだ。鳥瞰型の北村、恰好悪いけどどこか堂々としている西嶋、軽薄だが魅力的な鳥井、おっとり刀の超能力者・南、孤高の美女・東堂。ホストたちとの対決や、通り魔と引き起こす事件、それぞれの恋愛模様も絡み合いながら5人たちは友情を深め、成長してゆく。その過程が甘酸っぱくて、素敵で、胸がホコホコとあったかくなる。仲間を大切にする5人全員が愛しくてたまらなくなる。
年若き友人に、「伊坂幸太郎っていう人が面白いらしいんですよ」と言われたことがある。いいぞいいぞ、と思う。見逃してないな、と思う。老いも若きも虜にするその魅力を是非ご確認いただきたい。
新冨 麻衣子
評価:★★★
ちょっと前に出た「魔王」が文句なしの傑作だったので、もちろん期待して読んだのだが……正直ちょっと微妙です。 突飛で遊び心あふれるアイディアから生まれるスリリングなストーリー展開……という伊坂節がないとなぁ。超能力者が出てきたり変な犯罪に巻き込まれたりはするんだけど、なんかネタが小粒でインパクトないんだよね。ストーリーだけみれば安易な印象が拭えないんだよなぁ。
そして『魔王』に引き続いてというか、理屈っぽい変人・西澤の口を借りて、ここでも伊坂幸太郎は「考えろ考えろ」と迫ってくる。う〜ん。そのスタンスは『魔王』一作にとどめておいてほしかったなぁ。あんまり小説に政治色持ち込むのは得策ではないと思う。
次作に期待。
細野 淳
評価:★★★★★
この小説の語り部は、北村という人物。どことなくキザっぽい口調で物語を語り、一見すると冷めた目で世の中を傍観しているな感じの人物。鳥瞰型の人間、と仲間の鳥井にも言われている。でも学生のときくらい、そんなスマした視点で世の中を見たっていいと思う。社会に出たら、目先のことで精一杯になってしまい、客観的に世の中を見ることが、難しくなってしまうのだから。
そんな北村とは対照的に、西嶋の視点は近視観型。目下起こっている戦争などの暴力に対して強烈に反応し、マージャンで平和の役を作り上げることによって反抗しようとしているような人物だ。でも、それもまたいいと思う。社会に出たら、今現在世の中に起こっている出来事に対して、本気になって立ち向かおうとすることなんて、なかなかできないし。
ともかく読んでいて、純粋にいいなーと思える、大学生活を取り扱った作品。基本的には麻雀やアルバイトに明け暮れたりしているのだけれど、時に自分たちの生きかたを変えるような、重大な事件が起こったりもする。自分の学生生活と照らし合わせての、共感と憧れ。そんな二つの感情を、程よく織り交ぜながら、読み進めることができた作品だ。