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ティモレオン
【中央公論新社文庫】
ダン・ローズ (著)
定価760円(税込)
ISBN-4122046823
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
久々湊 恵美
評価:★★★★★
あまりにも残酷で救いのない話に、悲しくなってしまった。
人間のあまりにも醜いエゴがくっきりと描かれた作品。
カワイイつぶらな瞳の犬ティモレオン。初老のゲイ、コウクロフトと一緒に暮らしている。
最初は、愛情をたっぷりと注がれていたのに、ボスニア人がやってきてから事態は一変してしまう。
コウクロフトはただ、孤独が怖いだけ。話のできない犬よりも話のできる人間を選んでしまう。
家から追い出されてしまうティモレオン。裏切られても、主人の元へ帰ろうとするティモレオン。
そして、帰途で出会う人々がまた残酷なエピソード満載なのです。誰も幸せな人生を過ごしていない。しかしティモレオンと出会う事で少しだけ救われるのです。
読み終わったあとも、何やら無常観に襲われます。
あまりにも辛い話が盛りだくさんで、ちょっとうんざりしちゃいました。
それでも尚。
読了後、何度もこの本の事を思い返しました。何度も読み返したくなる作品。
気がつけばすごく好きな一冊になっていました。
松井 ゆかり
評価:★★★
翻訳者の金原瑞人さんも解説を書かれた江國香織さんも絶賛されていたが、残念ながら私はだめだった。いったいこの物語のどこに救いがあるのか。ティモレオン・ヴィエッタ…この愛すべき雑種犬の飼い主であるコウクロフトが長い苦しみの後に光明を見出したから?あるいは生活のためにコウクロフトに依存する(そしてティモレオンをあっさりと遠く離れた街角に置き去りにする)自称ボスニア人が自分の進むべき道を見つけたから?冗談ではない。それではティモレオンはどうなるのだ?愚かな人間たちに翻弄され、それでもコウクロフトの元へ帰ろうと長い旅を続けたこの犬の立場は?
人間がいかに唾棄すべきものかを描きたいがためにこの小説はあるのだろうか。もしそうだとしたら、確かにこの本に存在意義はあるのかもしれない。でもそんなことは改めて教えてもらわなくてもいい。本の中のこととはいえ、犬を辛い目に遭わせてまで知りたいような目新しい真実じゃないもの。
西谷 昌子
評価:★★★★★
いくつもの愛の物語を横切っていく犬。犬じしんも、ある愛によって犠牲になり捨てられる。裏切られたり、取り返しのつかない事故にあったりしながらも、馬鹿なまでにひとを信じたり愛したりする人々が、主人公の犬、ティモレオンとだぶる。ひとつひとつの物語の、独特の残酷さはマザー・グースのようでもある。酷い話なのに、哀しい無邪気さがある。
翻訳が素晴らしく、流れるような文章だ。詩を読んでいるような気持ちになる。汚いところも酷なところも、いやらしいところも醜いところも、すべてを淡々と語ることで不思議な美しさが生まれる。それは詩的な感性と小説ならではの描写が合わさった結果だろう。解説で述べられているように、本棚に置いていつまでも愛でたい一冊だ。
島村 真理
評価:★★★★★
犬の話と聞いて心が騒ぎました。私は犬が大好きなのです。どんな愛らしい犬とであえるのかと楽しくなってしまう。でも、帯をみてはたと止まってしまいました。「美しく残酷に世界を震撼させる衝撃作」……いやな予感です。
うらぶれた初老の男性と暮らすティモレオン・ヴィエッタは雑種犬。愛らしい目を持つちょっと気難しそうな犬。だって、気に入らないヤツには手加減がないから。彼らの前に、ある日現れたボスニア人と名乗る青年のおかげで彼は遠くに捨てられてしまうのです。しかし、愛情のためか、本能のためか、彼は家路を急ぎます。人々がくり広げる愛の物語の合間をぬって。
世の人々のそれぞれの物語を見せられます。ティモレオン・ヴィエッタは、チョコバーをもらいながら愛を失った少女のうさばらしに付き合い、家人の気をひいたことで不条理で悲しい死とも接触する。ふらっと現れ、風のようにさるティモレオン・ヴィエッタの姿は印象的です。
幸せとおなじくらい不幸せはやってくる。誰もがそれに気づくか気づかないかはわからないけれど。そういうことを考えました。
浅谷 佳秀
評価:★★★★
表紙裏の解説によると、犬が捨てられて、家路を辿る物語らしい。なるほど、これは大人向けの名犬ラッシーみたいな話かな、と思っていたら大違い。何ともまあ、シニカルでグロテスクな物語だった。
ティモレオンという愛らしい目をした雑種犬と、その飼い主であるゲイの老人、そして彼らが生活している家に転がりこんできた、ボスニア出身を騙る残酷な青年のおりなすぎくしゃくした関係をひとつのモチーフとして、そこに関係性の希薄ないくつかのエピソードが投げ込まれるように絡む。この風変わりな構成と、読者の予想や期待を裏切るエピソードの内容が、この作品を魅力的なものにしている。中でも「ジュゼッペまたはレオナルド・ダ・ヴィンチ」が強烈。それらのエピソードの隅っこを、ティオレモンの姿がちらりとかすめてゆく。美しさと醜さ、優しさと残酷さとが混ざり合いながら、ロンド・スケルッアンドが奏でられてゆく。この物語を読み終えて感じる苦味は格別だ。だがその中にほんのりと、甘やかな香りがする。
水野 裕明
評価:★★
本の冒頭、「ティモレオン・ヴィエッタは犬の中で最高の種、雑種犬だ。」とあって、しかもカバー梗概には「街角に捨てられ、愛の物語を横切りながらひたむきに家路を急ぐ」とあるので、犬を主人公にした人との愛ある交流の物語と考えしまった。ところが、である。なんとこれは同性愛者(ホモ)の老人に飼われていた犬を狂言廻しとした、いろいろな愛のエピソードを綴った連作短編集とも言える構成で、しかもティモレオン・ヴィエッタはそれらの愛の物語の中の登場人物とほとんど関係を持たないストーリーであった。愛犬物語や人との交流の物語を期待する人にはお奨めできない1冊ではあるが、ここに描かれた愛の物語は、主人公である同性愛の老人をはじめとして不条理で、悲惨で、ストーリーの中で解決がつかないために読んでいてやり切れなくなってくるものの、描かれた人物は魅力的で、様々な愛の形を実感できる1冊であった。