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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
「ルート350」
【講談社】
古川日出男(著)
定価1575円(税込)
2006年4月
ISBN-4062133911
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
清水 裕美子
評価:★★★
あの巨大テーマパークを心底愛し「好き!」と公言する人がいる。ネズミの国と皮肉に称する人がいる。一旦ゲートをくぐれば夢中なのに揶揄するスタイルだけを真似して「ああ、あのネズミの国ね」と言っちゃう人もいる。これは8つの短編集の2つ目『カノン』という某王国の物語を読みながら連想したこと。古川日出男の「初めての」短編集は、どなた様にも楽しんで頂けるストレートな作りなんです。放り出される先は……愛?
ハムスターって可愛いよね、から、SF的にどんなもんだの議論まで8つの物語は贅沢なことこの上ない。例えば東京の(地名)飯田橋と神楽坂が特別な場所に変貌を遂げてしまったり。
縦横に時間軸を駆ける文章はジェットコースターで構成は驚きの連続。ルート350がどこなのかは最後に明らかになるが、足元がグラグラする旅な訳だーと思いながら不覚にも感動してしまったり。
読後感:「読みやすい」古川日出男は危険だ!
島田 美里
評価:★★★★
著者の作品が難しいなと感じるのは、展開が予測できないからだと思う。この短編集も、オチが読めなかった。著者ならではの切り口で、見たこともない世界を見せてくれるのだ。
ただ正直言うと、テーマがわからないまま、読み終えたものもあった。そんな中、次の2編には、斬新さと情緒が同居している気がして、無性に惹かれた。家族が次々にいなくなり、空っぽの家で生息するバッハという名のハムスターに意識を傾ける「お前のことは忘れていないよバッハ」と、東京の臨海地域で幻の少年が、生きている少年に向かって、埋め立て地の上にある張りぼての発展はインチキだと訴える「カノン」だ。
小さなハムスターから見た大きな家も、幻の少年から見たかつては海だった土地も、通常とは全く違うものに思える。飛び出す絵本のように、同じフレームでありながら景色がパッと変わるのだ。現実の世界と、どこかで脈々と続いている別の世界が同時進行している空間を、スイスイと泳いだ気分になった。まるで、時空を旅したような読後感である。
松本 かおり
評価:★★★
表題作「ルート350」が最後に登場しなかったら、<★1つ>にしたところだ。他の7編は残念ながら魅力を感じない。ベタベタ幼稚な話し方をする36歳女はただのウマシカにしか見えず、幽体離脱した高校1年男子がやるのは「顕現」「精察」と表現はもっともらしいが要はノゾキだし、小学校6年エリート・ガキ御一行の夏期講習では突如ドンパチ開始でナンジャソレ??? 登場人物は理解できないわ、話の飛躍は激しいわ、で辟易。
で、「ルート350」。もしや、と思ったら案の定、あの国道。航路=国道、フェリーの行き先は佐渡だ。国道350号線は、海をまるごと抱え込んでなお広がり延びる。「ルート350」には、一本の国道、ひとつの島を越えたはるかな世界を感じる。佐渡は私の好きな場所でもあるのだ。何度行ってもいい。カーフェリーにオートバイと乗り込み、ドラに感激、口ずさむのは「佐渡おけさ」。3ページほどの小編が、おおいに記憶を刺激してくれて拾い物。
佐久間 素子
評価:★★★
『LOVE』で、三島賞を受賞した著者。本作は、帯の推薦文が、江國香織と豊崎由美だ。波が、きてますか、きてますね。それなのに、どうやら乗り遅れている私。形を変え、色を変え、軽やかに語られる、愛としか呼べないものをちゃんと受けとめるには、それ相応の感受性とスキルがいるみたい。
親に忘れられた少女たちが、小さな家の中で縦横無尽に生きるハムスターに希望を見いだす「お前のことは忘れていないよバッハ」。インチキの世界を破壊したい男の子と、エンターテインメントの舞台に貢献したい女の子の、ボーイミーツガールストーリー「カノン」。幽体離脱した僕と、幽霊アパートを媒介に、からだだけの美女とガリ勉女子とエロ男子が交錯する瞬間をかいた「ストーリーライター〜」等々。どうしようもない世界のただ中で、何となくよりそってしまう魂、なんていうと陳腐にすぎるし、そんなこと一言も説明してないけれど、やっぱり私たちはどうしようもなくつながっていくのだと、遠く未来を想ってしまう。こんなだだっぴろい話が、短編におさまっているのが不思議。ホント、今どきの言葉とスピードについていけなくて悔しいです。
延命 ゆり子
評価:★★★
多分面白いのだろうなあ、ということはわかるのです。
非常に玄人受けする作家ですし、この短編集も評価を集めるのでしょう。
東京ディズニーランドに隠された裏の物語、幽霊アパートを見続ける才能ある3人のクラスメイト、7歳くらいの女の子と橋をたどり続ける小さな旅。どれもこれも奇想天外なストーリー。小説という手法で実験し続けるかのような作者の貪欲な姿勢には頭が下がります。
しかし。私には頭の良い人たちが集まって夢中になって遊んでいる様子に加われず、ぽつねんと取り残されてしまったような。そんな印象を受けてしまうのです。私の頭が悪いのでしょうね多分。くすん。
と言いつつも、『お前のことは忘れていないよバッハ』の三人の女の子たちとハムスターの小さな哀しい冒険譚にはゴトゴトと心を動かされたりして。
新冨 麻衣子
評価:★★★★
現実と幻想、真実と虚構、過去と現在と未来││すべてを飲み込み再構築し、疾走する新たな物語たち。古川日出男入門としてもオススメ出来る最新短編集です。
少女のあこがれと少年の幻想が交錯する東京ディズニーランド「カノン」、取り残された3人の少女とハムスターが小さな家の中で壮大な音楽を奏でる「お前のことは忘れていないよバッハ」、離婚したての男と死んだ振りをする少女の小さな旅「飲み物はいるかい」、入学早々に入院することになった男の子の友達探し「ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリーファイター」…この4編はシンプルだけど切なくてぐっとくる。
あと、いくつかの物語で構成される「物語卵」のなかのバードマンの話もいいし、『サウンドトラック』の疾走感を思い出す子供たちの闘いの物語「メロウ」もいい。
どれもこれも古川日出男ならではの味わい。面白かったです。
細野 淳
評価:★★★★★
登場人物の独白みたいな書き出し。そんな書き出しが、読者を物語の世界に引きずり込んでいく。そして、その勢いを持たせたまま、一気に全部読ませてしまう。そんな短編が集まっている本だ。
特に印象的だったのは、ディズニーランド創設にまつわる話である「カノン」と、その名のごとく今のお台場を舞台とした、「1991年、埋め立て地がお台場になる前」の二つ。どちらも今や東京の観光地なのだが、その昔は、ただ海を埋め立てて造られた土地に過ぎない。常に賑やかで、人であふれかえっている場所に、かつてあったかも知れない全く別の世界。それを描いているのが、この二つの作品。ひょっとしたら、これらの短編で描かれている世界は、既に遠い昔の出来事というべきなのかも知れない。けれども、そんな場所にも今も過去の名残がどこかにあるのではないか、などという気にさせられてくる。
作者によって紡ぎだされるのは、皆虚構のような世界。だが、そんな世界に突如として沸いてくる現実感が、物語に不思議な印象を与えている。