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磯部智子の 【勝手に目利き】 |
以前紹介させて頂いた『猫とともに去りぬ』と同じ古典新訳文庫で、これまた初めて読む作家だが、世界には未だこんな面白いものがあるのだと改めて感心する。形あるもの、物造りに特異な才能を発揮するイタリア人が描く物語世界は、陽気で洗練されたユーモアと思いがけない奇抜なスタイルで構築されているが、内包する問題は根深くじわじわと心が侵食されていく。先ずは『天地創造』でつかまれる。天使たちが全能の神に「生命」のデザインを提案する情景の賑やかしいこと、十の頭を持つ竜は却下され、「最低の趣味」だと言われながらもラクダは審査に合格し、大喝采と共にクジラは承認される。そして最後に「楽観的な発想も必要」だと考えた神が賭けに出る「宿命の設計図」に描かれた動物とは……二人の聖人が賭けをする(!)『風船』や、一匹の犬へのいわれのない恐怖が村人たちを縛る表題作『神を見た犬』。怖い作品はとことん怖く『七階』は心底怖い、2回読んだが2回とも怖かった。この幻想世界では価値観は決して平坦なものではなく、物事を隔てる絶対的な境界線など曖昧なのだと知っている人ほどきっと怖さが身にしみる粒ぞろいの作品集。 |
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林あゆ美の 【勝手に目利き】 |
本書は『ファストフードが世界を食いつくす』というタイトルで刊行されたものをティーンエイジ向けに書き直し、新たな内容をもりこんだもの。 |
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