麻生前首相、実は飲めればどこでも良かった~『東京角打ち~立ち呑み百景~』

東京角打ち~立ち呑み百景~ (SAKURA・MOOK 9)
『東京角打ち~立ち呑み百景~ (SAKURA・MOOK 9)』
笠倉出版社
1,050円(税込)
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 「角打ち(かくうち)」という言葉をご存知だろうか? 角打ちとは、酒屋の店頭の一角にお酒を飲めるスペースを作り、そこで酒を飲むこと。「スタンディングバー」「ショットバー」「外国風パブ」etc...、カッコいい単語に言い換えることもできなくはないが、そこは日本の酒屋の軒下。庶民的で安く、気軽に楽しめる雰囲気は「下町の立ち飲み屋」といったところか。しかしこの角打ち、「金の無い呑んべえだけが行くところ」と考えてもらっては困る。

 新宿区四谷1丁目にある酒屋『鈴傳』のエピソード。「四谷見附の交差点から30秒」というこの酒屋には角打ちスペースがあるのだが、この店には何と、かの麻生太郎前首相が大臣時代に飲みに来たことがある。

 ご存知のように首相時代には連夜のバー通いでマスコミに叩かれ、国会では「カップ麺は400円ぐらい」と発言して庶民感覚の無さを思いっきり露呈した麻生氏。ある意味これほど角打ちが似合わない人もいないのだが、その麻生氏が「ビール大瓶500円、モツ煮350円」という『鈴傳』で角打ちを楽しんだという。このエピソードだけでも、角打ちが持つ特有の魅力が分かる。

 そんな角打ちについて先達は「呑み代1000円滞在1時間」が不文律だと語る。しかし角打ちは庶民の味方。荒川区の『家谷酒店』には「1日に3~4回来るよ」という常連がおり、西池袋の『三兵酒店』には午後3時の開店から深夜12時の閉店まで立ったまま飲み続ける猛者もいるそうだから、自分のペースで好きにやるのが真のルールなのかもしれない。

 私も、荒川区の『森田屋酒店』を訪れてみた。生ビール1杯と乾き物と缶詰、さらに缶チューハイを3本飲んで1000円で収まった。まだ、角打ち未体験の方は、ぜひ訪れてみてはいかがだろう。

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