「できる人」が組織をダメにする~『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』

〈NJセレクト〉 なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?
『〈NJセレクト〉 なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』
吉田 典生
日本実業出版社
1,000円(税込)
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 「名選手は名監督にあらず。」は、プロ野球の世界でよく言われている言葉です。この言葉がこれほどポピュラーなのは、私たちの会社組織においても、プレーヤーとして優秀な人が、他の優秀なプレーヤーを育てられず、思うようにいかないことが多いため。それほど「できる人」が「できる人」を育てることは困難なのです。

 では、この問題を解決するために、育てる必要のない「できる人」ばかり集めてみてはどうでしょう。エリート集団を形成するのです。しかし、結果的にこれも失敗するでしょう。なぜならば、組織には"二対八の法則"や"二対六対二の法則"といったものがあるからです。これは、「二割の稼ぎ手たち」が「八割の稼げない連中を食わしている」。また、「二割の優秀な人材」と「六割の凡庸な人材」、そして「二割の足を引っ張る人たち」が、組織には常に存在するといった法則です。どんなに優秀な人材を集めたとしても、このような分類になってしまうそうです。

 たとえば、東大に入った学生はそれまで皆エリートなはず。しかし、入学後はできる学生とできない学生に分かれ、外から見れば一つのエリート集団でも、そのなかにいる者には、"できの違い"がよくわかるそうです。スポーツの世界でも、お金をもっているチームが他チームから次々と「できる人」を引き抜いた結果、期待はずれに終わるケースがあります。「できる人」と「できる人を育てることができる人」は別の資質や経験、モチベーションが要求されるのです。

 "できる"とは、つまり自分の力で、求められている自分の役割に応えることが"できる"こと。そのような「できる人」は、一般的に仕事への意欲が高く、目的意識も明確。そのために、次のキャリアアップとして、他に「できる人」を育て、「できる組織」をつくる担い手として、役割を任されてしまいます。しかし、ここで要求されているのは自分ではなく、他人の「できる力」を引き出す能力なのです。

 多くの「できる人」は優秀であるがゆえに、「できる人」を育てる障害を内面に抱えています。悩みが深まる前に、吉田展生氏の著書『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』を手に取ってみてはいかがでしょう。多くの「できる人」が苦労している「できる人」を育てる術が本書に隠されています。

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