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魔性の馬
【小学館】
ジョセフィン・テイ
定価 1,800円(税込)
2003/3
ISBN-4093564612
大場 利子
評価:B
馬、好きですか。
犬とも猫とも仲良く出来る。でもやはりこわい。噛みつかれたり、追いかけられたり、ひっかかれたり、しないはずはないからと思う。馬なら、なおのこと。ニンジンを食べさせていると腕まで食べられてしまうとか、馬の背から振るい落とされ踏まれてしまうとか。あり得なくはないと思う。こわい。が、それより、もっとこわいのは人間だった、という物語。
イギリスの田舎の旧家が舞台。そこに住む双子の姉妹や、子供達をそっと見守る伯母さんや、美しくて美しくて仕方のない近所のおばさん。誰もが魅力的。ここの一員になりたい。
●この本のつまずき→原題と邦題の違い。
新冨 麻衣子
評価:AA
放浪児のブラットは偶然出会った男の口車にのり、偶然にも自分と似た顔をもつ、資産家アシュレイ家の長男パトリックになりすます。伯母や妹たちとの再会をそつなくこなす一方、パトリックの双子の弟・サイモンの疑いの目に怯えるブレット。8年前、なぜパトリックは遺書を残して姿を消したのか、そしてサイモンは如何にしてブラットが偽物であることに確信を抱いているのか。ゆったりとしたイギリスの田舎を舞台に、ブラットとアシュレイ家の微妙な人間関係がスリリングに描かれる。
何よりブラットが魅力的だ。心優しい伯母や妹たちに親愛の情を持つことによっておこる罪悪感。13歳にしてこの世から姿を消したパトリックに対しても深い同情を覚える。ストーリー自体はめずらしくないが、ブラットを人間臭く描くことで、読み手としてはいつ真実が露呈するかもしれない彼のスリリングな数週間に引き込まれ、後半ではパトリックの事件の真実を追うブラットをヒーローかのように感じてしまう。情景描写も抜群。これ半世紀以上前の作品なんですよね。これまで翻訳されたなかったのが不思議な、傑作です。
鈴木 恵美子
評価:A
「引き継ぐに値する豊かですばらしい土地」ラチェッツのアシュビィ家。当主夫妻の事故死後、兄の子供たちを後見し、家を守り厩舎を経営し采配してきたしっかりもののビー叔母さんでさえ、見抜けなかった。八年前遺書らしき書き置きを残して死んだはずの長男パトリックを名乗る好青年の真贋を。いささか心理的に深読みすれば彼女は見抜けなかったというより見抜かなかったのかも。相続者には気まぐれでわがままな双子の弟サイモンより、やさしく思いやりのあった兄パトリックに似た彼の方がふさわしいという直感から。いつかは見抜かれると思いながら、家族を知らない孤児だった青年は、長い放浪の旅の果てに帰ったオデュッセウスのように知謀をめぐらせなりすますが、それは財産ほしさの物欲からだけではない。サイモン以外の姉妹とうち解け、ビー叔母さんに愛され、村の人々に懐かしがられ、牧場の馬を愛していくうちに、本当にパトリックびいきになった彼は、その死の謎に迫り、遂に真相を突き止めたが… 村の自然や、家族感情、馬の描写等が巧みで美しく、謎の鍵を魔法のように開けていく。
松本 かおり
評価:A
「いつ足元で地雷が爆発するかわからないような生活をいったいいつまで続けられるのか?」「いつの日か、絶対に忘れるはずのない何かを知らない場面に出くわすことになるのだ」。ブラットの不安がそのまま伝わってきて、もう止まらずドキドキの一気読み!まさに馬が疾走するに等しいスピード感あふれる展開に加えて、ことの次第が判明してもなお、最後の最後まで見せ場アリ。底意地の悪さが臭う次男・サイモンと、馬をこよなく愛する物静かで賢いブラットとの対決はいかに?!
登場する馬たちの描写も魅力たっぷり。野原を疾駆し、競技場で障害を飛びこなす、つやつやした漆黒や栗毛の美しいすがたが目に見えるよう。「魔性の馬」のしたたかさには、馬を知るひとならニヤリ、と笑うことだろう。
50年も前に書かれたとは思えない新鮮さ。面白く素晴らしい作品は、何年たとうと色褪せないのだ、とつくづく思わされる。
山崎 雅人
評価:A
放浪の孤児ブラッドは、遺書を残して崖から落ちたとされる、行方不明の長男パトリックになりすまし、アシュビィ家に入り込む。家督相続するはずであった、ふたごの弟サイモンは、疑惑の目でブラットを見つめる。
ブラッドはアシュビィ家をだまし通し、財産を我が手にすることができるのか。そして、サイモンは何かを知っているのだろうか。
このサービス精神旺盛な作品には、いくつもの読みどころがある。そのすべてが魅力的で、どこをとっても飽きることなく読ませる。
ブラッドの偽装犯罪を中心に、パトリックの死に迫る本格推理が展開される。スリリングなストーリーは、緻密で濃密。手を抜いている場面は見あたらない。
躍動感あふれる登場人物、当時の英国の風景、そして魔性の馬が、かろやかでしなやかな筆致で、色鮮やかに描かれている。
54年の時を経て日本に上陸した、エンタテイメントの神髄を極めた傑作である。