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├2001年6月
└2001年5月
愛さずにはいられない
【集英社 】
藤田宜永
定価 2,100円(税込)
2003/5
ISBN-4087746453
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
大場 利子
評価:C
あなたは作家のルーツ、人となりや私生活を知りたいと思いますか。私は知りたい。
「赤裸々、どこまでも赤裸々。」と赤い字で打たれた気迫を感じさせる惹句には、そんなお気楽でミーハーな気分だけでは、太刀打ちできない。
「金はいくらあってもいい。素直に受け取った。だが、金をもらうたびに、しめしめと思いながらも、金の他には、大事なものは何ひとつくれない家族だな、と暗澹たる気持ちになる。」どんなにセックスに溺れようが、女性を愛そうが、私にとってこれがこの物語のすべてとなった。
●この本のつまずき→福井名物と描かれるヨーロッパ軒のソースカツ丼。食べたい。
小田嶋 永
評価:B
「自伝的小説」と著者が最初から(あとがきで)明かしている。小説という物語であれば、自伝だろうがフィクションであろうがかまわない。実際の出来事と思わせておいて、実は虚構に引き込まれているということも、小説のうまみだと思う。主人公・ 藤岡の、16歳の時の初体験から始まり、空虚な心を埋めるために女性・セックスに依存し、由美子という女性と一時とはいえ「愛し愛される関係」をもった高校生時代を描く。破格の高校生だ。「愛さずにはいられない」という態度は、誰が誰に対して抱くものだったかが、女性遍歴が語られるなかで、明らかにされていく。それは、個人的なコンプレックスなのか、それとも“少年”たちが共有する渇望なのか。思わず、後悔することの多い自分の高校生時代に思いを馳せてしまった(今となっては、何もかもが懐かしいのだが)。作者が「自伝的」に表現したかったのは、むしろ1960年代の最後の、時代の雰囲気ではなかったのか。
新冨 麻衣子
評価:AA
「はー、なるほどねえー」読み終わった後、若き日の藤田サンの写真を見て深くうなずいた。いい男だわー。こりゃもてるだろう、母性本能くすぐる顔してるもの。
本書は、著者の学生時代における女性遍歴を中心とした自伝的長編である。ときは60年代後半である。ちなみに著者は高校生。なのに彼女との愛にまみれた同棲生活がこの本の多くを占める。つまり高校生にして同棲生活!うらやましいねえ。しかしそんな生活のなかで、彼はいつも空虚な心を持て余しているように見える。その原因となった母親との確執も本書では冷静に書き留められている。そんな影を持った雰囲気も彼の魅力となって、女を引き付けたんだろうけど。
大学を中退した後のフランス時代や小池真理子さんとの恋もいつか書いてほしいなあ。
鈴木 恵美子
評価:D
「赤裸々、どこまでも赤裸々」という帯の惹句、えーっ?明治時代の自然主義小説じゃあるまいし、今時赤裸裸が売り文句になるのか??と疑問がよぎった。本来は奥深く秘めているべきはずの恥部を、包み隠さずすっぽんぽんに人目に曝すことで、人間を活写できたつもりになる過去の誤解は批判されて久しいし、やっぱり恥知らずは恥じゃないの?大体カバー裏には若き日のロン毛、細面で遠い目をした少年のポートレート。若けりゃ恥も純粋の証ってもんでもないし…。
60年代に高校から東京の私立に上がれるなんて、おぼっちゃま君が、世間体だけで愛情がないとか、家に縛り付けようとしているとか親に反感を抱くのはまあ、よくありパターンだけど、その親の金で自由奔放というか、悪く言えば、女漁りにうつつを抜かし留年はするわ、中絶はさせるわ、半同棲の挙げ句上手くいかなくなるなんて分かり切った結末で、満たされない「魂の飢え」みたいなものをこれでもかとばかり描かれてもねえ。ほぼ同年代の高校時代を送ってるけど、お金と暇のありすぎで逆マザコンのプレー坊やちょっと相手にされたくないタイプ。
松本 かおり
評価:A
「他人に内面をきちんとさらけ出すには、まず本人が、自分の心の底に下りていかなければならない。そして、それを言葉に換える作業を経なければ、他人に通じるわけがない」。本書は、まさにその結晶といえる自伝的小説だ。
主人公の高校生・藤岡の冷めた目線に強烈に惹かれる。女に対するクールさに加え、「実母との確執」には達観した凄みを感じる。世間体を最優先し、些細なことに執着し、欠点をあげつらう母親。「母の態度が、僕の人間の見方に大きな影響を与えたのは間違いない」。マザコンひとりっ子の甘え、と嘲笑される可能性も承知のうえで自らを晒し、「母親は子供に献身的で、美しい存在だという神話」に訣別を告げた著者に、私は心底感服した。
藤岡は「過去は過去である。植え付けられてしまったものを今さら払拭できないのだから、それを原点として生きなければならない」と言う。高校当時から35年以上を経た現在、著者の藤田氏が、母親とのことを含めて、壊れていた自分をどう修復したのかを、その後の藤岡を通して読んでみたいと思う。
山崎 雅人
評価:C
親元をはなれ東京の高校に通う青年は、女漁りの日々を送っていた。寂しさだけしか共有できない女たちとの出会いと別れ。そして運命を大きく変える女との愛憎劇を、60年代の風景とともに力強く綴った私小説である。
早熟な青年の自堕落な生活を、性愛の遍歴だけで最後まで描ききっている。女に溺れ、泥沼にはまりこんだ青春時代を、飾らず、後悔もせず、いさぎよく淡々と語っている。
甘い香りのしない、傷を舐めあうような恋愛と、セックスのための恋愛が、劇画調の暗めなタッチで展開される。倦怠感と喪失感のただよう不器用な愛の軌跡が、時代の雰囲気と調和していていい。しかし、淡泊な性描写というより、したという事実の繰り返しは、単調で少々げんなりしてしまった。軟派野郎のナンパ日記のようで、好きではない。
セックスに執着した自伝は、共感と蔑視、半々といったところ。それでも、欲望むきだしの愛の結末は、読まずにはいられない。