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├2001年7月
├2001年6月
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ボロボロになった人へ
【幻冬舎】
リリー・フランキー
定価 1,470円(税込)
2003/4
ISBN-4344003314
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
大場 利子
評価:B
リリー・フランキーに小説を!感謝します。とりあえず、幻冬舎の方に。
六篇の短篇が収録されている。最初の「大麻農家の花嫁」、その次の「死刑」、その次の「ねぎぼうず」は素晴らしい。価値観を揺さぶられる。大袈裟でなく、ふと立ち止まって考え込まされる。でもすぐ忘れさせてくれるけど。だから、字が大きいのは仕方ない。
●この本のつまずき→帯裏に「なにかに、つまずいている人の方が、魅力的だと思う。リリー・フランキー」ありがとう。いつも、つまずいていて、良かった。
小田嶋 永
評価:B
かつて『美女と野球』というタイトルだけで買ってしまった(あまり野球については書かれていない記憶がある)。リリー・フランキー、どんな人かわからない。イラストレーターらしいが、映画や日常の出来事にも注がれる愛と独特の感性をもつコラムニストというイメージ。表題作は、フィーゴという、(レアル・マドリーの10番ではなくて)地雷で片足を失った男の、3ページと4行の「小説」だ。「人々がため息をつくほど素晴らしい奇跡を起こせないものか」「この町のすべての人々のために、最後に、何か、とてつもなく良いことを残して逝きたい」と考えるフィーゴ。しかし、何も思いつかない。痛めた(義足でないほうの)足の爪が「ただ、ずきずき痛い。」うーん、この男の爪の痛さは、読んでいるぼくたちの爪の痛さを共鳴させる。その他の作品もテーマを前面に押し出すことなく、優しい愛を物語っている。
鈴木 恵美子
評価:D
なんともしがない人たちが、倦んだ日常からもう一歩足を踏み外す、危ういときめきが描かれた短編集。おひゃらかしの悪ふざけのように、人を斜交いや裏からくすぐる最初の二編は、文芸部の回覧雑誌に毛の生えたような荒さというか、作者の気負いが却って面白さをそぐところがあった。三、四編目の「ねぎぼうず」は女の、「おさびし島」は男の、生と性の虚実を寓意的に描いて対比的。日常にしがみつき生活を取り繕いながらも性の秘部で満たされる女と、日常を捨て、生活から逃げ出したはずが性と常識につながれ縛られている男をさっと切り取るラフスケッチといったところか。皮肉だけれど嫌みがない、愚かだけどピュアでプアの極めつけはお次の「Little baby nothing 」が一番かな。最後の「ボロボロになった人へ」はなんだかメッセージ臭く、ちょっと余分。タイトルとしてもしゃれてない。 でも、逆にそれがタイトルになってるってのは、この本、小説と言うよりメッセージ 集なんだよね。と思えばどの編にも臭った寓意臭にも納得がいった。
松本 かおり
評価:B
全6編それぞれに、妙〜に味わいのある短編集。食べ物に例えると、くさやの干物とかコノワタ、あるいはホタルイカの刺身かホヤの酢の物。尾を引くというか、癖になる感じがある。冒頭の「大麻農家の花嫁」からして、農家と女をおちょくってんのかマジなのか、相当に毒が効いて笑えるのだが、なんといっても最高なのが第2編の「死刑」だ。
「どんな微罪であっても、どれだけ凶悪犯であっても、犯罪者は一律死刑になる」時代、裁判で争われるのは死刑の方法だけ。悲惨を通り越して爆笑を誘う過去の死刑事例の数々は、現代の司法制度と人権屋を嗤い飛ばしてイヤミたっぷり。さて、17歳の川瀬クンに対する判決はいかに?!笑いにまぶされた一抹の不気味さは、何度読んでもたまらない。
そして締めくくりのタイトル作「ボロボロになった人へ」。こうはなりたくないっ!と発奮するか、これもまた人生……と救われた気持ちになるか。軽く読ませながらも実は奥深い全編を反芻しつつ、ここで我が身を振り返るも一興。
山内 克也
評価:C
リリー・フランキーといえば「日本のみなさんさようなら」で、邦画を独特な鑑賞で揶揄っぽく書いた、ひとくせある批判精神の持ち主、とのイメージがある。ほかにも、ヘタウマのイラストや、ひねくれた物言いのテレビコメントなど、さまざまなジャンルに活躍活躍中だ。そのリリー・フランキーが、「ついに小説もか」と思いながら、ページをめくった。
巷のドラッグ需要をさばくために大麻栽培が日常化した「大麻農家の花嫁」、極刑も処置次第では快楽につながる「死刑」、都落ちした男が自堕落な少女に、“慰め”の本質をつかれる「おさびし島」。各短篇とも逆説的な論理構成に「あははは」と笑わしてくれる。著者らしいシニカルな世界観にそれなりの快活さを覚えるが、本を閉じ、その世界観にどんな「寓意」があるのかを思い返すとなかなか答えられない。不思議な小説だ。
山崎 雅人
評価:C
恋愛できる気がしない。結婚は就職だと農家の花嫁募集に応募した女を待っていたのは、ランボルギーニを駆る親父と、美形のインテリ三代目、そして広大な大麻畑だった。『大麻農家の花嫁』。万引きで死刑の時代、自暴自棄の少年を楽に死なせるため、敏腕弁護士が奔走する。彼らの勝ち取った死刑とは。人間の尊厳を考えさせられる『死刑』。刹那の瞬間に道徳と無力さを説く表題作など、非日常的な状況を、飄飄と描いた小説集である。
この世を嘆く堕ちた主人公たちは、滑稽で風変わりな境遇の中で、至極まじめなセリフを吐き続ける。そのギャップが作り出すとぼけた雰囲気は、独特のいかれた世界観を増幅していていい。しびれるものがある。
しかし、破滅王舞城や鬼畜小川の本を読んだ後では、どこかもの足りない。中途半端な優しさやせつなさはいらない。とことん堕ちて欲しい。そうすれば、傑作が生まれるかも知れない。次回作に期待したい。