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いい人になる方法
【新潮文庫】
ニック・ホーンビィ
定価 780円(税込)
2003/6
ISBN-4102202145
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
池田 智恵
評価:B
売れないライターで皮肉屋の夫が、突如善行に目覚めた!医者であり、独立するだけの甲斐性を持った妻は、混乱しつつも夫の行いを否定できない。徐々にエスカレートする善行が、少しずつ家族をバラバラにして行く……。
上手い。登場人物は程度の差こそあれ誰もが愚かで、弱くて、自分勝手なのに、乾いた心理描写がそれを暑苦しく感じさせない。何より、バラバラになった家族をつなぎとめるものがとてもささやかで頼りないものだというのがいい。安易なハッピーエンドより、かえって作者の人間に対する確証を強く感じさせる。主人公である妻が中流階級に属する自らの境遇に対して罪悪感を感じているところに共感。大して幸福でない人ほど恵まれていることに罪悪感を感じたりするんだよね……。
延命 ゆり子
評価:A
自分の夫がいきなり宗教に目覚めてしまったら、私はその結婚生活を続けていく自信を持てるだろうか。ケイティの夫はもともと怒れる毒舌コラムニスト。夫は突然、不思議な力を持つ怪しい宗教家のような男に傾倒し、それまでの家族や夫婦のあり方を根本から覆してゆく。夫の言っている事はいちいち正しく思える。近所の人たちと共同してホームレスを居候させたり、これまでにひどい仕打ちをしてしまった人に謝ったり、困っている人や助けを求めている人に対して手を差し伸べようとする。自分たちの生活をきりつめてまで。しかもそれはある程度の効果をあげるのだ。正しいことばかり述べる人や、それを他人に強要する人を、私は信じない。しかし怖いのはそれが自分の夫だった場合だ。所詮他人を全て理解することなど誰にもできないけれど、誰も信じることが出来ないで何が人生だろう。その兼ね合いの中に結婚というものがある。そして結婚を続けていく上で必要なのは作者の言うように“個性の死”でしかないのだろうか。結婚ってナニ?こわいよう。独身者である私は結婚に対しての恐怖感をこの作品でますます深めたのでありました。
児玉 憲宗
評価:B
主人公ケイティは、自分が「いい人」であることを心の拠り所にしている。自分がいかに「いい人」かということを論理的にし、満足しようとしているが、どう考えても、ケイティの職業が医者であること以外にその理由は見つからない。
ケイティが自分が犯した浮気を白状し、離婚話を持ちかけたことをきっかけに、「悪い人」であるはずの夫、デイヴィッドが、文句なしのいい人へと変わっていく。夫がいい人になればなるほど、ケイティは自分のいい人ぶりがいかに嘘っぱちだったのかが浮き彫りにされる。浮き彫りになるにつれ、混乱し、ケイティは次第に壊れていく。実は、デイヴィッドのいい人ぶりだって相当あやしい。さらに困ったことには、皮肉なことに家族がいい人になり、いいことになればなるほど家庭が崩壊していくのだ。
この物語のテーマは「いい人って何だ?」ということなのだが、その答えは読者に委ねられる。ケイティの職業は医者であるから、こう結論づけている。「刺されたナイフは抜いてしまうと出血してしまうから、そのままにしておくのが最良の方法」。いい人になるために積極的なアクションをおこすなんでとんでもない。
鈴木 崇子
評価:A
うんざりする日常から逃げ出したい、こんな現実には飽き飽き、なんて誰もが思うことでは。自分自身も、世界をも癒し幸せにするための教えは世の中に氾濫しているけれど…。現実の生活とかけ離れ過ぎていて、どこか胡散臭かったりする。
同様に「いい人」であろうとすることも難しい。主人公がそうありたいと願う「いい人」は常識の範囲内でのこと(それゆえ表面的)。あくまで世間が期待するいい人のフリ。ところが夫と友人の謎のヒーラーはストレートに「いい人」を実践しだしたから大変。正しいことは時として暴力だったりする訳で…。
結局、多くの人はみんなが平和で豊かで幸せな世界なんて望んでいないのかも知れない。望むとしたらそれは自分(と家族)だけが、という条件付き。あきらめと引き換えにほどほどの安心感を選ぶのか、エゴを捨てて至福の一体感を選ぶのか。「あなた」と「私」、「あなたと私」。閉じた世界で生きるのか、「みんなひとつ」の世界で生きるのか。現実と理想のギャップを描くシニカルな物語。
中原 紀生
評価:D
妻に浮気され、「意地の悪い、皮肉たっぷっりの、愛情のかけらもないブタ」と決めつけられ、離婚話を持ち出された辛口コラムニストのディヴィッドが、突然、これまでの生き方を改めて、「もっといい人生を送りたい」と思う。DJグッドニュースと名乗る妖しげなスピリチュアル・ヒーラーに「ピュア・ラブ」の洪水を注がれたことがきっかけ。まるで、良き知らせ(福音)を告げるイエスと霊的に交わり回心したパウロのように。隣人や二人の子供たちまでまきこみ、ホームレス救済プロジェクトを立ち上げたり、現代の福音書(いい人になるためのハウツウ本)の執筆を計画したりと、いささか常軌を逸した行動に出る。そのドタバタホームコメディの一部始終が、ディヴィッドの妻で女医のケイティの手記(これがまた「普通の人」の鼻持ちならない傲慢と卑小をさらけ出していて、やるせない)を通じて語られる。まるで現代のソドムは家庭にありと言わんばかりに、最後に残されるのは、空っぽな心をもった人物と、その向こうには何もない家族の情景。「豊かで美しい人生」なんて、どこにもない。全編に漂うシニカルな口調が、笑いをひきつらせる。なぜこの作品が英国でベストセラーになったのか、理解できない。
渡邊 智志
評価:B
映画もハズレなしと、ずいぶんと歩留まりのいい印象の作者ですが、作中の人物を作者の(ちょっと薄め!の)風貌と重ね合わせて、知らず知らずの内に好感を抱かせてしまう手法が手堅いんだと思っています。いやー、やっぱり巧いよ。なんだかくやしいけど。彼らの住む国や街や地域コミュニティには、いろんな意味で「いい人」がたくさんいて、(そんなはず無いんだろうけど)きちんと会話して、意見を戦わせて、そして生活している。あくまで作者の作ってみせた小説の中の世界なんだけれど、こうなればイイな、こうしたいのにな、という願望が満たされてゆく心地良い世界なのです。ただし、やっぱり男の視点の方が似合っていますね。端々ににじむ女主人公の“諦念”が上手く表現されているようにも感じられるけれど、どことなく男から見た女像でしかないような、こうであって欲しいという期待を込めて描いているような…。作者の写真から勝手に想像しすぎですか?