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├2001年7月
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かび
【小学館】
山本甲士
定価 1,785円(税込)
2003/6
ISBN-4093874379
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
大場 利子
評価:A
自転車に乗っている時、通行の邪魔をする人にいらついて、「しゃぐぞ、われ、どけー」と心の中でどつくことがある。
この物語の主人公、伊崎友希江の得意技は、もっとするどい突っ込みやら、どつきやら。しかも、心の中でばかり。
幼稚園に通う娘の理沙が、スーパーで玩具菓子をおねだりしてくるが、我慢させようとする。理沙は泣き出す。ここで、友希江は「お前は女優か。」と心の中でぽつり。
理沙に間違って怒ってしまったので、謝ると、理沙が「何か買うてくれる?」と言う。そこで友希江は「何やそれは。」とぽつり。
全部書き出したいところだが、たくさんあり過ぎるので、やめておこう。
心の中だけでぽつりを繰り返すから、爆発したんだ、きっと。気を付けよう。
●この本のつまずき→カバー。どのような技術を持ってすれば、「かび」という字が焼き付いたようになるのだろうか。
新冨 麻衣子
評価:B
過労で夫が入院。しかも責任を負うべき会社は労災申請を辞めさせようとするどころか、夫の左遷までも計画していた。もう我慢できない―。病気の夫と幼稚園の娘を背負い、専業主婦・友希江が起ちあがった。敵は街中に権力をはびこらせる大企業・ヤサカ。我慢するから、見なかったことにするから、ストレスがたまるのだ。一度見つけたカビはもう、放っておくわけにはいかない。罪悪感も法律も無視してヤサカに報復を図る友希江の迫力は、痛快さを通り越して恐いと感じるほどだ。ラストがあまりに因果応報的なのが気になるが、ストレス解消に読むといいかも……。
鈴木 恵美子
評価:B
「やられっぱなし」「やられ放題」で何の抵抗も対策もない昨今の状況と比べるにつけ、「やられたら必ずやり返す」友希江のド迫力に恐れ入った。鬱屈したエネルギー蓄積が外圧ではじけたコワイ者なし、失うべき肩書きなしの35歳主婦って設定が上手い。でも、やっぱりやられたらやり返す手段が、「嫌がらせ」って陰湿姑息だよなあ。過労で倒れた夫を切り捨てようとする会社に報復するのは、夫への愛とか、今後の生活に有利な条件を引き出す為でなく、完全なストレス解消なのだ。「今まで自分は無駄な我慢を続けすぎていた。ヤサカ(会社)にだってやり返してやれ。どんなことでもいいではないか。相手が嫌がるのなら。誰がやったか分からないようにすればいいのだ。」なるほど、それで「かび」ね。知らないうちにあっという間に生活空間を犯して増殖する微生物のような悪意。権力をかさに着て恫喝する相手に女一人徒手空拳で立ち向かうのだから、その手段は限られてくるにせよ、その手段を選ばぬそのなりふりかまわなさ、お上品な人にはちょっと顰蹙ものかも。でも上品過ぎてやられっぱなしよりうんとましかも。
松本 かおり
評価:A
大阪の大企業・ヤサカ勤務のサラリーマン夫が脳梗塞で緊急入院。会社側は労災申請はやめろ、と妻・友希江に執拗に圧力をかけ始める。「理不尽なことをされたら、やり返してやればいいのだ。そうすればストレスはたまらない。気分もすっきりする。今まで自分は無駄な我慢を続け過ぎていた。ヤサカにだって、やり返してやれ」。
いよいよ復讐に燃え上がる友希江。さぁさぁ皆さま、楽しい楽しい嫌がらせ劇場の幕開けだあ!友希江の復讐の凄まじさ、異常なまでの執着、入れ込みようを存分に堪能すべし。「どついたろか、アホガキ」「お前が偉そうに言うな、あほ」「何だ、その態度は。殺したろか、このデブ」などなど、日頃のムカつきも激しいだけに、どこまでやる気かワクワクヒヤヒヤ。社長の娘や愛人も丸ごと標的、ポストに怪文書を放り込むなんざ、まだまだ序の口。
「数日後には、また芽が出てくるのだ。大企業の神経を狂わせる毒草の芽が」。溜まりに溜まった鬱憤をドカンと晴らす、これぞ復讐の醍醐味。最後まで、とことん読ませてくれまっせえ〜。
山内 克也
評価:B
溜飲の下がる小説だった。主婦ひとりで、大企業の理不尽さに立ち向かう姿は感動さえ覚える。サラリーマン種族の多い日本男児にとっては、企業組織の不条理な仕打ちに腹を立てながらも所詮は給料をもらう身、とてもじゃないけど、企業への復讐なんて、酒の席で愚痴を言うぐらい。ところが、物語とはいえ、主婦がリストラ寸前で病苦の夫に代わり大企業へ抵抗し、傲慢社長を追いつめていく。ビールのつまみにしても酔える小説だ。
主人公の主婦は法的な手段を使ったり、世間に訴える市民運動といった正義感を振りかざす役割ではなく、ピッキングや公文書偽造など、かなりヤバい方法で大企業の病巣をえぐり出し、じわじわと窮地へ追い込んでいく。いわばヒール役として描かれているが、ある意味、企業の病巣というのは、こうした非合法手段でない限り、さらけ出せないかもしれない。また、こてこての大阪弁が、勧善懲悪の世界に背を向けた主婦のアンチヒロインぶりをうまく演出していた。
山崎 雅人
評価:C
仕事中に倒れ、夫が病床の人となった。企業ぐるみの隠蔽工作が始まる。労災申請阻止、脅し、夫の居場所をなすための嫌がらせが、つつましく暮らす主婦を襲う。このまま大企業の論理に押し潰されてしまうのか。
今まで自分を殺して生きてきた妻が、突然ふっきれる。少女の頃から心の奥底に積もり積もってきた後悔、恨み、怒りが爆発する。一介の主婦をなめてはいけない。普段おとなしい人ほど、怒らせると怖いのだ。
平凡な主婦が狂気にとりつかれる。次々にくりだされる陰湿な手口。堕ちるところまで堕ちていく。なのに、なぜか復讐劇はさばさばとしている。テンポの良い関西弁が心地よい反面、言葉の棘や緊張感が薄れ、軽く安っぽい雰囲気をつくりだしているのだ。子育てのストレス、企業事件などの時事ネタを使い、うまく仕上げているだけに残念である。主人公に同情するか、単なる性悪女とみるか。読者の本性が垣間見えてくるのだ。