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生誕祭
(上・下)
【文藝春秋】
馳星周
定価 (上)1,785円(税込)
(下)1,680円(税込)
2003/6
ISBN-4163218505
ISBN-4163218904
(上)
(下)
大場 利子
評価:A
馳星周と言えばノワール。その思い込みは、ガツンと落ち込むようなことになったら、救いがなかったら、と読み始める前から消極的な気持ちにさせる。
「土地を探してこい──齋藤美千隆はいった。探し方を教えてくれた。必要なものは金。金は人の視線を引きつける。」冒頭二行。私の視線も引きつけられた。引き込まれた。ありえないほどかっこいい。ありえないほどかっこわるい。何度も描かれるセックスとドラッグ。物語の進む速さと、読み込んでいく速さは、それに、あおられる。全力疾走後の妙な心地よさが、読後には待っていた。
●この本のつまずき→惹句「ひりひりしたいんだ」。幻冬舎社長を思い出す。「ひりついた心臓」「ひりついた関係」と云っていた印象があまりに深くて。
小田嶋 永
評価:B
今だにそのツケ払わされ続けているバブルの時代が、なぜ今、描かれたのか。あの時代は、まったく馬鹿げた狂乱の時代だったかもしれないが、それを確かに謳歌し、今また羨望をもって「あの時ゃよかった」と懐かしがっていないだろうか。地価・株価が暴落し、はじけとぶことを“歴史的事実”として知っていながら、登場人物たちの金づかい、大金を動かすしかけ、さらに奪いとろうとする卑劣なまでの駆け引き、危ない人たちとの関係に、主人公・堤彰洋と同様、体温の上がる感覚を味わされる作品である。「どいつもこいつも、金を儲けたはいいが、それをどうやって使ったらいいのかわからないんだ。」馳のこれまでの作品と違って暴力場面は、それをほのめかしながらも描写そのものは抑えられている。その分、金に麻痺し、あさましい欲望にまみれた人間を徹底的に描ききっている。過去を描きながら、同時代性をもっているのである。
新冨 麻衣子
評価:A
時は80年代、バブルに浮かれる日本―。弱冠21歳の彰洋は、不動産界の若き虎・斎藤美千隆に魅せられ、大金を動かす快感に染められた世界へ自らもはまっていく。不動産王・波潟、その愛人・ナミ、虎視眈々と波潟の失脚を狙う関西の金丸、そして斎藤。バブルというババ抜きの最後のジョーカーを引くまいと、複雑な駆け引きを続ける彼等のなかで、なぜか彰洋の存在が彼等の運命を決めるジョーカーそのものとなってしまう。
さすが馳星周。複雑に絡み合う人間心理とダイナミックなストーリー展開が相まって、分厚い上下巻をものともせず、一気に読ませる。「金が欲しいわけじゃない。ただひりひりしたいだけなんだ。」という、純粋な彰洋に金の亡者たちがしかける数々の罠。結末が知りたくて、ページをめくる手が止まらない。おすすめです。
鈴木 恵美子
評価:B
何故今頃バブル小説?神は死んで久しい世に「生誕」を祭られるのは何?倫理的価値観を全く持たない、あさましい、あさむべき人たちのオンパレード。その名も「あさみ」と呼ばれるのを嫌って自称「マミ」、「私」という一人称が使えない幼女のようなしゃべり方と娼婦の技術で男から金を巻き上げ、ブランドものを買い漁る。お金が好き、お金で買える女王様気分の自分が好き。でも、お金は満足よりもさらなる欲望とそれを失う不安をもたらす。だから憑かれたように自分以外の人を憎悪し、利用し、騙し、恬として恥じることがない。彼女を愛人として囲う地上げ屋波潟も、恋人の若手社長の美千隆も、幼なじみの彰洋も、皆憑かれている。醜く騙し合い、出し抜き合い、汚い金もうけに血道を上げる。この体温上昇感の前には、彰洋の亡き祖父のくれた十字架と倫理的教えは全く無力だ。バブルの沸点に自ら飛びこみ、緊張と恐怖に憔悴、嘔吐しながら欲望と裏切りのゲームに翻弄され、ボロボロになったはずが何故か懲りない。人を狂奔させ虜にする果てしなき欲望の、暗黒。神をも恐れぬ人達にとってこれこそ新しき神か。ボッシュの装画が何とも不気味にマッチしている。
松本 かおり
評価:A
舞台はバブル絶頂期の東京。地上げの神様・波潟を嵌めるべく暗躍する三千隆、麻美、彰洋。「この異常な好景気も遠くない将来必ず終わりを迎える。それまでにどれだけ稼ぎ、終わりが来る寸前にゲームから足を洗えるかどうかが勝負だ」。面白いっ。キレのいい文体で走る走る走るっ。上下2巻セットで900ページ超の長編だが、まったく苦にならない。最後に笑うのは誰だ?!
億単位の金が動くパワーゲームに翻弄され、疲弊し、堕ちていく彰洋から目が離せない。疑心暗鬼が精神を蝕み、ドジを踏む。どれだけ汚れ仕事をしようとも、どこか悪に徹しきれない懊悩が胸を打つ。
また、女が侮れないのが本作品の刺激的なところだ。ゲームの主役は男だけではない。波潟の愛人・麻美のやり口ときたら歯ぎしりするほど憎々しい。傲慢さの影から脆さがチラリと顔を出すところはかわいいのだが、金のためなら他人を容赦なく足蹴にするさまは強烈の一言。ゴージャス美人で床上手。彼女の手練手管もとくとご覧あれ。
山内 克也
評価:A
バブル期は東京でのん気に学生時代を送っていた。典型的な地方出身の貧乏学生で、バブルの恩恵など被ることはなかったが、よく闊歩した大学近くの神田神保町で、虫食いのようになった更地があちこち見かけたのを覚えている。そのときは何の感慨も持たなかったが、バブル期の地上げ戦争を描いたこの作品を読んで、あのポツンとした更地にも欲望渦巻くカネと人間関係の残酷さが潜んでいたのかと想像すると、少しは寒気も覚えてしまう。
セックス、ドラッグ、億単位の札束など、刺激のある単語と、短いセンテンスでつなぐ「馳節」が炸裂。ストーリーが深部へ進むうちに文章もアップテンポになっていく。まさしく、「あの時代」を体現するかのような馳の筆致に飲み込まれてしまった。当時の世相の様子は極力描かれていないが、主人公たちが固定電話やポケベルで土地交渉の連絡を取り合う場面あたり、わずか十数年だが時代の隔世を実感した。
山崎 雅人
評価:B
彰洋は、金と野望を持った魅力的な男、美千隆と出会う。そして、彼のしかけるマネーゲームに、ひりひりした快感を感じ始める。一方、金と嘘にまみれた生活を送っていた幼なじみの麻美は、もっと大きな金を渇望していた。麻美だけではない、80年代に生きるすべての人間が、金に飢えていた。彰洋たちは、限りない欲望を満たすための、醜い争いの中に落ち込み、もがいていた。凶暴ですさんだ奴等のだましあい。生き残るのは誰だ。
切れ味するどく、小気味良い文章、変化にとんだプロットにぐいぐいと引っ張られる。バブル終焉間近でも、まだまだ醒めやらぬ熱気が、びんびん伝わってくる。著者の得意なアンダーグラウンドな世界が、深く濃く生生しく描きだされている。金の持つ快楽の魔力に狂わされた日本の姿が、まざまざと浮かびあがってくるのだ。語り尽くされた話題ではあるが、900ページの最後まで、あきることはない。一気読み確実の大作である。