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500年のトンネル
(上・下)
【創元推理文庫】
スーザン・プライス
定価 (上)882円 (下)777円(税込)
2003/6
(上)ISBN-448859901X
(下)ISBN-4488599028
(上)
(下)
児玉 憲宗
評価:A
16世紀と21世紀をつなぐタイム・トンネル。500年は、慣習や価値観をまったく正反対にしてしまうに充分な歳月だ。向こう側の世界を体験した者は、奇妙なデザインと材質の服装、いかにもまずそうな色や臭いの食事などに、例外なく驚き、うんざりする。このあたりの描写は実にうまい。
「スターカーム(16世紀に生きる一族)と握手をするな」という忠告の言葉がある。スターカームは右手で握手をして左手に短剣を持っている。友好的な顔を見せても決して信用してはいけないという意味だ。皮肉なことにこの狡猾さだけは、時代を超えても不変な人間の本質である。都合のいい理由をつけて、家族や仲間といった自分側の人間を守るために、略奪し、騙し合い、殺し合う。決して自分たちは悪くない。16世紀側と21世紀側の人間が互いに友情や恋愛感情を抱きながらも、最終的に殺し合うしかなかったのは、双方が持つ利己的な「人間の本質」によるものであり、これこそ、本作品の最大のテーマに思えた。
高橋 美里
評価:B
21世紀、人は最先端の技術をあつめて、タイムチューブを創り上げた。それは、16世紀へとつながるトンネル。人々は16世紀へ赴き、21世紀では得られないものを得るために16世紀の人々に鎮痛剤(アスピリン)を与えて取引を進めていた。21世紀になくて、16世紀にあるもの、静寂や絶滅した動植物。無知が故に人間にとって有益なものを滅ぼし続けてきた過去を取り戻すため、21世紀の人間は16世紀に干渉する。さまざまな調査のため有識者を送り込むと、16世紀の住人、スターカームの一族の略奪に遭うなど、調査は進まない。唯一、交渉を上手く運ぶために送り込まれた女性、アンドリアは、スターカームの長の息子・メイと恋に落ちる。
ここまでだと、なんだか何処にでもありそうな物語に見えるのだけど、この作品のヒロイン、アンドリアは、21世紀では自分の容姿にコンプレックスを抱きつづけていた。でも、16世紀にやってきて、メイのように美しい男性に見初められる。21世紀の彼女も、16世紀にやってきた彼女も、どんなことがあっても、一生懸命にメイを追いつづける。読んでいて苦しくなってくるくらいに。
16世紀と、21世紀の習慣や、考え方のギャップにアンドリアも苦しみ、悩み、考えます。でも、何故か読んでいる私までももどかしくなってしまいました。
中原 紀生
評価:B
原題は「スターカームの握手」(邦題「500年のトンネル」は、ちょっとセンスが悪すぎる)。スターカームとは、16世紀英国の辺境の民。人は右手で握手する。武器を持つ手を差し出すことで、害意のないことを示す。ところが、著者が創造したスターカームの連中はほとんどが左利き。だから、右手を差し出しながら左手で短剣を抜くことができる。そのスターカーム一族と握手(契約)をかわしたのが21世紀の私企業で、極秘裏に開発したタイムチューブを使った鉱物掘削やリゾート開発で一儲けを企んでいる。誇り高く名誉を重んじる粗暴な16世紀の民と、合理的かつ冷徹に私利私欲を追い求める21世紀の企業人。この高貴な欲望と低俗な欲望がぶつかりあう五百年の時を超えた戦闘や、通訳兼連絡係として送り込まれたアンドリアと一族の長の息子ピーアとの恋愛譚を織りまぜた「児童文学」の巨編。生き生きと叙述されたスターカームの精神が本書の最大の魅力だが、アンドリアも含めた21世紀人があまりに貧相で、物語としての興を殺ぐ。タイムトラベルの趣向も十分に活かし切れていない。
渡邊 智志
評価:B
長いわりに、なにごともなく終わります。驚くところがありません。印象に残らないという印象で、あっという間に内容を忘れてしまいました。500年という期間を区切ったタイムトンネルと固定された出口という設定は、物語の前提条件であり準備段階でしかありませんが、その状況から起こりうる事件やトラブルや一連の騒動が、読者の予想や想像を裏切りません。なにひとつ変わったことが起こらないのです。こうなるだろうなー、この点が問題になるだろうなー、と思ったとおりに話が展開するだけです。面白くなりそうな素材であることは間違いないです。価値観や倫理観の違いが、お互いにどれだけ頑張っても歩み寄れない壁となってしまい、悲劇的かつ興味深い物語を展開するはずで、余力を残していると思いました。史実に基づいているのかどうかはどうでもいいのですが、まるで草木の一本まで描写されているかのような、とても丁寧な文章にちょっと苦笑しました。