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├2001年7月
├2001年6月
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オクシタニア
【集英社】
佐藤賢一
定価 2,520円(税込)
2003/7
ISBN-4087753077
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
大場 利子
評価:C
エドモンは、ピレネの山を目指す。たった10頁のプロローグ。これから、エドモンがどんな物語を語り出すのか。期待でいっぱいになる。
関西弁らしきものを話すフランス南部の人びと。「阿呆か、エドモン。もうじき夜やで」やで……って。訛りで場所の違いが際立ち、とっつき易くなる。確かにそれは成功しているが、真剣な場面でもなぜか危機迫るものがなく呑気に聞こえてくる。それで良かったのだろうか。そういう人びとだったのだろうか。
●この本のつまずき→本書に挟まれた一枚の紙。表には主要登場人物リスト。裏には地図。とても親切で、助かりました。
鈴木 恵美子
評価:A
舞台は薔薇色の都トロサ。地中海とガロナ河の水運に恵まれた国際商業都市、東西貿易文化の中継点として、繁栄と洗練、自由を謳歌していたオクシタニアの都。「異端」と呼ばれる精神の多様性を受け入れ根付かせ花開かせたその豊かで寛容な地は、又、その豊かさゆえに、異端狩りに名を借りた十字軍の侵略に曝されることになる。十字軍が振りかざす「大義」「神の真理」に、攻められるトロサ側の若き民兵隊長エドモンは、「フランス人に神罰を代行される謂われはない。十字軍は美しい物を犠牲にしながらその実は見苦しい欲望を解放しているだけではないのか」と血潮を沸騰させる。異端カタリ派に帰依して出家してしまった彼の恋女房ジラルダ、「無冠の帝王」トロサ伯ラモンの三つ巴の恋は、前世、後世にかけて輪廻転生を繰り返えして尽きない、激しく深い「縁(えにし)」の物語を織りなす。雅を誇るトロサの言葉がおっとりした関西風なせいか、戦の悲惨、異端審問の苛酷さ、権謀術数や報復、虐殺の数々にも「しょもないことや」風の生活感が…。「神」を否定し「神」に翻弄され「神」を利用し、結局守りたいのは愚かな「自尊心」なのか、トロサ伯ラモンの自問が何故か没落日本の姿に重なる。
松本 かおり
評価:B
格調高いカバーの図柄と、13世紀南フランスが舞台のキリスト教関係物語というので、ぱっと見なにやらお堅い雰囲気。しかし、だ。いざ蓋を開けてみれば意外や意外、人間臭くて庶民的。そのギャップが楽しい。
なんせまず言葉遣いで腰が砕ける。フランス南部訛りがいきなり関西弁風味。「あんたはんも、しつこいでんな。こんなん、オクシタニアでは常識でっせ」。あるいはカタロニアから来た助平な40年配の傭兵は「じゃろう」「じゃけんね」連発、こりゃモロ広島弁だわ。加えて、長々続く宗教戦争の裏にあるのが現代にも通じる男と女の悲喜こもごも。夫を尻に敷く女房あれば、逃げた女房に未練タラタラの夫あり。糟糠の妻を離縁し女漁りにご熱心なデブ40男あり。ここまでくると、時代も舞台もだんだんどうでもよくなってくる。
神は「因縁を操作しはります。前世で縁を結んだ人と人を、この現世で再び出会わせはるんです。巡りあわせを弄び、運命の糸を縺れさせたまま、それを来世に持ち越させはるんです」とか。その運命に翻弄された男女一組の、終盤の関西弁愛情表現が美しくも暑苦しい「夫婦純愛浪花節小説」。
山崎 雅人
評価:B
13世紀の南フランス。薔薇色の都、オクシタニアを舞台に宗教戦争が勃発する。信仰と欲望をめぐる闘いに勝利するのは、異端カタリ派か、正統ドミニコ会か。その時、神はどちらに味方するのか。一方、そんな闘いの最中、信仰を理由に袂を分かつ夫婦があった。愛と信仰のはざまで翻弄されるふたりの運命も、やはり神の手の中にあった。信じる者たちは、どこに導かれていくのだろうか。
文体の妙をもった小説である。宗教と政治、権力をめぐる闘争を壮大なスケールで描いた西洋歴史小説で、オクシタニアの住人は関西弁もどきでしゃべりだすのだ。これが実にいい。その軽快妙味な響きは他に類をみない心地よさなのだ。匠の技に脱帽である。
文体以外もうまい。ダイナミックな演出、スピーディーな展開に、ぐいぐい引き込まれる。そして信仰の根源への鋭い問いが恋愛に昇華していくあたりは、ただただうなるのみである。真の純愛物語がここにある。