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├2001年6月
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海を失った男
【晶文社】
シオドア・スタージョン
定価 2,625円(税込)
2003/7
ISBN-4794927371
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
大場 利子
評価:C
「先生、この短篇、さっぱり何が書いてあるのかわかりませんけど、でも凄い!」こう感想を伝えた学生を、理想的なスタージョンの読者ではないかと、編者は言う。
そうなんだ。それでいいんだ。わからなくていいんだ。そうか。そう言っていいんだ。安心した。こういうあとがきには、本当に救われる。「成熟」には心かきむしられたし、「そして私のおそれはつのる」には切なさでいっぱいにされた。でもさっぱりわからないのも、あったのだ。
●この本のつまずき→表題作。一切、画を浮かべることが出来なくて、想像力のなさにがっくり。
小田嶋 永
評価:A
スタージョン、この異能の作家の真髄、再評価の動きについては、本書の「編者あとがき」または本誌8月号の大森望氏のガイドが参考になる。本書に収録されている「墓読み」、表題作の「海を失った男」が、邦訳単行本未収録だったなんて、我々読者は一大損失を被っていたとしかいいようがない。「墓読み」は、妻を亡くした男が、墓地で「墓を読む」ことができる風変わりな男と出会い、妻の墓を「読もう」とする。墓場での「授業」で、男は「人間について学び」始めていることに気づく。編者が「人間的SF」と評するゆえんであり、SF的な設定・アイデアと文体の緻密さと語りに秀でた作家であることが感じられる。余分な言葉が殺ぎ落とされた究極の作品といえる「海を失った男」は、首まで砂に埋まった「病んだ男」の話。J・G・バラードあたりでニューウェーブしてしまった人にとっては、この1作は何度でも読み返せるスルメみたいな作品ではないか。最後の1行にSFの感動がつまっている。
鈴木 恵美子
評価:B
SFというジャンルに閉じこめてしまうには余りに詩的でエキセントリック。
魂の純粋結晶体を核としたような短編集、この世のものならぬただならさが、あくまで静かな文体で書かれている。というのか訳されていて読ませる。
「ビアンカの手」はフェティシズムの極、至福の愛と表裏する死の恍惚というのは文学的には目新しいテーマではないにせよ、安っぽくなく書くのは難しいものだが一気に引き込まれる。「成熟」「シジジイじゃない」「三つの法則」「そして私のおそれはつのる」「墓読み 」、どれもテーマは「愛」。その不可知性がさまざまなアプローチから描かれる。一見病気とか、幻想とか、異星人とか、陰陽五行思想とか分かりやすく説明のつくものを表に出してはいるが、それらで説明のできない行間を読ませ、リリシズムを感じさせる所が何とも上手い。あり得ないようであり得る世界、心の表層からは見えないけれど、確かにこんな世界に見覚えがあると思わせる。表題になっていた「海を失った男」だけは熱に浮かされたような妄想文体で何が書いてあるか何遍も読み返してしまったがついにお手上げ。
松本 かおり
評価:C
ワカランナ〜わからんな〜と首かしげながら読んだ全8編入り短編集。白状すると、半分は見事にちんぷんかんぷん。登場人物やある特定の場面には魅力があっても、最終的に収まるところに収まらない、宙に浮いたような違和感が残るのだ。その曖昧さや歪み感がいいのかなぁ、とも思ったが。
そんななかで、第3編の「成熟」は面白かった。成熟という言葉の定義は何か。完全に成長を遂げた真に成熟した人間とはどんなものか。登場人物たちのさまざまな見解に刺激されて、自分ならどう定義するか考えさせられる。主人公・ロビンの最後の一言が、スカッと決まって爆笑した。
他に「墓読み」もなかなかの好編。墓を読めば「その人間が今までしたことすべてがわかる」と「俺」に語る男。亡き妻の過去に嫉妬する「俺」は墓読み修行を始める。しかし、いかに妻とはいえ夫とは別の人間。知らないほうがいいことも多々ありそうな不吉な予感に一気読み。「真実≠ニすべての真実≠フ違い」には感じ入った。
山崎 雅人
評価:C
読み始めた。意味が分からなくて泣きそうになった。次篇を読んだ。けったいな話だと思った。ちょっと面白かった。次に進んだ。面白さ三倍増、ちょっとだけ唸った。そして「海を失った男」今度は泣いた。解読不能だった。しかし解説を読んでほっとした。
白痴の少女の美しい手に病的に固執する男は、手と同居を始める「ビアンカの手」。驚くべき才能を持った男は、年齢に対して精神と肉体が成長しない病に侵されていた。治療を開始した男に現れた変化とは。成熟の意味を問う著者の代表作「成熟」。ほか全8篇は驚くべき想像力と、ブラックユーモアに満ちあふれた、不思議・奇天烈な作品集である。
とっつきにくいが、読み進むほどに魅了されていく。油断していると遠くに飛ばされてしまう。まったくもって食えない作品だ。シンプルなストーリーに複雑怪奇な思考をのせた物語は、幻想文学の極致を堪能させてくれるであろう。いろんな意味でしびれます。