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└2001年5月
翳りゆく夏
【講談社】
赤井三尋
定価 1,680円(税込)
2003/8
ISBN-4062119897
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
大場 利子
評価:B
舞台は、東西新聞社。「誘拐犯の娘を記者にする大東西の公正と良識」という週刊誌の記事がきっかけで、20年前の誘拐事件の再調査。再調査にあたるのは、閑職にある人物。よくある物語のようだが、二転三転を決めてくれる。会話文が多いせいか、人物の深いところまで手が届いておらず、ぐっと来るところまでは至らず。
●この本のつまずき→「マッチメイク」もそうだが、扉の著者の写真。どうだろうか。読む前から驚くのは。
小田嶋 永
評価:C
20年前の誘拐事件を、閑職に追いやれた記者が再調査する。その結果、意外な真相が…、というミステリらしい作品ではある。話の展開も無難である。しかし、その無難さが、そもそものコトの発端を含めて都合あわせとなっていないだろうか。誘拐事件を洗い直せと命じる気まぐれの社主(しかし、ほとんど登場しないし、その後の展開にもかかわらない)、一女子大生に対しての“三顧の礼”とも思える会社人事、事件の再構成場面や再調査において手がかりがそれほどの苦もなく入手されること、などなど。また、登場人物のそれぞれの個性・造型の魅力が、期待されながら描ききれていないのが、残念だ。つまり、気になる・好感のもてそうなキャラクターがいながら、物語の中で生きてきていないのである。(たとえば、「影の支局長」と呼ばれる女性職員など。)そして、事件の真相は判明しても、その後の“真犯人”とその関係者の苦悩を、読者の想像に委ねるのでは…。その辺、エピローグでの工夫もほしいところであった。
新冨 麻衣子
評価:B
大手新聞社・東西新聞のスキャンダルがある週刊誌に報じられた。それは東西新聞に新卒採用が決まった朝倉比呂子が、二十年前におこった誘拐事件の犯人の娘だということだった。3か国語を操り、試験をトップで通過した比呂子への期待は上層部からも熱く、東西新聞社長自ら比呂子やその家族へのフォローを行うとともに、社内では内密に20年前の事件を洗い直すよう指示が出る。悪運が重なって社内で立場を追われていた梶が直々に社長の指令を受け、昔のつてをたどりながら事件を見つめ直していくが―。
目新しさはないけど、文句なしにおもしろい、というのが率直な感想。これがデビュー作というのが意外なくらいだし、完成度も高い。だけどやっぱり、江戸川乱歩賞受賞作とはいえ、話題になるにはインパクトが弱いな、というのも率直な感想。
鈴木 恵美子
評価:C
何か後味悪かった。自分が犯人ではなくても、真犯人を知りながら20年間もだんまりを決め込んでいたヤツ。しかもその犯罪に至る経過に責任を負うべき当事者でありながら、20年間苦しみ続けた被害者たちに何を償うこともなく無視し続けたくせに、いかにも良識と良心を兼ね備えた知的で温情ある紳士面してたヤツの秘密が最後にあかされた時の嫌ァな感じは何なんだろ?普通、最後に意外な人物が浮かび上がった時のスリリングな興奮には快感があるのにね。ことが露見して謝罪する相手がちょっと違ってる。自分の良心の負い目を感じる謝罪相手に誘拐された子の両親がいない。これって無意識の内のエグゼクティヴの驕りかも。20年前、乳児誘拐の身代金を持ったまま事故死した犯人の娘が全国紙の新聞記者に採用されたことをきっかけに、時効も成立した事件の再調査が新聞社内部でなされる。全国紙の新聞社なんて一種の権力構造に無知、部外者な私ですが、そんなことってアリなんでしょうか?まあ、そこはフィクションなんだからということにしても、いかにもオジサン好みの天然ボケのお利口娘ヒロイン。オジサン願望臭くて閉口。
松本 かおり
評価:B
20年前の新生児誘拐事件を再調査する、犯罪がらみの小説なのに、私利私欲に駆られた残忍性丸出しの人間が出てこないところが新鮮だ。それぞれに事情のある家庭に育った若者・比呂子と俊治が、ともに頭脳明晰で人柄も魅力的、将来を嘱望されているのは少々できすぎの感じもあるけれど、全体に人間のもつ暖かさと良心、人情をしみじみと感じさせ、気持ち良く読める。比呂子だけでなく、俊治のその後も知りたくなった。
本作品で印象的なのは、記者にせよ、刑事にせよ、ひとつの業界で働き続けたプロの男同士の人間関係だ。20年間は長い。かつての仕事仲間の身分も配置も変わり、退職した者もいる。しかし、一度腕を認め合った男同士の関係は、歳月を経て朽ちるどころか、ここぞとばかりに物を言いだす。「ハートがあるんだ、あいつには」と、20年を経てもなお懐かしがられれば、誰でも男冥利に尽きるだろう。再調査を担当してきた梶が発した「本当に残念です」という一言が、最後に深い共感とともに胸にしみる。
山内 克也
評価:C
ありそうで意外と少ない「新聞社」を舞台としたミステリ。新聞記者を主人公にしたものなら結構見かけるのだが、「新聞社」の体質にメスを入れたミステリではアンドリュウ・カーヴの「新聞社殺人事件」しか読んだことがない。日本の作品では皆無。日本の新聞社は閉鎖的で、組織内容を公表せず、書き手としてはタッチしにくい素材かもしれない。その体質を逆手にとり、この作品では新聞社の暗部を活写している。内定者を興信所に素行調査をさせたり、大新聞社のスキャンダルを取り上げる雑誌出版社とのバーターなど、「社会の木鐸」たる組織体の「陰」を浮き彫りにして、物語にメリハリをつけている。
20年前、横須賀で起きた乳児誘拐事件の掘り起こしと、その誘拐犯の娘が入社してくることで派生した大新聞社の苦悩をうまくまとめていて、話の筋はそれなりに面白い。一方で大新聞社の社長自ら乗り出し囲碁の勝敗で内偵調査を社員に担わせる、といったクサイ演出や、刑事が「お主」と使うなど古めかしい会話が目立ち、緊迫したストーリーの腰を折っている。
山崎 雅人
評価:C
20年前に起こった新生児誘拐事件。その犯人の娘が、大手新聞社から採用の内定を受けた。週刊誌がその事実を公にしたことから、再度事件を洗い直すことになる。取材ミスで干され、資料室に閉じこめられていた男が調査を開始した。事件の記憶が手繰り寄せられていく。そして驚愕の真実が明らかにされる。
遊びの少ない硬質の物語である。じっくりと練り上げられたストーリー。破綻のない整然とした構成。事件当時の様子や、過去の記憶をたどる過程も丁寧に描かれており、納得度の高い作品に仕上がっている。地味ではあるが、しっかりとしたいい仕事である。
惜しむは事件への配慮にくらべ、人間に対する洞察が浅いところ。被害者の両親の気持ち、犯罪者の娘の気持ち、どれも描ききれているとはいえない。琴線を揺さぶられる場面がないのだ。趣味の問題かもしれないが、個人的にはもの足りなく感じる。しかし、濃密な時間は提供してくれる良作ではある。